≪ピクニック≫・公開までの苦難の道・・J・ルノワール監督 仏 1936年作。1977年日本公開 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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戦前のフランス映画が大好きです。
基本、鑑賞後の感想ですのでネタバレが殆どです。
ご了承くださりませ。

 

   ≪ピクニック≫

こんばんは。いつもご訪問いただきましてありがとうございます。
 

今夜は
 

ジャン・ルノワール監督  1936年度の作品≪ピクニック≫を
 

取り上げます。
 

ルノワール監督と言えば過去に≪大いなる幻影≫、≪ゲームの規則≫を
 

取り上げました。

ルノワール監督と言えば誰もが知っている画家
 

ピエール=オーギュスト・ルノワールの息子だ。
 

だからして光と美しく幸せに満ち溢れた、動く絵画と言われた作品・


数奇な運命をたどった奇跡の映画。
 

ギイ・ド・モーッパサンの<野あそび>というのが原作。
 

助監督にジャック・ベッケル、ルキノ・ヴイスコンテイなど
 

なんと豪華なスタッフでしょう。音楽はやはりジョセフ・コスマです。
 

そしてルノワール自身がレストラン・プーラン亭のマスター役で出演しています。


まるで絵画に描かれた女性たちが飛び出して動き出したかのような
 

モノクロではあるが美しい色彩を感じてしまいます。
 

作品としては40分あまりの短いものですし、確かに美しい絵画の世界では
 

あるのですがラストは何となく残酷さを感じます。
 

シルヴイア・バタイユという女優さんが演じるアンリエットが森の中の
 

ブランコに乗るあまりに有名なシーンは、色気と可愛さが
 

そして木漏れ陽ときらきらした光とアンリエットの命の輝きに溢れています。


1936年に撮影された本作品は公開が10年後の1946年。
 

当初、第二次大戦が始まってドイツに没収され破棄されたが、幸い
 

オリジナルネガを隠してあったのでアメリカに亡命していたルノワールの
 

許可を得てジャック・ベッケルが編集・
 

日本初公開は1977年。
 

そして2013年にデジタルリマスタ版が完成。


こんなにまでして戦後70年を経て公開に至ったのかがわかりました。
 

本当に貴重なかけがえのないフイルムですよね。

モノクロとはいえ、冒頭のシーンから幸せに満ち溢れている。
 

モネの絵画、草上の昼食そのままに絵が動く・・・・

時は1860年、夏のある日、パリで小さな店を持つデュフイールは
 

郊外にピクニックにやってきた。
 

義母と妻と
 

娘とその婚約者アナトールを連れて。
 

レストラン・プーラン亭に車をつけた。
 

プーラン亭にはふたりの若い男の先客がいました。
 

レストランの中から二人の男は都会人をけなしながらも窓を開けました。


 

すると真正面で
 

ブランコを見つけたアンリエットがきらきらした陽を浴びながら
 

ずっとずっとブランコをこいでいました。母親もブランコに腰掛けていました。


とてもとても幸せそうでした。
 

牧師さんたちが横目で見ながら通り過ぎました。
 

男二人は女性を誘うか誘わないか談義していました。
 

やせたほうは遊びの対象として女性を見ていました。
 

もう一人は ”一回きりの遊びで女性の一生を台無しにするわけには
 

   いかない・・”
 

と真面目そうでした。とまあ主人を交えて母娘の品定めをしておりました。

父親と娘の婚約者は釣りに行きました。

母と娘は草の上で話しこんでいました。


 

まるで色が見えるような美しさです。

母娘は父親に呼ばれて舟のほうにかけていきました。
 

さて、男二人はご婦人方と話すきっかけをどうやってつくるか
 

草の上に寝転がって考えていました。
 

すると一人が”西風に乗って変な雲が出てきたぞ・・嵐がくるぞ!!と。
 

都会人は舟を吟味していました。


 

メイドが食事の準備が出来たと呼びに来た。すると父親が
 

天気が崩れそうだな。だがきれいな空気を吸いにやってきたのだから
 

やはり外で食べると言う。

さくらんぼの木の下で食事は始まった。


 

食事が済んだころ、ふたりは行動を開始。
 

父親たちに釣竿を渡し、
 

ひとりのやせた男の方が恰幅のいい母親をボート遊びに連れ出しました。


もうひとりの小太りの男が娘をボート遊びに連れ出しました。


あの頼りない婚約者よりはずーっとましに見えます。

どちらも明るい笑い声に包まれボートをこいでおりました。
 

川辺の自然を美しく捉えた絵画的映像。
 

男は舟を草陰の岸につけます。
 

そして美しい小道を案内し、木陰で座ります。


 

小枝に止る小鳥を見つめながら二人の距離は縮まります。。。。

雲が動き出します。。。雨がぽつりぽつり・・・
 

突然の雨・・・・・河に降り注ぐ大量の雨、雨、雨・・・・
 

やむなき別れが待っていました。
 

月曜日のように哀しい日曜がめぐりーーー数年が経ちました・
 

アンリエットは婚約者であったアナトールと結婚した。

そしてある日曜日・・アンリエットとあの日恋をしそうになったいや
 

恋をしたあの男が
 

河を下っていました・・・

 

そしてあの思い出の木陰に舟を寄せました。

小路を歩いていきました。すると見えました・・・
 

そこにはアンリエットと夫アナトールが寝転んでいました。
 

アンリエットは立ち上がって男に近づきました。


”僕はよくここに来る  思い出の場所だから”
 

”わたしも毎晩思い出すわ”アンリエット目から涙が落ちました。
 

見詰め合うふたり。
 

”アンリエット”  アナトールの呼び声・”そろそろ帰る時刻だ”
 

”ウイ・ウイ”とため息を交えて頷くアンリエット。
 

間抜けそうなあの夫と立ち去るアンリエットを見送りながら
 

2人がいなくなったその場所でタバコをふかす男でした。
 

河面には静かにさざなみが揺れていました・
 

涙を流すほど・・また毎晩思い出すわと忘れられないのなら
 

どうして思い出の場所に間抜けそうな夫と二人来たのか・・
 

男にとってこんな残酷な・・・ことはない。


なんてことのないストーリーなのでしょうが
 

画面がものを言うというか動く絵画を鑑賞していられるという、なんとも情緒深い映画です。

 

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