≪或る殺人≫・・ジェームス・スチュアートのスチュアートの魅力いっぱい・・1959年度作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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           ≪或る殺人≫


こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。
 

今夜取り上げる作品、≪或る殺人≫、これも長いこと見たいと
 

思っていた作品でしたが、まあ2時間45分と何と長い作品でした。
 

ご興味の或る方は長きをお付き合いくださいませ。


監督・オットー・プレミンジャー

キャスト
ポール・ビゲラー          ジェームズ・スチュアート
ローラ・マニオン          リー・レミック
マニオン中尉               ベン・ギャザラ
パーネル                 アーサー・オコンネル
メイダ               イヴ・アーデン
メリー                  キャサリン・グラント
ダンサー検事            ジョージ・C・スコット



まずはストーリーから
 

くたびれたコンパーチブルが町へと入ってきて酒場の前を
 

通り過ぎた。
 

酒場でひとり飲んでいた老人にマスターは声をかけた。
 

”お友達が帰ってきたようですよ”
 

老人は”もう一杯・・・つけでいいかな”  マスターは”いいですよ!”と
 

応えた。
 

酔いどれ老人はまんざらマスターに信用がないでもないようだ。


老人が店を出て向かったその友達はポール・ピーグラーといい
 

元はミシガン州の検事だった。今は暇な釣り好きの弁護士であった・
 

釣りから帰ったばかりの彼は釣ってきた魚を台所に置き、早速
 

入り口のドアのメモを見て電話を入れた。
 

マニオン夫人のローラという女性で軍人である夫の起こした射殺事件の
 

弁護の依頼が電話の向こうから聞こえてきた。


入ってきた老人は横で”弁護を受けろ、受けろ”とせっつく。
 

ポールはローラと拘置所で落ち合う約束をした。
 

事件はポールが釣りに行っている間の出来事だったので内容は
 

その老人から聞かされた。
 

聞けば、被告の状況は不利。おまけに担当検事は彼の競争相手、
 

ポールは乗り気ではなかった。
 

だが今はアル中で落ちぶれているこの老人・・・
 

昔は有名な法律家だった親友のパーネルのすすめもあり、
 

ポールはまずはマニオンに会うことにしたのだった。
 

葉巻を銜え、ピアノを爪弾くポール。
 

パーネルは”ミッチ・ロドウイクに検事局を追われてからの君はどうも
       

       精彩を欠いている・・釣りやジャズばかりに熱中しないで
       

          もっと仕事をしろ”と言った。
       

      ”食い扶持ぐらい稼いでいるさ・・”
 

 

暮らしは豊かではないがそんな生活を愉しんでいる鷹揚なポールその人であった。

ポールは善良ないち弁護士というキャラクター、
 

そして、親友のパーネルとのホットな関係が分かりました。


後に登場する法廷での強敵検事・・・ダンサーという
 

ジョージ・C・スコットの登場がものすごくインパクトを
 

与えることになるのです。


ここでイヴ・アーデン扮する秘書のメイダが登場します。


 

こんな貧乏弁護士にお給料も未払いであるにもかかわらずあれこれと
 

世話を焼く母性的な女性。
 

そうそうジェームス・ボンドにも必ずこんな母性的なボスの秘書が登場しますね。
 

ポール宅の冷蔵庫は釣ってきた魚で満杯。
 

そのうちに冷蔵庫が泳ぎだすかも・・・



ローラは挑発的な女であったので、事件の原因や
 

嫉妬深いだろうマニオンが、大勢の人たちの中で
 

バーニイ・クイルという男をなぜ殺したかも容易に想像できた。
 

サングラスの下はひどいアザでローラによると体中がアザだらけで
 

すべてクイルの仕業だというローラ。

拘置所で面会した軍人で中尉のマニオンに
 

ポールは
 

”どうせ誰がやったて君を無罪には出来ない”と告げた。
 

”妻を犯されたんだぜ  暗黙の了解の決まりごとってモノがあるだろうに”と
 

マニオン。
 

”不文律なんてものはない。そんなもの神話さ・・殺人を犯した者は
 

    刑務所へ送られるんだ  終身刑かもしれない”とポール。
 

弁護士としては経験の浅いポールを、意外と頭の切れる男だとマニオンは
 

思ったか・・・・
 

パーネルはポールに”君は法の不純さについていけん人間かもな”と言った。
 

”  それでも 弁護は君の務めだ・中尉を何とか逃げ道へ導いてやれよ”とも。
 

”どうも気が進まん 彼は無礼で冷淡な男だ!”とポール。
 

ポールはマニオンに教えた。
 

”殺人の弁護には4通りの方法がある。
 

1・殺人ではなく 自殺や事故
 

2・真犯人は別にいる。
 

3・正当防衛である。
 

4・殺人は免責である・・・”とポール。
 

”俺の場合はどれに当てはまる??”
 

”最初の3つには当てはまらん!”。
 

”正当じゃないのか?妻を犯されたぞ!”
 

”時間さ!
 

レイプの現場での発砲なら正当化も出来る・・さらに君は警察を
 

    呼びもしなかった  計画的な復習とされ第一級謀殺だ!”とポール。
 

”罪を認めろ!と?”
 

”取引は勧めんよ  
 

減刑しかない”
 

”俺にどうしろと??”
 

”どうしろとは言わん。法を説いてるだけさ”とポール。
 

”まあ妻が犯されたわけだから法廷での陪審の雰囲気は悪くない 
 

    そこで陪審の同情を繋いでおく理由が欲しい。
 

   クウイル殺しを無理もない・・と 思わせる理由”
 

頭を抱え込んだマニオンは”  怒り・・?”
 

”だめだ 怒りでは”
 

”自分を見失っていた どうかしてたんだ”・・・
 

ポールは奥さんに会ってくる、どう自分を見失ったか 考えておけといいのこして
 

その場を去った。
 

ローラという女性は男好きのする女性でポールにも色目を使う。
 

ローラが夜遊びをしている酒場で
 

ーーーーその頃絶頂期だったジャズミュージシャンのデユーク・エリントンと
 

ポールが並んでピアノを弾くシーンはちょっとステキです。----


 

ポールは彼女にせめて裁判が終るまでは従順な妻を演じていろと言った。
 

彼女の説明によると、その晩、飲みに行ったクウイルの酒場からの帰り、
 

送ってくれていたクウイルが森にさしかかったとき、彼女に挑みかかり、
 

拒否するとと暴力で犯したという。
 

殺されたクウイルという酒場の主はバーテンの話によると
 

いい人ですよという。
 

その店は彼の愛人だったメリーが引き継ぐらしい。
 

彼女はごく普通のしかも感じの良い美人でとても愛人とは思えなかった。
 

マニオンは、事件当時のことは精神が錯乱していて分からないと言う。
 

軍の精神医に鑑定をしてもらうと
 

抗し難い衝動に駆られた・・という診断、それで逃げ切れるか・・
 

難しいだろうな。とポールとパーネルは語った。
 

そして公判が始まる・・・
 

中央からベテラン検事ダンサー(ジョージ・C・スコット)が
 

派遣されてきた。ここから後半に向けてジョージ・C・スコットの存在感と
 

重圧感が迫ってきます。
 

クレジットでは目立たない小文字の紹介。そしてこのとき彼はまだ30歳位。
 

この作品は前半の説明に比べてここからの後半の魅力でオーラを発します。
 

ポールの証拠集めは、はかばかしくなかった。警察医の報告では、ローラが犯されてないという。
 

検察側は彼女の強姦されたという供述は、
 

男との不倫関係を隠すためだと主張した。
 

パーネルも酒を断って協力したが、有利な判例はなかった。
 

いよいよ公判が始まった。
 

検察側は多くの証人を喚問し、ダンサー検事の巧みな誘導訊問で、
 

被告は不利になるばかりだった。
 

ローラの犯された証拠も出てこなかった。
 

次の公判で、ポールは警察のカメラマンの落度を指摘し、
 

現場で最初に立ち会った警官から、
 

ローラが犯された事実を証明させた。
 

これで殺人動機は明らかになった。

陸軍病院の精神鑑定は、マニオンの当夜の行動は不可抗力の衝動といっていたが
 

裁判で正式に、一時的の精神異常と断言した。
 

ポールはミシガン最高裁で「不可抗力の衝動」による抗弁が
 

勝訴になった判例を発見。
 

検察側はこれで旗色が悪くなった。

 


 

ポールはクウイルと特別な関係があると噂されている酒場の支配人メリーに
 

会った。
 

彼女を通してバーテンの証言をとろうとしたが、ダメだった。
 

検察側はマニオンと同房の男を証人にたてた。
 

彼は、マニオンが法廷でした証言は全部嘘だと言った、と 証言した。
 

しかし、この男は偽証罪などの前科者で、
 

検事に指示されて打った芝居と分かった。
 

パーネルはメリーが私生児という事実を発見した。
 

最後の公判で、メリーは事件の翌朝、クウイルの寝室のそばで
 

1枚のパンティを見つけたと証言した。
 

それはローラのものだった。
 

検事はメリーをクウイルの情婦だと鋭く追求したが、
 

メリーはクウイルが実の父親だと告白したのだった。
 

検察側は、万事休す。
 

マニオンは無罪。
 

ところが、マニオン夫妻は「“不可抗力の衝動”で町を去る」という
 

皮肉かユーモアか・・置手紙を置いて町を去った。ポールやパーネルに弁護料を払わずに・・・・
 

ポールは次の顧客を訪ねようとパーネルを促した。そう
 

メリーの相続問題を受けようと・・・



レイプ問題に真っ向から取り組んだ法廷劇ですが・・・・
 

レイプが本当にあったかどうか?そして殺人を犯した軍人の夫は
 

正常な精神状態で殺意があったかどうかが争われるのがまあ焦点なのです。
 

が、ドラマは結構笑わせるシーンも多く、ジェームス・スチュワートの
 

ジョークを散りばめた洒落たセリフが魅力、
 

特に悪人も登場せず、殺されたクウイルも写真の死体で登場するだけ。
 

まずこの作品の魅力は
 

デユーク・エリントンの登場、演奏。
 

♪A列車で行こう♪は言わずと知れた彼の代表曲。
 

本作品では
 

ミュージシャンとしての格というか人間としての格が分かるオーラを発している。
 

 

 


 

そして力量発揮のジョージ・C・スコット
 

とても個性の強い人ですが、まだ30代。
 

この作品ではアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされ
 

後に≪パットン大戦車軍団≫で主演男優賞を授与されるはずがこれを
 

辞退したのは有名ですね。でも作品は面白かったです。
 

気味悪いくらいにこの方も役に化ける。
 

≪博士の異常な愛情≫でのピーター・セラーズのアドリブ満開と比べて
 

タージドソン将軍の役のように同じ演技を何度でも繰り返して演れる役者だと
 

言われた。≪ヒンデんブルグ≫も彼の作品では好きです。


 

ローラに扮したリー・レミックはその愛らしい顔とは裏腹に崩れた役もいい。
 

≪酒とバラの日々≫など良かった。
 

ストーリーとしては何の変哲もないものかもしれないが
 

映画として見た場合、デザインタイトルの死体のイラストのお洒落感。
 

スコットの名演技、
 

そしてデユークのジャズ。
 

主人公をジャズ好きにしたのは正解。
 

アーサー・オコンネルの味わい深い人物像。
 

そして母性愛に満ちたイヴ・アーデンのいる場面がホットにする。
 

スチュアートのスチュアートらしさが満載で心地よい。
 

ベン・ギャザラは当然の域を超えてもいない
 

下回ってもいない好演かな・。


 

ハリウッドの異端児といわれたオットー・プレミンジャー監督の意欲作。
 

西部劇の≪帰らざる河≫、
 

フランク・シナトラを起用して、麻薬中毒の恐怖を題材に描いた≪黄金の腕≫
 

そして自身もユダヤ人であることから、イスラエル建国を描いた
 

≪栄光への脱出≫、≪枢機卿≫もありましたね。
 

ビリー・ワイルダー監督の作品≪第十七捕虜収容所≫では俳優として
 

敵国ドイツの冷酷な軍人を演じていました。
 

判事になった俳優さんも可愛い・


 

もっとシリアスな法廷モノだと思ったが気楽に見れる娯楽作品。
 

   おススメ です。

 

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