≪イナゴの日≫・・ 本当に怖い映画とは・ 1975年度作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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       ≪イナゴの日≫

 

こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。

 

ーーーイナゴの日ーーって変なタイトルですね。

 

私は1970年代、1980年代の映画には遠ざかっていましたので

 

現在テレビの放映で鑑賞してるのですが、この作品も知ってはいたけれど

 

やっとお目にかかれました。

 

まあラストは衝撃的で何を訴えようとしていたのか・・・と

 

一般に言う怖さとは違って背中がぞっとするような怖さでした。

 

さて、個人的にはあまり好きではないカレン・ブラックと

 

俳優としては魅力的なドナルド・サザーランドの

 

登場です。前半はウイリアム・アザートンとカレンの絡み

 

後半にサザランドが登場するわけですが

 

ハリウッドの内幕もの。

 

サザーランドの作品としては≪針の眼≫が強烈に印象に残っています。

 

≪普通の人々≫で始めて彼を知ったと思います。

 

その他、≪JFK≫くらいが主に見た作品でしょう。

 

カレン・ブラックにおいては正直言って、

 

どうみても賢そうには見えない、演技はうまいんでしょうが、どこが魅力なのかもわかりません。

 

が、この作品のフェイという役柄は彼女には適役かもしれません。

 

どういう角度からのハリウッド内幕ものなのか興味がありましたが・・・・・

 

この作品はストーリーを本気で書くとながーくなりますので

 

あらすじということで。

 

ジョン・シュレシンジャー 監督
キャスト
ホーマー         ドナルド・サザーランド 
フェイ          カレン・ブラック 
ハリー          バージェス・メレディス 
トッド          ウィリアム・アザートン 

 

時代は1938年・

 

エール大学を卒業したトッド・ハケットはエール大学を卒業して、

 

ハリウッドにやってきた。サン・ベルドウという安アパートに落ち着いた。

 

秋のこと。

 

ある大手映画会社の美術部に就職するつもりだが、このアパートで早速

 

フェイという女性と知り合う。

 

トッドの部屋から小さな庭をへだてた向かい側には、

 

グリーナー父娘が住んでいた。

 

父親のハリー・グリーナーは

 

昔はボードビリアンだったが、今は「ミラクル」という洗剤を

 

売り歩くセールスマンで、フェイは彼の娘だった。

 

フェイは映画のエキストラで、

 

大スターになると信じていた。

 

早速、二人はドライブに行った・その帰りに

 

自分がエキストラとして出演した映画を見に行くので一緒にどうかと誘った。

 

 

ボーイ・フレンドのアール・シェープと見に行く約束をしていたのだった。

 

トッドは同行したが不機嫌なアールの態度から、彼が

 

トッドを恋敵と敵視し始めたのは明らかだった。

 

だが、トッドはフェイに夢中になった。

 

彼女はトッドに気があるそぶりを見せながら、体を許そうとはしなかった。

 

結局フェイに翻弄されたかたちのトッドだったけれど

 

撮影所では美術監督のクロード・エスティに気に入られ、

 

新作の「ウォータールーの戦い」のセット・デザインを任されるという

 

好スタートを切った。

 

ある日、フェイの父親がセールス先の家で脳出血で倒れてしまった。

 

その家に住んでいたのは、アイオワ州の田舎町ウエインズビルから出てきた

 

職業は経理事務員という陰気なホーマー・シンプソンという男だった。

 

倒れた父親を引きとりにきたフェイは、この孤独な変人男に

 

強烈な印象を与えたのだった。

 

その日からホーマーは、フェイの愛情を求めるのか、

 

サン・ベルドゥに足しげく通うようになった。

 

だがその度に、ませた金髪の子役アドールはホーマーをからかうだけでなく、

 

あくどいいたずらをしかけるのだった。

 

ある夜トッドは、フェイ、アールと共にハリウッドの丘の上にピクニックに

 

出かけた。

 

そこには浮浪者が住みついているキャンプがあった。

 

酒がまわるにつれ、キャンプファイヤーのまわりはおのずと乱れた。

 

アールはミゲルという闘鶏を飼うミュージシャンとフェイを張り合い、

 

一方トッドは酔った勢いでフェイを襲うが、

 

みじめにも失敗する。

 

一方、ハリーの病状は悪化の一途をたどる。

 

ビッグ・シスターという新興宗教の女教祖を信心しているホーマーは、

 

ハリーの病気を治せるとフェイを説き伏せ、

 

その集会に重病のハリーを連れだす。

 

だが数日後、ビッグ・シスターの祈祷のかいもなくハリーは死んだ。

 

そのことがきっかけで、フェイとホーマーは同棲を始める。

 

しかし気ままわがままなフェイが

 

ミゲルとアールを勝手に車庫に住まわせた。

 

それでもホーマーは何も言わないのだった。

 

フェイはわがまま放題、やりたい放題だがホーマーは何も言わず

 

ただ観ているだけだった。

  

 

 

さて ”ウォータールーの戦い”の撮影が始まった。

 

トッドはエキストラ群の中にフェイとアールの姿を見つけた。

 

カメラが回り出す。そのときトッドは、未完成のセットに立ててあった

 

   『立入禁止』  の立て札がとり払われているのに気がついた。

 

数百人のエキストラが、崩れた足場から地面に転落するという事態が起きた。

 

幸いフェイは無事だった。

 

それから何日かしてトッドは

 

久しぶりにフェイとホーマーと一緒にナイトクラブへ繰り出した。

 

驚いたことに急にその席で

 

フェイが人前も構わず、気の弱いホーマーをなじり、

 

愚弄するのを見たのだった。

 

そのホーマーがフェイを諦めて、故郷のアイオワに帰ることを、

 

しょんぼりとトッドに打ち明けた。

 

その夜、ハリウッドのサンセット・ブルバードは

 

華やかなプレミア・ショーが開かれていた。

 

ライトで煌々と照らされ、

 

スターを一眼見ようというものすごい数の群衆で埋めつくされていた。

 

トッドはその群衆の中から、

 

トランクをさげ人ごみをかきわけながらバス停に向かうホーマーを見つけ、

 

最後の別れをしようと声をかけるが、その声は群集の声でかき消され

 

やっとホーマーに近づいたが

 

ホーマーはトッドの手を荒々しく押しのけた。

 

 

なおも群衆をかきわけて黙々と歩くホーマーの眼の前に、

 

例の金髪の少年アドールが立ちふさがった。またしても

 

悪態をつきホーマーの頭に石を投げつけた。

 

その瞬間、あらゆる人間に対して抑えに抑えていたホーマーの怒りが

 

一挙に爆発してしまう。

 

怒り狂ったホーマーは少年を道路わきの駐車場に追いつめ、

 

少年を何度も何度も足蹴りにし踏み殺してしまうのだった。

 

この光景を振り返って目撃した群衆は、

 

リンチを叫びながら、

 

ホーマーを大通りにひきずり出し、かつぎあげ、叩きのめしてしまう。

 

群集にもまれ動くこともままならないトッドはどうすることも出来ず

 

ただ呆然と見つめることしか出来なかった。

 

フェイも群集にもまれてこの光景をみていたのだった。

 

足から血を流し辛うじて群衆の中を抜け出たトッドの脳裏に

 

この狂乱が、前々から映画で描きたいと思っていた”ロサンゼルス炎上”

 

という作品のスケッチと重なった。

 

 

車に火を放ち、店を掠奪し、映画館を焼き払う暴徒と化した群集。

 

それは現実の出来事かと思うくらいにトッドの

 

心、頭の中をは複雑に駆け巡るのだった。

 

 

それから数日後、フェイがサン・ベルドゥに戻ってきた。

 

トッドの部屋のドアをノックするが、そこはもうもぬけのカラだった。

 

男を翻弄させる女の性根の悪さを徹底的に描ききった。

 

性悪女を演じるのがカレン・ブラックというのがミソ。

 

翻弄される情けない男ホーマーを徹底的に描ききった。

 

主人公はハリウッドに夢を抱いてきた青年。

 

彼もまたハリウッド独特のエゴの渦巻く人々の世界で、翻弄されていきます。

 

二度ほどの出演場面しかありませんが、

 

子供の残酷さもこの映画では究極ともいえる憎たらしいガキとして

 

描いていきます・さすがに≪真夜中のカーボーイ≫を撮った名匠ですね。

 

 

ドナルド・サザーランドがいつも見る彼の姿とは違った

 

弱くてナイーブでいつも何かにびくびくしている役をたっぷり熱演でした。

 

 

で、≪イナゴの日≫というタイトルの意味がラストで分かりました。

 

イナゴさながらに殺到するラストの群衆シーンがまさに

 

ぴったりの表現です。すごいです。恐ろしいです!!

 

観終わった後の後味の悪さは・・・・心してごらんくださいませ。