《マラソンマン》・・アスリートの根性物かと思いきや??・・上物のサスペンス!! | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

好きなのは戦前のフランス映画です。

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     《マラソンマン》
  こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。

 

本日の作品は主役はやはりダステイン・ホフマンなのでしょうが

 

ご自身が自分の作品の中でこの”マラソンマン”が一番好きと

 

言われたようにローレンス・オリヴイエも主役と言っても良いのではないかと

 

思うほどすばらしい。

 

☆1976年度製作

 

☆監督            ジョン・シュレシンジャー

 

☆キャスト
ベーブ                   ダスティン・ホフマン
クリスティアン・ゼル博士・   ローレンス・オリヴィエ
ドク・                   ロイ・シャイダー
ジエニウェイ・           ウィリアム・ディヴェイン
エルザ・オペル・         マルト・ケラー

 

ニューヨーク。

 

銀行の貸金庫より出た老人は出してきた小箱を

 

ある男に手渡した。

 

その後、車の運転がモタモタとして捌けずに、

 

後ろから来たもう一人の老人をイライラさせてしまい

 

(車の調子の悪いのもイライラのひとつの理由だが)ーーーその老人は

 

なんと今で言うあおり運転を始め二台は、雑踏の中をぶつけ合い

 

何度も危険な状況を作り

 

挙句の果てに、

 

とうとう車は炎上し二人とも交通事故で焼け死んだ。

 

燃える車の下になにやら鍵が熱さに耐えている??ようである。

 

この事故を近くでマラソン・トレーニング中のベーブは何気に見た。

 

アベベ・ビキラを崇拝するベーブ。

 

ランニング中に見た事故は彼の運命を狂わせ始める・・・・・

 

マラソンマンというタイトルからしてスポーツ根性物とずーっと

 

思っていたのですが、不気味なサスペンス物でございました。

 

この冒頭シーンは結構時間をかけており、重要なのかな??と思わせる

 

スタートである。

 

ベーブがバスタブに浸かって聞いていたテレビのニュース・

 

あの事故はユダヤ人地区で起き、しかも死んだ一人は

 

ナチの残党クリスチャン・ゼルの兄だと報じていた。

 

ところは変わってパリ・

 

アメリカ政府機関に所属しているベーブの兄ドグはパリにいた。

 

チョコレートショップに寄りチョコを買った。その箱の中に

 

例の老人が引き出した小箱ーーーどうもタバコの箱?をその箱に入れ

 

チョコを乗せた。

 

ジェニーという人物との交信の後、ドグは下町に出向いた。

 

その間不審な人物がいろいろと行き交う。

 

特にベビーカーを押す人物がドグのすぐ後ろを歩いていた。

 

そして入った骨董屋のような?店でチョコレートの箱を主の

 

ルクレールに渡した。

 

今夜オペラ座で金を渡すと約束して店を出た。

 

ベビーカーはのみの市の通りのごみの山の前に捨てられた・・その中には

 

人形が眠っていた。

 

 

ほんの前に止っていたタクシーにドグが乗り込むのと同時に

 

人形の眼が開いた・・その瞬間爆発が起きた。

 

プラザ・アテネとドグは運転手に言っていたが生死は不明。

 

義眼の男が絶えずドグを見ている。

 

 

変わってニューヨークはコロンビア大学。

 

ベーブが通う大学だ。

 

教授に聞かれた論文のテーマにベーブは専制政治ですと答えた。

 

パリ・・

 

生きていたドグがオペラ座に向かうと

 

席に座っているルクレールが首から血を流して死んでいた。

 

危険を感じた  いや随分前から身の危険を感じているドグだったが、


今夜は身近に死を感じていた。

 

オペラ座の裏を用心しながら歩いていると

 

暗闇からサッカーボールが転がってきた。。。

 

不気味にドグの目の前を通り過ぎてボールは静止した。

 

このあたりの描写はうまいですね。

 

観ている我々観客は息を止めて成り行きを見ている。

 

ドグのアップが何度も映る。

 

そしてボールの静かなアップ。

 

 

何が起こるのだろうと・・・・・

 

何事もなかったのかホテルでくつろいでいて ドグは

 

襲われた・・義眼の男に。

 

 

ある日、ベーブは大学の図書館でエルザという美しい女学生と出会った。

 

一方、南米ウルグアイに隠れている元ナチの党員だったゼルの住まい。

 

不気味に並んだ棚の歯をむき出しにしたしゃれこうべ。

 

何に使うか工具だらけ・

 

ホモセクシュアルな感じの本人様とこの妙な不釣合いな環境は

 

不気味だ。

 

ドレッシイな白のシャツ、白のズボンにサスペンダー白い靴

 

白髪、銀縁のめがねはナチ時代の殺し屋を思わせる。


その白髪をはさみでぷつりぷつりと切るゼル様。どうやらハゲに変身。

 

布を被って 雨のジャングルの河を船で下ってゆく。

 

どうやら

 

ニューヨークの兄--<運び屋>の 事故死を知り、

 

ニューヨークへ飛んできたようだ。

 

これで登場人物は揃いました。

 

ここで約1/3。

 

 

ここからやっとストーリーの展開が始まります。

 

 

ベーブはスイス人のエルザと恋人同士となりデートを重ねていたが

 

ある日セントラルパークでデート中に二人組みの

 

ビジネスマン風の男たちに襲われる。

 

ゼルは被り物を脱ぐと頭の中央だけが剃り落とされハゲ頭の形相、白ではない服装は

 

全く別人のようになっていた。

 

ベーブたちを襲った2人が空港でゼルを迎えた。

 

ベーブが公園で襲われたことを手紙でドクに書いた数日後、

 

ドクは帰って来た。

 

エルザを交えた3人は食事をするが、


彼女がスイス人と偽って実は、ドイツ人と知りドクの態度が急に変った。

 

その夜ドクはゼルと会う。

 

彼はゼルの運び屋も兼ねていたのだが、

 

弟に手を出すなと言った矢先、

 

ゼルにナイフで刺された。

 

ベーブのアパートにたどり着いたもののこと切れた兄に驚くベーブ。

 

そして、入って来たドクの同僚ジェニウェイに

 

実業家だと思っていた兄の正体・・・を知らされる。

 

FBIも扱えないそんな秘密裏の仕事に属する部隊・・・と知らされ

 

再び驚かされるベーブだった。

 

表向き実業家、そしてゼルの前では運び屋を装ったこと。

 

ベーブはなぜ自分が襲われたのか、また兄が殺されるとか

 

どうして自分にそんなことが降りかかるのか今まで

 

考えもしなかったのに。

 

 

やがて公園でのあの2人の男にベーブは誘拐され、

 

地下室に連れこまれ、拷問をうける羽目になった。

 

その拷問とは歯科医と名乗るゼルの歯の治療だった。

 

この残虐なシーンでこの作品はちと有名になったんですってね。

 

銀行の貸金庫にゼル自身が宝石を受け取りに行っても安全かどうかを、

 

ベーブから聞き出そうとしたのだ。しかしなんの関係もないまた何も知らなかったベーブは

 

ちんぷんかんぷんで応えようがない。だが敵はそれでは納得しはしない。

 

あまりの苦痛に気を失ったベーブをジェニウェイは助け出すが、

 

それもベーブから秘密を聞き出そうとするワナとは知らず・・・・。

 

 

ジェにウエイはゼルの正体をベーブに話す。

 

ナチの強制収容所で”白い天使”と呼ばれた男。大金持ちの戦犯。

 

あの頃から白髪だった。

 

ウルグアイの隠れ家に住む。

 

収容所のユダヤ人を報酬次第で逃がしてやった。

 

報酬は初めは純金。

 

次がダイヤだ!ドグから何も聞いてないのか??

 

ゼルはそのダイヤを兄のゼルに預けた。今はニューヨークの銀行にあるはずだ。

 

鍵はゼルとその兄が一つずつ持っていた。その兄が交通事故で死んでしまった。

 

ゼルが鍵を使うと正体がバレる。

 

 

”初めが純金とはなぜだ?”とベーブ。

 

”殺す前に金歯を抜いた  奴は歯科医だ”ったから”

 

”奴はアメリカにいる”

 

”ありえない”とジェニウエイ

 

”歯科医だったさ。安全か と何度も聞かれた”

 

”白髪だったか””ハゲだ”

 

”なぜ僕を襲う??”   ”君の兄ドグはパリへダイヤを運ぶ係りだった。”

 

”兄はゼルの手下なのか?”  ”違う!必要な情報を引き出していた””

 

ゼルはナチ戦犯の逃亡先に詳しい。  我々には貴重な情報だ  

 

   ベーブ 一つだけ頼む 兄上の弁護だけはやめたまえ

 

      彼は死ぬ前に何か言ったはずだ””

 

””ノー 何も 僕の名前。。ベーブと何度も言っただけさ”

 

車を走らせながらの会話はジェニウエイの思うような回答は得られず、

 

車を止めた先は、ベーブが拷問された元のビルの前だった。例の2人が待っていた。  

 

ジェニウェイすらも敵だったのだ。

 

手下の隙をつき 日頃のマラソンの訓練を生かして

 

やっとの思いで、脱出に成功したベーブだった。

 

エルザの協力の下、郊外の家に隠れるが、

 

そこはゼルの兄の家。

 

エルザもまた一味の1人だったのだ。

 

ベーブは彼女の正体を知り驚くが、

 

再び現われたジェニウェイの一味と死闘をくり返す。

 

そして勝ち残ったベーブ。

 

一方

ゼルは宝石買取店の並ぶ通りを歩いていた。

 

ある店に入ったゼル。たくさんの人たちが自分の宝石の売値を

 

交渉している。

 

ゼルは外に出た。ひとりのユダヤ人らしき老婦人がじっとゼルを眼で追っていた。

 

そしてもう一軒。

 

そこで6カラットのダイヤを見せてくれとゼル。

 

 

店主はどこかで見た顔だ!と頭をひねる。

 

ロンドンで30年も宝石店をやっている。会ったことがあるかも知れんさ!!

 

ゼルの機転だった

 

その店主の手首に収容所で烙印された文字があるのをゼルは見逃さなかったから。

 

だが店主は  ”いや 違う”と不審がった。

 

また店を出たゼル。一体何の目的で何軒も店に入るのだろう?

 

焦っているかに見えるゼル。

 

すると通りの向こうから例の老婦人が  ”あの  男 まさか

 

      ゼルかしら??  ”追いながら

 

    "ゼルよ  ゼルだわ  早く捕まえて  白い天使よ”と

 

街ゆく人々に叫んだ・・人々は振り向けどだれも行動は起こさない。

 

普通の人たちにとってほんの少し前の出来事とはいえ  戦犯の白い天使と言ったってぴんとこないだろう。

 

気づかない振りでゼルはまっすぐに進んだ・

 

”わたしが捕まえるわ!  ”と通りを渡ろうとして車にはねられてしまった。

 

そして追ってきた宝石買い取り屋の店主は ”思い出したぞ ゼルだ"と

 

言った瞬間にゼルに切りつけられ死んだ。

 

怖いのはこの時に  ”誰か怪我をしてますよ 医者を呼んだほうがいい と自分とはかかわりがないと言った

 

平然とした態度が取れるってことですね。

 

殺しに慣れた手合いの言葉ですね。

 

つまり

 

ベーブを拷問する時に何度もただただ  安全か?とだけ繰り返し聞いていたのは

 

貸金庫に行くのが安全か?だったのだ。だから街を歩いて通りの人たちの

 

自分への反応を試していたんですね。

 

そしてやっと貸金庫にたどり着きました。

 

冒頭 燃える車の下にあったあの鍵。

 

二つのうちの一つの貸金庫の鍵だったんですね。

 

貸金庫の中身の溢れるようなダイヤを見て思わずこぶしを口にあて

 

笑いを押し殺すように喜ぶゼルだった。

 

そのダイヤの大きさと言ったら大きいものは親指くらい・・それが何10個いや100個以上の数かもしれない。

 

きらきらと輝くダイヤたちの間から映るゼルの眼は爬虫類の目でした。

 

静かなナチの残党ゼルのオリヴイエの演技はやはりすごい貫禄です。

 

冷ややかなそしてある種おびえたような 毒蛇のようなキャラクターを

 

静かに演じています。

 

品格のある方は悪役やっても品格は付いて回るのかしらね。

 

待ち伏せていたベーブはゼルに銃をちらつかせ公園へと導いた。

 

そして入ったのは排水処理場。

 

 

中身をみせろ  そいつを俺に狙われてるとでも思ったのか ! 

 

頷くゼル。

 

”  見当違いだ あさましい。”とベーブ

 

 

”ノー ノー 心配で心配でたまらなかった”とゼル

 

何年も何年も これのために友人まで敵に回しやっとーーー自分の手に

 

   取ったときにはもはや死が目の前だ  この近づく死こそが 最悪の裏切りだな”

 

”これを飲み込め!!”と言ってダイヤを掴んで空にばら撒くベーブ。

 

あわててみっともない姿でダイヤを追う元ナチの党員ゼル。

 

もっともっと飲め”

 

これは大学の論文ーー専制政治のことーーーつまりゼルたちの時代に

 

無実の罪で死んでいった父の

 

恨み この戦犯たちが犯した罪と兄を殺された憎しみも入り混じったベーブの

 

挑戦だった。

 

ダイヤの入ったスーツケースを挟んで繰り広げられる

 

二人の対峙のシーンは長く、結局ダイヤはケースごと下水の水中に投げ込まれ

 

ゼルはそれをつかもうとして

 

その階段から転げ落ちて自らのナイフに突き刺さり最期を迎えるのだった。

 

冷ややかな顔のベーブ。

 

いつものマラソンコースを男達が行くのを尻目に去って行く彼だった・・・・

 

前半の人物紹介描写から中盤、後半は息をつく間もない見事な

 

筋の運びで愉しませてもらいました。

 

長きお付き合いありがとうございました。

 

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