≪居酒屋兆冶≫・・ 日本の銀幕のスター男優 ⑲・高倉 健さん 作品・・1983年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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ご了承くださりませ。

   

     日本の銀幕の男優 ⑲ 高倉 健さん
       

  作品  ≪居酒屋兆冶≫

 

こんばんは。いつもご訪問頂きましてありがとうございます。

 

さて日本を代表する・・・この方を嫌いと言う声を聞いたことがない

 

俳優さん・・スター  高倉 健さんを取り上げます。

 

1956年に東映からデビュー

 

アクション・喜劇・刑事・ギャング・青春もの・戦争・文芸作品・ミステリなどに

 

挑戦するがどれもぱっとせず、

 

1963年の≪人生劇場 飛車角≫あたりで彼の魅力が開花する。

 

それまでは普通の俳優と同じようなセリフの量があったが

 

会社は健さんは黙って立っているだけで絵になる・・・・

 

寡黙にただ立っているほうが魅力が倍増するといって、どんどん

 

セリフを減らしていったそうである。

 

 

寡黙な立ち姿と鋭い眼光が任侠映画のスター  

 

高倉健の人気を不動のものにしたのだった。

 

 

そして次の転機は おそらく  ≪八甲田山≫であろう。

 

 

≪八甲田山≫と同時に封切られた≪幸せの黄色いハンカチ≫で

 

賞レースの常連となる黄金期を迎える。

 

 

寡黙で一途で、自分の思いを伝えることに不器用な日本男児の理想形が

 

第二ステージの健さん。1977年から1994年  ≪四十七人の刺客≫

 

あたりまで。

 

晩年の1995年以降は≪鉄道員ぽっぽや≫ ≪ホタル≫≪あなたへ≫と

 

繋がっていく。

 

 

わたしは・・・好きな作品を選ぶとしたら・・・

 

  山田洋次監督の ≪遥かなる山の呼び声≫と

 

  降籏康男監督の ≪あ・うん≫これはもともと向田邦子さんの原作が

 

好きなことも理由にある。

 

黒澤明監督もこの二作品を選ばれているのがうれしい。

 

寡黙で不器用で・・・という健さんのキャラクターは

 

日々努力する内面から滲み出る  演技以前の健さんの魅力となってしまった。

 

で、今夜選んだ作品は≪居酒屋兆冶≫であるが・・・・

 

正直、何度見ても飽きない作品なのではあるんだけれども・・・

 

例えば、

 

主人公英治=兆冶の店に集まるーー彼を取り巻く人たちとの絡みの

 

すばらしい演出とうまい俳優さんたちの魅力がとてもスパイスが効いていて

 

何度見ても面白い。

 

もうひとつは健さんと大原麗子さんの恋模様の横糸である。

 

大原さんは美しい、儚い、切ない・・・が、正直言ってこの役柄は

 

女性が最も嫌うタイプの女性像なのですね。

 

男性からすれば守ってやらなくては!!

 

自分が付いていなければと思わせる女性で

 

圧倒的に男性には受けるふたりの恋の事情であろう。

 

何だか62歳で孤独死した彼女と重なって切ない。

 

女性にとってはもう、ねちねち未練がましい


心を病んでいるのではと思うほどに非常識極まりない女性なのである。

 

だからこそ木村さまの映す映像で麗子さんは美しい。。

 

だけども正直後味は良くないのはぬぐえない。。。。。

 

 

監督 降籏康男

 

撮影 木村大作

 

キャスト

 

藤野英治(兆冶)       高倉 健

藤野茂子           加藤登紀子
さよ              大原麗子
英治の親友岩下      田中邦衛
河原             伊丹十三 
峰子             ちあきなおみ
神谷久太郎         左 とん平
越智             平田 満
秋本             小松政夫

保険屋のくたびれ男   池部 良

 

 

 

 

    ストーリー

英治は学生の頃野球をやっていたが肩を痛め、野球をあきらめた。

 

英治は造船所に勤めたが、出世を約束するという条件と交換に

 

同僚を含む社員たちの首切り役を仰せつかり嫌気がさしてその会社を

 

辞めた・

 

寡黙でまじめで融通の利かない不器用な英治は

 

妻の茂子と函館の場末で居酒屋を営み始めた・


店の名前は 兆冶 である。

お登紀さんがとても可愛くさりげない演技がとてもよい感じ。


店は繁盛した。

 

兆治の同級生で投手と捕手のバッテリーを組んだ無二の親友岩下は毎日のように

 

ここに通った。

 

元の会社の同僚有田やその部下の越智、

 

学年が一年先輩で今はタクシー会社経営している策癖の悪い河原たちも

 

毎晩のように足を運んで賑わっていた。

 

 

「兆治」の向いの小料理屋 若草 の女将で陽気な峰子がカラオケで

 

客を集めていた。

 

峰子もしょっちゅう、ここに入り浸っていた。

 

 

兆治は肩を壊して野球をあきらめた頃に知り合ったさよとの苦い思い出があった。

 

一緒になろうと思えばなれたはずの二人だったが、

 

まだお金もなくさよを幸せに出来る自信もなかった英治は

 

さよからみを引いたいきさつがあった。

 

誰もが振り向くほどの美しさを持つさよ。

 

旧家の牧場主神谷久太郎からの縁談がさよに。

 

愛のない結婚に踏み切ったさよだが、今でも兆治を想いつづけ、

 

諦めきれない英治への思いは苦しくて苦しくてとんでもない行動に走る

 

さよであった。

 

思い余って若い男と駆け落ちをしたこともある。

 

久太郎はいつさよが逃げ出すかと不安だった。

 

 

ある夜、さよの不注意からというより故意かも知れない・・・・

 

神谷牧場が火事に見舞われ、さよは街から姿を消していった。

 

それからどのくらいの日々が流れたのだろうか・・・

 

仕込みにかかる兆治の背後にさよが突然現われ、

 

あんたが悪いのよ はっきりしないから・・・

 

と言い残して土砂降りの中を逃げるように去っていった。

 

さよの消息もはっきりしないまま、

 

兆冶の小さな店だけは何処か時代に取り残されたような中で

 

そこに集う市井の人々の哀感こもるエピソードが繰り返されていく。

 

そんな中、常連客の秋本の妻が死んだことで、

 

悪口を言う河原に

 

我慢できずに思わず手が出て殴っってしまった兆治だったが、

 

警察に連行された。しかし、刑事の取調べは河原への暴力よりも

 

なぜかさよとの関係に集中している。

 

警察は兆治とさよの関係から、放火事件を疑っていたのだった。

 

無実が証明され、

 

釈放されひさびさに店に戻った兆治を茂子と岩下が笑顔で迎えた。

 

店の再開を聞きつけてやって来た峰子から

 

さよをすすき野で見た人が居るとの話を聞く。

 

昔のさよの写真を引き伸ばし、すすき野の繁華街を訪ね回る兆治は

 

造船所時代の後輩で店の客の越智と偶然に出会った。

 

越智は兆治にサリーというホステスを知ってるかと聞く。

 

越智はサリーに結婚を申し込んだという。

 

実はサリーこそ失踪してすすき野のキャバレーのホステスに

 

身を落としたさよだった。

 

兆治はさよの部屋を訪ねる。

 

が、そこには酒で身体を病み、過去も未来も捨てて生きることを棄てた

 

さよが横たわっていた。

 

 

 

大原麗子さんは  映画 《おはん》で演技開眼したと言うが

 

この≪居酒屋兆冶≫が代表作であろう。

 

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