≪白い粉の恐怖≫・サスペンス作品 第④夜 三國連太郎さんの    1960年度  | 吐夢の映画日記と日々の雑感

吐夢の映画日記と日々の雑感

懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

好きなのは戦前のフランス映画です。

読まれて共感頂けたら、"いいね"を押してくださいませ。
励みになります。

   ≪白い粉の恐怖≫

 

 


こんばんは。いつもご訪問ありガとございます。


1950年代から1960年代にかけて

 

東映も優れた現代劇多々送り出している。

 

 

今井正監督の(ひめゆりの塔)

 

小林恒夫監督の(点と線)

 

内田叶夢監督の(飢餓海峡)

 

今井正監督の(純愛物語)

 

今井正監督の(米)

 

時代劇はちょっと置きまして・・・

 

現代劇は1950代半ば~1960年代前半にかけて、主演スターとしての

 

東映ニューフエイスを輩出している。

 

中原ひとみ  高倉健  佐久間良子 梅宮辰夫 千葉真一らである。

 

東映城のチャンバラ映画が全盛期を迎えている一方で

 

力強い現代物が作られていた。

 

高倉健さんの(悪魔の手毬歌)なんてのもありました・健さんの金田一耕介も

 

違ったイメージでまた一興。

 

そして今夜取り上げるのは村山新冶監督作品の  ≪白い粉の恐怖≫です。

 

村山新冶監督はなじみが薄いですが

 

警視庁シリーズや娯楽作品を多々監督した人です。

 

 

昨今テレビを頻繁に賑わす嫌なニュース。

 

大麻、覚せい剤、コカインと後を絶ちませんね。

 

ヘロイン、麻薬・・どこが違うのか私にはわかりませんが

 

作られている国や歴史も関係しているようですね。

 

本作品の驚愕するラストは身の毛がよだちました。

 

一役入魂の役者といわれる三国錬太郎さんが

 

この作品では麻薬取締官として≪飢餓海峡≫での動の演技とは対照的に

 

刑事の日常を交えながら淡々と演じている。

 

また1954年にデビューした中原ひとみさんが麻薬患者の役で

 

気負うことなく好演している。

 

純情可憐な役どころの多かった彼女の演技派としての地位を

 

確立した作品であるかもしれません。

 

 

 

 

監督 村山新治

原作 桑山信也

 

キャスト
須川弘          三國連太郎 
須川の妻滋子     岩崎加根子 
滋子の妹明子     春丘典子 
刑事杉山       浜田寅彦 
刑事桜井       今井俊二 
刑事夏木       増田順司  
刑事大場       清村耕次 
刑事矢野       河野秋武 
麻薬売人田口     大村文武 
麻薬売人井本     曾根晴美


      ストーリー

 

一篇の古い詩が流れる・・・

 

    眠りを与える  けし

 

      憂いを忘れる   けし

 

    人が幽宴境を異にするとき

 

      渡りゆく忘却の河のように、

 

    一切の記憶を失わしめる  ケシ    <ローマの古詩>

 

昭和34.5年ごろの

 

新宿の街の片隅・・

 

一人の麻薬患者が横たわっている。そこにひとりのオンナが

 

お金をわたしてヘロインをもらい注射器で打っている。

 

   麻薬は古来  霊薬と言われてきた。

 

それは医療上  鎮痛 鎮静剤として不可欠のものであったからである。

 

しかし、一度それに取り付かれたが最後 恐ろしいことになる。

 

戦後急激に増えたその中毒者は全国で20万人といわれ

 

日々、彼らの生命を蝕んでいる。

 

 

社会の裏側に咲く悪の華 麻薬  

 

この繁華街には500人あまりの中毒患者がいるといわれる

 

最大の麻薬地帯である。

 

にぎやかなこの街のすぐ裏側には今夜もまた

 

麻薬を求めてさまよう中毒者がいる。ここにもいる ここにも、

 

さらに麻薬を売りつける奴ら。一方

 

それをつけ狙う麻薬取締官。取り締まっても取り締まっても後を絶たない

 

麻薬と売人と患者を追って盛り場の暗がりに今夜も網を張っている。

  

   厚生省麻薬取締官たちは

 

一台のトラックにすし詰めになって

 

情報を待っていた。

 

川井組の麻薬密売人井本と(曾根晴美)と宮川を押さえるためだ。

 

取締官の須川(三国連太郎)は、情報提供者の朝鮮人金山(山茶花 究)を囮に使い、

 

その報告を待って密売現場を襲った。

 

 

宮川とパンパン<あえて字幕のとおりに表現します>の中毒患者・ユリ子(中原ひとみ)

 

を捕らえたが、

 


肝心の売人の井本はすでに消えていた。

 

襖の引き手を外してみると白い包みが出てきた。

 

取り調べの最中、

 

ユリ子は妊娠を理由に釈放を求めた。

 

そして

 

警察はユリ子に捜査への協力を約束して釈放した。

 

 

翌日、金山は井本の暴力を浴びて新宿を追われた。

 

金山は、新宿にはもう居られないと

 

いかしこのお金を須川に無心した。

 

代わりに、最後の情報として、つるやという飲み屋に売人の出入があると

 

須川に教えた。

 

 

須川は、ユリ子の客を装って、つるやに行った。が、

 

井本は須川の正体を見破った。

 

その為、

 

ユリ子も井本に狙われるようになった。

 

須川は彼女を千葉の総武病院に入れ、麻薬から救おうとした。

 

ユリ子の禁断症状は一応癒えた。

 

ユリ子はまた須川のため囮の仕事を始めた。

 

彼女はいつしか須川を慕うようになっていた。

 

 

そしてヒカリパチンコ店のマスター田口が大口の密売をしているのを知り、

 

田口をさぐった。

 

絶対に二度と粉には手をつけないと須川に誓っていたのだが

 

彼女は孤独感に襲われ、

 

再び麻薬の魅力に負けてしまった。

 

 

須川は、田口と太陽商事社長佐伯とのつながりを突きとめた。

 

大和製薬会社の協力を得て、秘書課員に偽装し、

 

ユリ子の手引きで、田口と麻薬取引を交渉、

 

さらに佐伯へとわたりをつけた。

 

会社がピンチなので闇資金調達のためといつわり、

 

佐伯と田口を納得させたのだ。

 

かぶと という料亭で取引きが行われることになった。

 

須川は、

 

ユリ子がまた薬を打っているのに気づいた。

 

手引した彼女の身の危険を感じ、

 

須川は彼女を自分の家に保護した。

 

須川は妻滋子と二歳になる息子と妻の妹明子との4人暮らし。

 

ユリ子を連れ帰ったがしぶしぶ受け入れた滋子であった。

 

一方

 

「かぶと」で佐伯に手錠をかけた取締官たち。

 

なんと

 

佐伯邸の、二階は麻薬密造工場になっていた。

 

そこに、姿をくらましたはずの金山がいた。

 

囮として協力したことのある金山だが、

 

現行犯として逮捕せざるをえない状況だった。

 

田口だけが逃亡した。

 

その頃、

 

靴下に隠していたヘロインを滋子が洗濯機にかけてしまい

 

逆上したユリ子は須川のカメラとラジオと万年筆を黙って持って

 

出て行った。

 

探しに出かけた須川は花園神社境内で見つかった変死体を知ることになる。

 

筵をはぐとユリ子だった。

 

医師の解剖で多量のヘロイン注入によるショック死ということだった。

 

 

須川は殺しだと判断した。

 

ユリ子が規定量を超えるクスリを打つはずがないからだ。

 

 

ユリ子を保護していた須川は妻と一緒に火葬場にいた。

 

ユリ子には身寄りがなかったからだ。

 

骨を拾うために火箸を持った2人が見たものは・・・

 

ユリ子の骨はボロボロになってその形骸をとどめていなかった。

 

こんなにも形を失った骨をまだ 見たことがなかった。これは

 

骨の髄までしみ込んだヘロインのせいである。

 

須川がつかもうとしても掴もうとしても、

 

その骨はすぐに粉になってしまい つかめなかった・・・

 

須川は愕然として妻の顔を見た。

 

 

ユリ子は麻薬のためにすべてを その骨さえも失ってしまったのである。

 

 

この作品は須川の麻薬取締りの活躍を描くというより

 

   ”怖さ”である。白い粉の怖、麻薬というものの実態を描いている

 

佳作である。

 

中原ひとみさんは快心の演技。

 

三国さんは麻薬患者に寄り添うような優しさも持った取締官を

 

好演しているが、

 

若き日の彼は佐藤浩市さんそっくりですね。

 

        ラストの怖さ・・・拾えないほど形状を持たない骨。

 

現在発覚する覚せい剤常習者は

 

この事実を知っているのだろうか・・・?

 

           

          

         

 

   ランキングに参加しています。

ポチっと押していただけたらうれしいです。

   ↓

にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
にほんブログ村