≪天使の顔≫・・サスペンス作品第②夜・・ オットー・プレンミンジャー監督の逸品・1953年 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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基本、鑑賞後の感想ですのでネタバレが殆どです。
ご了承くださりませ。

     

 

       ≪天使の顔≫

 

 

天使ではなくて、後に、顔 が付くということは含みがありますね。

 

天使のような顔をしていて・・・・

 

監督・オットー・プレミンジャー
音楽・デミトリー・テイムオキン

 

出演  ロバート・ミッチャム、ジーン・シモンズ、ハーバート・マーシャル
     ときて面白くないはずはない。

 

いつもご訪問ありがとうございます。

 

サスペンス作品第二夜でございます。

    
ジーン・シモンズ演じるヒロイン・ダイアンはもうすぐ20歳というまだ

 

19歳の少女であるが、これがものすごく頭がいい、会話も誘導が上手くて

 

だれもがつい乗せられてしまうという油断のならない性格である。

 

その上、可愛いときている。

 

 

この作品にはもうひとり美女が登場する。役名・・メアリー  モナ・フリーマン

 

が扮している極めて常識人で品のある魅力的な女性。

 

ロバート・ミッチャム扮するフランクの恋人である。

 

このフランクという男は覚めている男という設定のようだが

 

分かっているようで分かっていない、

 

女の甘い言葉に疑いながらもいいように振り回され愛され、

 

いじいじしながら見ていて・・・結局91分一気に見終えてしまった。

 

       ストーリー

 

ミッチャムの扮する救命士フランクが、同僚のビルと

 

ある大邸宅に救急車で駆けつけると、

 

ガス中毒で死ぬ寸前のダイアンの継母が医者の診察を受けていた。

 

幸い一命を取り留める。事故か殺しか・・

 

夫人は殺されかけたとわめいている・

 

フランクは

 

帰ろうとして、こんな時に居間でピアノを弾いているダイアンという美少女に

 

出会ってしまった・

 

お母さんは無事だから安心しなさいと声をかけた。

 

するとダイアンは泣き出した。フランクは

 

「落ち着け、ママは助かったのだ」と

 

慰めた。この泣きがダイアンの猿芝居だなんて気づくはずもない。

 

フランクが余計なことをしなければ死んでくれたのに…と

 

思っているかもしれない。

 

さて、病院に帰ったフランクは恋人メアリーと食事をする約束をしていたのだが

 

まず、一杯引っ掛けに酔ったバーで後を追ってきたダイアンに

 

メアリーとのデイトを妨害されてしまう。

 

 

可愛いダイアンに鼻の下を長くするフランクの最初の失敗です。

 

そして、あくる日ダイアンはメアリーを呼び出して昼食を共にする。

 

調子のいいことを言ってメアリーに話しかけるが

 

要はメアリーがどういう女性化探りに来ただけで、

 

賢いメアリーはうまくあしらって帰った。

 

 

フランクは今夜の食事を一緒にとメアリーにケロッとして誘うが

 

又も二度目の嘘を見破った彼女はムカついて、うまく交わして断った。

 

 

ちょうど来合わせた同僚のビルはこれはチャンスとメアリーと

 

デイトに出かけた。

 

その後もダイアンはフランクの前に幾度となく現れ、

 

うまく誘導して邸で働くよう持ちかける。

 

元々フランクはレーサーをしたこともあり、コンパーチブルを派手に運転する

 

ダイアンは車にも興味があり、フランクに出資するから、

 

車の修理屋もやったらどうかと持ちかける。

 

継母キャサリンに出仕させるから・・と。

 

結局、フランクはトランクを持って邸へとやってきた。

 

 

ダイアナは幼い頃に、空襲で母親を亡くし、一応作家である父親に

 

とても愛されて育った。

 

が父は再婚。

 

キャサリンという富豪の婦人だったがダイアンはこの女性がハナからとても

 

嫌いだった。

 

ある日父親に、こっそりプレゼントをあげようと書斎に入ると、

 

机の引き出しには真っ白は原稿用紙がぎっしりで、再婚後はただの一行も

 

書いていないことを知り、このオンナが父親を作家としてダメにしてしまった

 

のだと思い込んでいた。

 

かわいそうなパパ・・・・と乙女チックにフランクに話すダイアン。

 

何のことはない・父親を継母に取られた嫉妬なんですよね。

 

キャサリンという女性は中々の実業家で遺産を相続したこともあるだろうが

 

稼ぐことに才脳がある女性のようで、ダイアンがいうほど

 

嫌な女性には見えないが。

 

夫の収入がなくとも十分に優雅な生活は出来るほどの

 

財産があった。

 

父親は男として肩身は狭かったかもしれないが、

 

そこは夫婦の問題で夫婦間がうまく行っていないようには思えない。

 

娘が憎むのは筋ちがいだ…と・・・・

 

邸で暮らすようになって、

 

元々覚めた男であるフランクはそう考えていた。

 

 

類は類を呼ぶ。メアリーも覚めたフランクと似ていてさっぱりと男前の女性です。

 

フランクとは当分距離を置くことにした。

 

継母殺害をあきらめないダイアンは、

 

車に仕掛けをする。

 

が・・・思いがけず、父もその車に同乗してしまい、二人一緒に

 

崖から墜落し死んでしまった。

 

エンジンをかけるなり車は邸前の断崖に向かってバックし、

 

45メートル転がり落ち炎上した。

 

大好きな父親が巻き込まれ死ぬだなんてショックを隠しきれないダイアン。

 

フランクとダイアンの関係が明らかになり、

 

その結果、容疑はフランクにかかる。

 

最初からダイアンがフランクに罪を着せるために近づき利用したのか・・・

 

はたまた罪を着せられることによって自分から離れられないようにするほど

 

彼を愛していたのか・・・?

 

フランクの発言がないため分からない・・が

 

弁護士は亡くなった両親とは懇意にしていたので

 

フランクはともかくダイアンを助けたいので、

 

裁判戦略として二人が恋愛関係にあり、

 

こんな状況にもかかわらず

 

ダイアンは愛を貫くために

 

フランクと結婚するという、

 

恋愛秘話で陪審員の心を掴み無罪に持ち込もうとふたりを説得し、

 

結局結婚する。フランクは、自分が殺人者ダイアナに

 

引きずり回されていることは十分にわかっている。

 

そしてうまく陪審員の心を掴んだ弁護士は二人を無罪へと導いた。

 

 

”君と俺は住む世界が違う。君はドレスに豪邸、

 

いずれ莫大な遺産を相続するだろう。俺の財産といえばこのふたつの手だけだ・”

 

”わたしの望みはあなたよ”

 

フランク ”俺を巻き込むな関わりたくない!”

 

”少しでもわたしを愛している?”

 

”おそらく愛の気持ちはあると思う。が望んでいる愛の形とは違うよ。”

 

と荷造りをはじめる。

 

”わたしを連れていって””君は逃げおおせたし、もう俺は用済みだろ。

 

弁護士さんに離婚手続きを頼んでくれ”と淡々とフランクは言った。

 

ダイアンは強気だ。”メアリーは戻らないわよ。”

 

”出て行く”と無表情で応えるフランク。

 

フランクの決心が固いと知ったダイアン。

 

愛した父親もいない。

 

使用人も解雇した・

 

一人になった今、ダイアンは生きている理由がないと改めて罪を悔い

 

弁護士を訪ねた。ここがちっと筋の運びとして弱いんだな。

 

 

自分が父と継母を殺した、フランクは関知していない、と告げるが

 

今更・・・もう忘れなさいと弁護士は取り合わない。

 

供述するから書きとって裁判をやり直してくれと頼む。が、

 

”一事不再理だ、もうどうしようもない。

 

一度出た判決はもうやり直せないんだよ”

 

ダイアンは50万ドルの遺産を相続する。

 

メアリーのところへ行って許してくれたら車を返しに来てと

 

フランクにキーを渡す。

 

メアリーはさっさとビルと所帯を持とうとしている最中で

 

フランクの入る場所はもうどこにもなかった。がすぐにダイアンのところへも

 

戻らなかった。ダイアンはダイアンで、フランクとメアリーは

 

よりが戻ったものだと思っていた。

 

これで本当に生きる気を失った・

 

二、三日して洋服を取りに邸へやってきたフランク。

 

メキシコへ一人で移住すると言う。連れて行ってくれというダイアンに

 

フランクは断った。バス停までのタクシーを呼んであるという

 

フランクにじゃあバス停まで送るわと言って車に乗せたダイアン。

 

シャンパンを開けて飲もうとした瞬間、車はバックして断崖絶壁を

 

真っ逆さまに落ちていった。

 

ダイアンの無理心中です。

 

50万ドルの遺産が入ったらもう、去る男を追わなくてもいいんじゃない?と

 

と思ってしまいましたが・・・ 

 

ラストが無理に作られた感がないでもないです。

 

メアリーだけ現実に目を背けずに・・つまり彼女はフランクの気持ちが

 

ダイアンから離れられないことを予測していた。

 

フランクを受け入れれば、

 

今ではダイアンの本質を知った彼のこと、自分のところに戻るだろうことは

 

分かっていたが、でもダイアンとの恋愛沙汰を吹っ切れられないだろうと。

 

そう自身で納得してビルと別の人生を選ぶメアリーに救われました。

 

 

この作品の見所は車が崖から凄まじい音を立てて落ちてゆく場面の

 

迫力です。それも二度も。

 

天使の顔をした悪魔のお嬢ちゃんは意識した悪事ではなく

 

わがままが高じたお嬢さんの殺意なんですね。

 

だから悩んだり興奮したりすることなく

 

平然と殺人をやってのける。

 

だから車に細工をする場面なんぞはないです。

 

あくまでダイアンさんの殺意を持つ表情と殺人を実行するために

 

お誂え向きのフランクと出会い、利用するため以上に、愛情を持ってしまった彼女の生き様が見所。。

 

恋にも免疫がないお嬢さんは一途だし

 

殺人は冷淡に行なってしまう。

 

 

最初の邸のシーンでキャサリンとその夫の会話

 

次の町のバーでの会話

 

翌日の病院でのメアリーとビルの登場

 

そして、ダイアンとメアリーの昼食。

 

 

ここまでで、すべての人の性格が分かるよう描かれているので

 

込み入った殺人でもないこの作品では先が読めます。

 

 

ただ、この天使が主人公なのでダイアンの生き様というには

 

あまりに若いが老長けた少女の不幸がどこにあったか?

 

そして覚めているはずのフランクがこのバカな少女の手中に掴まれ

 

思いもしない人生の幕を引かされてしまった・・・という

 

サスペンスでございました。

 

 

ジーン・シモンズの作品は  吐夢の部屋では

 

≪黒水仙≫と≪大いなる西部≫を紹介しています。

 

 

ヴィヴィアン・リーの再来といわれ、リーがハリウッドに渡ってから

 

≪ハムレット≫などに出演するまではわりと

 

個性的な役どころで活躍していたようですね。

 

結構お年を召されてからもテレビで活躍されたようで

 

晩年の彼女を刑事コロンボで見かけましたがちっとも変わらず美しかったです。

 

因みに≪大いなる西部≫のシモンズはとてもステキでした!!

 

 

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