≪昼顔≫・・耽美と清楚が同居する女優・・カトリーヌ・ドヌーブ・・1967年度作品 仏・伊 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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懐かしい名画、最近の気になる映画のことを書いています。

好きなのは戦前のフランス映画です。

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     (昼顔)

 

こんにちは。

 

いつもご訪問いただきましてありがとうございます。

 

今日からはまたフランス映画を取り上げてみたいと思っています。

 

まずはカトリーヌ・ドヌーブの≪昼顔≫です。

 

日本のドラマに同じ題名の(昼顔)があるみたいですが、

 

わたしは見たことはありません。

 

(昼顔)と言えばカトリーヌ・ドヌーブでしょう。

 

この作品がドヌーブという女優の方向を決めたのではないでしょうか。

 

ブルニエル監督と組んだお仕事は三本ですか・・・?

 

(哀しみのとりスターナ)、(暗くなるまでこの恋を)は過去に投稿しましたね。

 

(昼顔)は1967年の作品で

 

(シェルブールの雨傘)から程ない次期の作品だと思います。

 

うぶで繊細な一面と、そろそろ熟女の片鱗を覗かし始めています。

 

1964年  シェルブール

 

1965年  反撥

 

1967年  ロシュフォールの恋人たち

 

  々    昼顔

 

1969年  暗くなるまでこの恋を

 

1970年  哀しみのトリスターナ

 

その後    ひき潮、恋のモンマルトルなどなどと続き

 

1980年に 投稿しましたトリュホーの(終電車)と続きます。

 

      この作品でフランスセザール賞の主演女優賞を獲得

 

      1992年に(インドシナ)で二度目のセザール賞受賞

 

   1998年には(ヴァンドーム広場)で ヴェネチア国際映画祭 女優賞 受賞 

 

2000年に「ダンサー・イン・ザ・ダーク」から

 

    2002年の≪8人の女たち≫と続き、

 

この作品で他の7人の女優たちと共にベルリン国際映画祭 銀熊賞 受賞

 

                 ヨーロッパ映画賞 女優賞 受賞

 

御年75歳なれどまだまだ現役でフランス映画界を牽引している。

 

現在まで85,6本の作品に出演している。

 

これぞ往年のパリジェンヌ、そして銀幕のマダムである。

 

またブルニエル監督

 

一言でいえばフランス映画界では異色の耽美派監督と思われがちですが

 

過去に投稿したジャンヌ・モローの≪小間使いの日記≫や、≪哀しみのーーー≫

 

などでは本格的な文芸映画を演出し、宗教色の濃い作品もあればコメディもありと

 

多才な方のようである。

 

 

 

衣装はもちろんイヴ・サンローラン  

 

ロジェ・ヴィヴィエの中ヒールはぴったり。 

 

これぞパリジェンヌのファッションだ!!とため息が出ます。  

 

さて、ーー昼顔ーーー  ドヌーブ24歳の時の作品

     
      ストーリー

 

カトリーヌ扮するセブリーヌはサン・ローランらしい真っ赤で上品な

 

ミリタリー調のコートで登場。

 

夫ピエールと共に馬車に乗って、ブルターニュの森を抜ける。

 

のっけから彼女の妄想シーンが現れ

 

馬車の御者に洋服をはがれ鞭でしばかれる。

 

セブリーヌ(C・ドヌーブ)とピエール(J・ソレル)の二人は、

 

仲の良い何不自由ない幸せな若夫婦だ。ピエールは医者。

 

二人はお互に心から愛しあっていた。

 

セブリーヌもよく夫に仕え、満足な毎日を送っているのだが、

 

彼女が子供の頃、粗野で野蛮な鉛管工に犯された異常な感覚が、

 

いまだ潜在意識となって残り

 

妖しい妄想にかられてゆくことが時折あった。

 

情欲の鬼と化したピエールがセブリーヌを縛りあげ、

 

ムチで責めさいなんだ挙句、犯したり、

 

卑しい男に強姦されるという妄想であった。

 

セブリーヌの奥底に奇妙な亀裂が生まれていることを、

 

ピエールの友人ユッソン(M・ピッコリ)だけは、見抜いていた。

 

女だけが人生さと公言するユッソンのねばっこい目線に

 

セブリーヌは身の毛がよだつような嫌悪感を持っていた。

 

ある時、

 

セブリーヌは女友達のルネ(M・メリル)から、

 

良家の夫人たちが、夫には内証で売春をしているという話を聞き、

 

大きな衝撃を受けた。が、

 

心に強くひかれるものがあった。

 

”パリにまだそんな場所があるの??”とセブリーヌはつぶやいた。

 

乗っていたタクシーの運転手は”あるかと聞かれれば確かにある!

 

    戦前ほど大っぴらじゃないがーーまだ娼館の灯はきえてない・

 

      ざっと6軒は案内できる   これも商売柄でね。”

 

夜、セブリーヌは夫に聞いた。”娼館に行ったことある?”


テニス・クラブでユッソンを見かけたセブリーヌは、

 

さり気なくその女たちのことを話した。

 

ユッソンもまたさりげなくそういう女たちを歓迎する家を教えた。

 

 

一時は内心のうずきを抑えたものの

 

セブリーヌは、自分でもわからないまま、

 

そういう女を歓迎する番地の家をたずねるのだった。

 

だが、中に入るのになかなか決心がつかず手間取った。

 

一度は引き返したものの結局は「アナイスの館」というその娼館を訪ねた。

 

しかし、今度は客と向き合うまでに時間がかかり、

 

女主人を怒らせた。

 

だが、上品なセブリーヌは女主人アナイス(G・パージュ)にとっても

 

どうしても雇いたい逸材にみえた。

そして、セブリーヌの二重生活がはじまった。

 

女郎屋の女主人アナイスは、

 

セブリーヌに真昼のひととき、つかの間の命を燃やすという意味の

 

「昼顔」という源氏名をつけてくれた。

 

毎日、午後の何時間かを、

 

セブリーヌは行きずりの男に抱かれて過し、

 

夜は夜で

 

今までの通り、やさしく貞淑な妻だった。

 

それは演じていると言うことではなくセブリーブにとっては

 

当たり前のことになっていた。

 

セブリーヌにはもはや夫を裏切っているという、意識は

 

   なかった。  

 

体と心に奇妙な均衡が生れ、

 

一日、一日が満ち足りていた。

 

 

しかし、そんな不自然な生活も長くは続かない、

 

その均衡が破れる日が来た。

 

 

セブリーヌに、マルセル(P・クレマンティ)という、

 

金歯だらけの口をした、粗野で無鉄砲で野獣のような若い男が、

 

セブリーヌにすっかり惚れこんでしまったのだった。

 

これがセブリーブの生活を脅かす羽目になった。

 

マルセルは、夫と別れて自分のものになれと、

 

いまは自分の行為を恐しく感じるようになってきたセブリーヌを

 

しつこく脅し続け、

 

セブリーヌが言うことを聞かないと知るや、

 

無暴にも、ピエールをそ撃したのだった。

 

ピエールは命を取りとめたが、

 

体の自由がきかず、廃人同様となり車椅子の生活となってしまった。


セブリーヌは生ける屍となったピエールを

 

守って生きてゆこうと決心するのだった。

 

セブリーヌにとっては、前よりも幸せを感じる生活となった。

 

以前よりもピエールを身近にそしてより理解できるという心の平安を

 

得たのだった。

 

そして、いつの間にか、セブリーヌの身内にあった

 

あの忌まわしい妄想は現れることなく、

 

永遠に遠去かって行くのを感じるのだった。

 

1962年にデビューして1963年にはロジェ・バディムの子を産んでいる。

 

彼女が17歳の時に知り合った16歳年上のバデイム。

 

バデイムはジェーン・フオンダの元に走り、カトリーヌは捨てられた。

 

それをバネにして映画にのめり込み、バデイムを乗り越える大女優となった。

 

この≪昼顔≫がなぜ第28回ヴェネツィア国際映画祭で最高賞である

 

金獅子賞を受賞したのであろうか??

 

フランス映画らしいインモラルな現実と昼間の妄想が入り混じった

 

耽美的な世界観が評価されたのでしょうかね。

 

娼婦のエロテイックさと若妻の清楚さをドヌーブは気負うことなく演じていて

 

とても自然で大好きな作品です。

 

また、ーー万引き家族ーーで

 

第71回カンヌ国際映画祭の

 

パルムドールを受賞した是枝裕和の

 

長編第15作目となる日仏合作映画≪La Verite≫で、ドヌーブは

 

 

ジュリエット・ピノシュと共に主演を務めることも決まったし、 もう撮影が

 

進んでいるのではないかしら。

 

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