≪コーヒーブレイク・≪生きていた男≫・ サスペンス映画の醍醐味・・・作品・ 1958年度 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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好きなのは戦前のフランス映画です。

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≪コーヒーブレイク・・・サスペンス映画の醍醐味・・・作品 生きていた男≫

 

         Chase a Crooked Shadow

 

 

こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。

 

サスペンスと言えばアガサ・クリステイーもの

 

ヒッチコック作品であればハズレはないだろう。

 

サスペンス映画としてはそうかもしれない。

 

今夜の取り上げる作品は

 

これもどうしてももう一度見たいと思っていた作品。

 

ダグラス・フエアバンクス・JRがプロデュース、マイケル・アンダーソンが監督

 

1958年のイギリス映画   生きていた男 である。

 

典型的なB級のミステリーであるはずだったが、

 

とてつもなく面白くヒットした作品である。

 

どんでん返しサスペンス映画の元祖であり、今までこの手法がたくさん

 

真似て作られている。

 

スリルを積み上げていって、終末の5分で

 

意外な解決を提示するという手法。

 

このようなオチが斬新で素直に喜べた時代の映画も、その映画鑑賞も

 

本当にステキだったような気がします。

 

出演は

 

ヒッチコック監督作品の”舞台恐怖症”のリチャード・トッド

 

”イヴの総て”のアン・バクスター

 

”ピンク・パンサー”でお馴染のハーバート・ロム

 

極めてイギリスカラーの強いイギリス映画であるがアメリカ製作となっている。

 

フランス映画、アンリ・ジョリュジュ・クルーゾー監督の

 

  悪魔のような女 とよく比較されたのだ。

 

悪魔のような女を観ている人は必ずこの”生きていた男”を観ている。

 

まず、舞台がバルセロナという設定・・これは白黒映画でありながら

 

カラーを感じさせる。

 

そして音楽がいい。

 

マテイアス・セイバーが作曲してジュリアン・ブリームがギター演奏している。

 

マテイアスはハンガリーの音楽家でイギリスに亡命した人

 

ジュリアンはイギリスのギタリストである。

 

フラメンコ風なサウンドがオープニングでワクワクさせる。

 

ストーリー

 

スペインはバルセロナ郊外の湾岸の高台にある

 

豪華な別荘に住む女性(アン,バクスター)の映るフイルムを見ながら

 

なにやら話している男女。

 

場面は一転してその片割れの男が

 

  ”兄”だと名乗って別荘の女主・キム・プレスコットの前に現れる。

 

晩餐会の終った夜である。

 

庭で人の気配を感じたキムは”誰??”と訊ねる・

 

男は”俺だよ、ワードさ、お前の兄貴だ”と言う。

 

”兄は死んだわ、あなたは誰よ、帰ってよ”

 

ワードはずかずかと邸に入って行き、そのままいつ居てしまう。

 

この兄ワードにリチャード,トッドが扮している。

 

彼女はその男にあったことも見たことも無く、

 

兄ではないと言い張るが、

 

兄であるという証拠が次々と示される。

 

とこう進んでくると、

 

翻訳ドラマで観られた方も多いかとも思う。

 

 

兄ではない、兄ではないと...追い詰められていくが...

 

兄は車の事故で崖から転落して死んだはずなのに・・・

 

何が目的でこの男は?正体不明の男は..一体私をどうする気だ?

 

 

と女性の心理状態になりきって見た記憶がある。

 

彼女は愕然とした。

 

キムが呼び出した警察署長パルガス(ハーバート・ロム)がやってきた。

 

ワードに訊問するのだが、証明書類や旅券も、手首にある錨の刺青さえも

 

まさしく兄ワードのものなのだ。

 

青ざめたキムをよそに、明くる日から彼は富豪プレスコット家の

 

兄ワードとして振る舞いはじめた。

 

素性の知れぬ家政婦(最初に登場した相棒の女性)や、

 

下男カルロスが雇い入れられた。

 

何のための彼の行動か・・・・

 

かつて兄が4マイルのドライヴ・ウェイを3分で走ったことを思い出して、

 

それが出来るかと偽のワードに挑戦させれば、

 

湾に沿った危険な道を、彼はキムをオープン・カーにのせて疾走してみせた。

 

頼りにしていた叔父チャンドラーさえが、

 

甥として彼に疑念なく挨拶するのだった。

 

彼女は父が遺していった巨額の宝石を持っていた。

 

それをこの男たちは狙っているのに違いないとキムは思った。

 

心身ともに疲れ果てていくキム。

 

隠してある宝石を銀行から取り出させる手続きの書類に、

 

謎の男・・・偽のワード?の命ずるままに署名した。

 

これでもう彼等は去っていくに違いない。

 

ところが海岸沿いのボートガレージで放心する彼女に、

 

なおも人影が迫る。

 

恐怖のあまり発射した銃を危うく避けて灯の下に現われたのは

 

パルガス署長だった。

 

彼は、謎の男が指紋まで死んだ兄に似せられる筈はないと言う。

 

苦心の末彼女はワードを自称する男の指紋をブランディ・グラスにとった。

 

ところが、それさえが亡き兄と同じものだと署長はいうのだ。

 

 

遂に彼女は狂乱状態におちいり、

 

自失して叫んだ、--違う、

 

彼が兄である筈なんかない。

 

何故って、兄は私がこの手で殺したのだから……。

 

車のブレーキに細工したのよ・・・・

 

謎の男たちは互いにうなずきあった。

 

父の遺した宝石、それは正当には、

 

今は彼女の権利を離れている会社のものだったのだ。

 

それを彼女はボートガレージの煙突になおも隠して持っていた。

 

兄を名乗る男たちは、

 

 

実は本物のワードの死因に疑問をもち、

 

この宝石の行方を探る警察当局の関係者たちだったのだ。

 

 

とこの意表を突く構成は”悪魔のような女”、と比べて劣らぬ

 

出来映えで忘れられぬ作品となった。

 

後で思ったのだが題名が”死んだはずの男”であったら

 

ネタがすぐにばれたのでは?

 

”生きていた男”だから騙されたような気もする....!

 

が、同じどんでん返しのワイルダーの”情婦”や先の

 

クルーゾー監督の”悪魔のような女”が

 

サスペンス映画では必ずベスト10入りを果たすのに

 

この作品、評価はされるが先の2作品ほどではない。???

 

 

でも面白ければいいと思っております。

 

初めて観た時、メチャメチャ面白かったもの

 

”イヴの総て”で、ベテイ.デイヴィスを相手に

 

すさまじい女を演じたアン.バクスターが

 

この映画でも力演であった.

 

 

ちょっとここで”悪魔のような女”を思い出してみます。

 

”悪魔のような女”。

 

 

ラストは吐き気がするどんでん返し。

 

筋は本当は差し控えた方が良いのだけれど、ちょっとだけ書きます。

 

本妻[クルーゾー夫人扮する]と愛人(シモーヌ・シニョレ)が共謀して

 

校長(ポール・ムーリス)を殺したところ、

 

どうも男が生きているような、奇妙なことが二人の周りで起こり、

 

本妻は繊細な性格で半ばノイローゼになり、

 

愛人が慰めてもどんどんエスカレートしていく。

 

ここに事件の真相を追う、老刑事(ルイ・ジューべ扮する)が飄々として捜査を

 

進めている、

 

ある日、恐怖が頂点に達した所で本妻は心臓発作を起こし

 

死んでしまう。

 

愛人は本当は生きている校長と”乾杯”とまでは行かないが

 

成功を喜ぶのである。

 

 

が、そこに老刑事が現れる。とここまではいいのだが.....

 

男が死んだとされた時、子供達が口々に校長を見たという

 

...そのときと同じように死んだ本妻を見たよ..と

 

子供達が言う。.....?

 

 

全てを承知だった本妻が二人に手錠が

 

かかるようにした芝居だったか...と観客がENDマークで

 

分かる仕組みであった。二重のドンデン返しでした。

 

 

第三の男といい情婦と言い、”生きていた男”と言い

 

英国のミステリー作品がフランスのミステリー作品と並んで

 

秀作を送りだし、アメリカのミステリー作品以上の

 

出来映えで対抗していたのがほ.ん.と.う.に

 

面白い!

 

作品を整理してみるとやはりミステリー作品の国、英国だと

 

思わずにはいられないし、フランスは映像美と人間性を

 

全面に打ち出したミステリーである・

 

アメリカのミステリーは娯楽で、肩の力を抜いて理屈抜きで

 

楽しめる...

 

前に紹介した”落ちた偶像”もキャロル.リードの(英国の)

 

サスペンスです.

 

いやあーーー”悪魔..”と”生きていた..”は

 

表裏一体の面白さであります。

 

製作  英国  1958年度

 

配給  米国

 

監督  マイケル.アンダーソン

 

出演  アン.バクスター

 

    リチャード.トッド

 

    ハーバート・ロム

 

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