≪にがい米≫・・イタリア女優その②・シルバーノ・マンガーノ ・1948年度作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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    イタリア女優その②
      

         シルバーノ・マンガーノ
            

           ≪にがい米≫

 

 

 

こんばんは。いつもご訪問いただきましてありがとうございます。

 

にがい米・・・・

 

本作品のヒロインーーーシルバーノ・マンガーノ

 

私がこれまでに鑑賞した彼女の作品は

 

にがい米     1948年

 

アポロンの地獄  1967

 

ベニスに死す   1971

 

ルートヴィヒ   1972

 

家族の肖像    1974 位のものでしょう。

 

吐夢のページでは≪ベニスに死す≫と≪家族の肖像≫を取り上げました。

 

シルバーノは1930年生まれと言いますから

 

アンナ・マニャーニとは20歳くらいの歳の開きがあります。

 

アンナが1908年生まれでデビューが1941年

 

ジュリエッタ・マシーナが1921年生まれでデビューが1946年

 

アリダ・ヴァリが1921年生まれで1942デビュー

 

ジーナ・ロロブリジーダが1927年生まれで1950年デビュー

 

シルバーノが1930年生まれで1948年

 

ソフイア・ローレンが1934年生まれでデビューが1951年

 

モニカ・ヴイッテイが1931年生まれでデビューが1960年

 

クラウデイア・カルデイナーレの生まれが1938年でデビューが1959年。

 

他にもたくさんのイタリア女優はいますが

 

大物女優としてはこの方たちで、それぞれの個性と魅力で

 

活躍の時期は重なるところも多い。

 

各々の女優さん、紹介作品の中でも書きましたが、

 

先だってのアンナに続いて今夜はシルバーノ・マンガーノのデビュー作品を

 

取り上げてみます。

 

 

イタリアは第二次大戦で同盟国のドイツの足をひっぱったとか

 

引っ張らないかということで顰蹙を買った経緯があります。

 

 戦後の日本の映画界は瞬く間に名作を打ち出した。

 

 暗中模索のなかで正当法で作る映画を丹念に見出そうとしました。

 

 

そうやっている間にイタリアは前にも紹介しましたように

 

民衆の中にカメラを持ち込んで撮るというイタリアンネオリズム

 

 を生み出すほどの性急さで、有無を言わさない映画作りを

 

始めました.

 

 

 同じ同盟国のドイツが戦時中にあれだけの悪名を

 

轟かせたのに、映画界は戦後これといった作品は生まれなかった。

 

そのイタリーがシルバーナ.マンガーノという肉体派女優を

 

起用して作った名作..。≪にがい米≫.デビュー作でもある。

 

 米作りに携わる人間にからむ人々のリアルなストーリー展開と

 

 やはりラストは苦い!ものが待っているというものです。

 

 同じ早乙女がイアタリーと日本では(邦画の米)こうも違った

 

 そしてそれぞれが一級品に仕上がっている妙を

 

 かみ締めていただければ嬉しいです。

 


ストーリー

 

悪党のワルテル(ヴイットリオ.ガスマン)という人物がいる。

 

 情婦のフランチェスカ(ドリス.ダウリング)と組んで

 

 ネックレスを盗み、トリノ駅から北へ向かう列車に乗り込む。

 

もちろん警察は追っている。

 

 列車の中は水田地帯の田植えの出稼ぎに行く女たちで

 

 ごった返していた。

 

ワルテルはまた、悪知恵が働いてフランチェスカを

 

女たちの集団にもぐり込ませた。

 

 

その群れのなかに飛びきりグラマーないい女がいた。

 

シルバーナ(シルバーナ.マンガーノ)はなぜかフランチェスカと気が合った.

 

  

 

 

この早乙女たちは労働手帳を持っている。

 

だからもぐりのフランチェスカと悶着が起こるのも当然であった。

 

 

そこに現れたマルコ(ラフ.バローネ)は正規の早乙女も

 

 もぐりの女も平等に働けるようにと地主に話をつけてくれた。

 

 

その男らしさにフランチェスカはたちまち参ってしまう。

 

 

そんな時にフランチェスカは盗んだネックレスを紛失してしまう。

 

 

 夜はチョットしたバイキングもどきのパーテイーがあり

 

踊り狂うシルバーナの首にあのネックレスが

 

 ぶら下がっているではないか!

 

愕然とするフランチェスカの前に現れた情夫ワルテルは

 

怒るどころかグラマラスなシルバーナに惚れ込んでしまい、

 

 男と女、女と女の火花は散った。

 

 

そんな様子を見ていたマルコはシルバーナをたしなめ、

 

ワルテルとの間に激しい挌闘があった.

 

 

そうしてフランチェスカはますます男らしいマルコにひかれ、

 

シルバーナはワルテルを愛するようになった。

 

 

 女たちはスカートを腿の上までたくし上げ

 

明るく田植え唄を唄いながら、一所懸命に田植えをする.

 

 

 

それは日本の田植え風景とはまるで違う、たくましい!!もの.

 

 

それから40日出稼ぎ女たちが仕事を終える頃、ワルテルはまた良からぬ企てを..。

 

 

 収穫された去年の米を盗み出そうと計画をしている.

 

 田を水浸しにして地主や人々の目をそちらに向けておいて

 

 その間に運び出そうというものだ。

 

フランチェスカの報せでマルコが駆けつけ大挌闘となった。

 

ワルテルの悪巧みに気づいたシルバーナは気狂いのように

 

 ワルテルを銃で撃ちまくった。

 

 

 丹精こめて収穫した去年の米を簡単に盗むということは

 

 いくら愛したとはいえ、シルバーナは許せなかった。

 

 

この米は出稼ぎ女たちに渡す賃金の替わりだ。

 

この米をみんな郷へ持ちかえるのだ。

 

 偽者のネックレスをくれたワルテルに騙されたと知ったシルバーナは呆然となって

 

自分のやらかした事の罪の深さに

 

頭はまっ白になったのだ.そして命のような米をみんなから

 

 もぎ取ろうとするワルテウを許せなかった。

 

 

そして自分も高いやぐらの上に上り、そこから身を投じて

 

...果てた..。

 

 

みんなが郷へ帰る日.。

 

 肩にはたっぷりと米の入ったズタ袋をかついだみんなが並んでいる。

 

シルバーノの屍にひとりの女が米粒をパラパラとかけてやる。

 

するとみんな歩み寄りみんながパラパラと

 

米を守ってくれたシルバーナに感謝を込めて振りかけるのだった。

 

 

また来年も5月にはやって来るよ....!

 

 

たくましい女性、シルバーナ...

 

それは生きることへの逞しさである筈だった。

 

しかし、この男を目の前にして、

 

 一番大事なものを軽視した男に

 

付いて行こうとした自分の愚かさに堪えられなくなった。

 

 

たくましいのは若い肉体だけで、まだまだ男に騙される

 

 ネンネの嬢ちゃんだったのですね。

 

 

なんとも潔いが、

 

しかし早乙女達はたくましかった!

 

こんなたくましい女性がたくさん居たんだと思わせる

 

 イタリアの国民性と申しましょうか...?

 

 

しかし形こそ違え、日本でもこんな状況に置かれたとしたら

 

案外存在する女性像かなとも?思った次第ですが。。。

 

 

ラフ.バローネもヴイットリオ.ガスマンも

 

 シルバーナ.マンガーノもこの映画で揃ってデビューし、

 

それぞれイタリアのトップスターとなった.

 

 特にシルバーナはその後名監督たちの作品に恵まれ、

 

 屈指の大女優となった.

 

 

後年はヴイスコンテイ作品で高貴な女性を演じた。

 

この作品でのあどけない笑顔と魅力的に発達した肢体の

 

 アンバランスから後年のパゾリーニの≪アポロンの地獄≫や

 

 ヴイスコンテイーの≪ベニスに死す≫、≪家族の肖像≫と

 

 いった作品の彼女は想像も出来ない。

 

 

ラフ.バローネのどん臭いが朴訥で生真面目というキャラクターと

 

軟派で女たらしの二枚目というガウスマンの対比。

 

どちらもこの作品でデビュー、人気を得たふたりであり、

 

イタリアにとっても記念すべき作品であろう。

 

 

 邦画≪米≫に登場する早乙女ならぬ日本の農村に生きた女性は

 

 どんな運命に....??

 

 

 

 制作   伊  1952年度公開(1949制作)

 

 監督   ジュセッペ.テ.サンテイス

 

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