(海の牙)・サスペンス作品特集 ルネ・クレマン監督・・1949年度(仏) | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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さて・・
 サスペンス映画第一夜はフレンチ・サスペンス・・・


    ルネ・クレマン監督の≪海の牙≫です。

 

 原題は・・・≪呪われた人々≫。

 

 1949年度のカンヌ映画祭において、冒険探偵賞を受賞しています。

 

クレマン独特の緻密な演出と、息詰まる潜水艦内の極限状態を

 

戦慄すべき鋭い名場面で見せ付けてくれます。

 

≪太陽がいっぱい≫でアラン・ドロン扮するトム・リプレーがフイリップを

 

殺害する場面は

 

 ドキュメンタリーのように撮られていると、以前書きましたが、

 

ここでもルネのセミドキュメンタリー技法が冴えわたり、名場面を

 

刻み付けました。

 

 

ドロンさんが出演した初期の作品・・(黙って抱いて)で 主演だった先輩俳優の

 

アンリ・ヴイダルが主演です。

 

そして、名作≪情婦マノン≫や

 

後年ドロンさん作品の

 

≪ポーカー・フェイス≫や≪危険なささやき≫で共演してくれた

 

 ミシェル・オークレールが出演しています。

≪情婦マノン≫は≪海の牙≫の一年前に撮られています。

 

ルネ.クレマンはこの作品の前に≪鉄路の闘い≫を撮っていますが、

 

その作品にも、セミドキュメンタリー手法が随所に見られました。

 

まずはストーリーを・・・・ネタバレ ご容赦を・

 

1945年4月。

 

ベルリン陥落の少し前・・・

 

 パリの人々も疎開先から少しづつ戻ってきていた。

 

 医師,ギベール(アンリ.ヴィダル)も

 

港町の昔のアパートに戻ってきた・・・。

 

 

ノルウエーはオスロ港・・・・

 

 ドイツの潜水艦が極秘に出航しようとしていた。

 

 正規の乗組員の他に

 

 ドイツ国防省のフォン・ハウゼ将軍。(クローネ・フォルト)

 

ゲシュタボ幹部のフォルスター(ヨー・デスト)

 

イタリアの工業家ガロージ(フォスコ・ジャケッティ)

 

その妻ヒルデ(フロランス・マリーン)

 

 親衛隊のフランス人記者クーチェリエ(ポール・ベルナール)

 

の五人が隠れるように乗り込んだ。

 

 

 艦は南米へ彼等を運ぶ任務を帯びていたのだ。

 

ガロージの妻ヒルデは夫がありながらフォン将軍の

 

愛人であった。

 

 出航して数日後、艦はイギリス駆逐艦の攻撃を受け、

 

ヒルデが額に負傷した。

 

 

 怪我はたいしたことはなさそうだが、うなされていた。

 

 艦に軍医がいないとはどういうことか?と 

 

 喚くガロージだったが、

 

 将軍は近くの港に艦をつけて医者を探してくるように命じた。

 

ギベールはたまたま女性が連れてきた赤ん坊の診察をしていて、

 

いきなり入ってきた男(クーチェリエ)から

 

海辺で自動車事故が起きたと

 

連れ出され、そのまま彼は拉致された。、

 

そして艦に乗り込ませられたのだった。

 

 中はまるで馬小屋のようだとギべールが感じるほど

 

 ひしめき合っていた。

 

ヒルデの診察を終え、降ろしてもらえると思っていたギベールは

 

艦が動き始めるのを感じ、この先の不安を覚えるのだった。

 

ベルリンは陥落・・という無線をキャッチした艦内は

 

異様な興奮状態となった。

 

 食事に招待されたギベールの前で

 

 ガロージとヒルデのもつれ話は暴露され、

 

 敗戦の絶望感と共に、翌朝、

 

ガロージは海に身を投じた。

 

 

 最初の犠牲者である。

 

そして、艦は南米に着いたが、

 

 待っているべきスパイのラルガ(マルセル・ダリオ)は

 

 すでに裏切っていた。

 

 

フォルスターは怒り狂って彼を射殺、そして

 

艦は再び出航していった。

 

クーチェリー記者も不安から逃れようとして海に飛び込んだが

 

 フォルスターは海中の彼に向かって乱射。彼もまた死んでいった。

 

 艦は燃料補給の為、タンカーを攻撃,手に入れた後、

 

これに乗り移って安全圏に逃れようとした将軍の後を追った、

 

ヒルデは海中に転落して果てた。

 

フォルスターはタンカーに魚雷を打ち込み、将軍と共に撃沈させた。0

 

 

まるで狂気したように機関銃を目くら射ちする。

 

そんな中でフォルスターもホモ関係にあった部下の

 

 ウイク(ミシェール・オークレール)に刺されて命を落とした.

 

 

 気がついてみると、ギベールは艦内に残っているのは

 

自分だけなのだと放心状態だった。

 

 漂流12日間、イギリスの駆逐艦によって救出されるのであった。

 

まあ、緻密な構成で一時も目を離せないスリルと面白さの作品でした。

 

ギベールの拉致は例の拉致の状況下を想像させ、戦慄を覚えましたね。

 

そしてナチの高官の卑劣さと渦巻く人間の憎愛。

 

 舞台は海と艦内が殆どで

 

恐怖,戦慄どれをとっても

 

 ルネ・クレマンの作品らしさに溢れていました・

 

白黒のフィルムでの海の世界。

 

これが後の≪太陽がいっぱい≫の映像になっていくんだなあという

 

感慨。

 

そして艦内の描写もそう、あのヨットと青い海を

 

連想してしまうのですね。

 

だがこの作品は暗い海であるはずなのです。

 

クレマンは余程船に詳しいと思われますね。

 

この作品を観た後の≪太陽がいっぱい≫はまた、

 

 違ったものに映ることでしょう。

 

 1949年度作品・