《欲望という名の電車》・ ヴイヴイアン・リー・・・1947年度作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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戦前のフランス映画が大好きです。

あなたはどんな映画がお好みですか??

明けましておめでとうございます。

 

今年も旧い作品を書いていきますが、気が向かれたら読んでくださいませ。

 

今日はまず日記から消えてしまった作品の再投稿で、

《欲望という名の電車》を。

 

1940年〜1960年代に活躍した劇作家に

テネシー・ウイリアムズという人 がいる。

 

彼は60作位の戯曲を書いている。

 

ガラスの動物園、バラの刺青、ベビードール、イグアナの夜など

映画でお目にかかっているかもしれない。

 

今夜から、映画化された

下記の三作品を続けて取り上げてみようと思います。。

 

 

1947年      欲望という名の電車      A Streetcar Named Desire

    監督   エリア・カザン   1951年に映画化

 

1955年      熱いトタン屋根の猫.     Cat  On a Hot  Tin Roof

     監督    リチャード・ブルックス  で1958年映画化

 

1959年      去年の夏突然に.             Suddenly Last   Summer 

     監督     ジョセフ・L ・マンキウイッツ

                                                                1959年に映画化

 

(熱いトタン屋根の猫)にはポール・ニューマンが出演しています。

 

二ユーマンはデビュー当時はマーロン・ブランドの再来と

言われましたが、そう言われるのをニューマン自身は嫌った。

 

後に(傷だらけの栄光)にマーロン.ブランドが抜擢されたが、降板してボールに白羽の矢が立った経緯がある。

この作品はポールの代表作となる。シルベスター.スターローンの(ロッキー)と比較すると面白い。

 

そのマーロン・ブランドが(欲望という名の電車)に出演している。

 

作品や出演しているスターについては各々の作品で

また述べるとして

制作年順に紹介して行きましょう。

 

ということでまずは(欲望という名の電車)から

 

舞台では主役のブランチを名女優ジェシカ・ダンデイが演じたが

映画ではヴイヴイアン・リーが演じた。

 

他のキャストは舞台と一緒である。

 

ヴイヴイアン・リー  as  ブランチ

 

マーロン・ブランド  as  スタンリー 

 

キム・ハンター  as  ステラ

 

カール・マルデン  as  ハロルド

 

監督  エリア・カザン    1951年度  アメリカ

 

ストーリー

 

【欲望】という名の電車に乗って  【墓場】いう駅で乗り換え

《極楽》という駅で降りたブランチは

妹ステラの所へやってきた。

 

もう、若くないブランチは厚化粧で、

服装はと言えば派手で若作りをしていた。

 

妹には教師をしていると言っていたが、

 

見るからにそれとは違う雰囲気の女性であった。

 

ニューオルリンズのじめじめした街。

 

安アパートに住むステラは

スタンリーというまるで野生の獣のような男と暮していた。

 

着いて早々に、ブランチは住んでいた田舎の邸を

手放したことをステラに告げた。

 

田舎で何があったのか?

手放さざるを得なかった理由と

手放すまでの苦労を恩着せがましく、言い訳するブランチ

ステラは姉を残して一人家を出ていたのだった。

 

苦労したうえ身を持ち崩した自分に比べ、

ステラは貧乏ながらも結婚していることが

羨ましい。

 

身を持ち崩していても名家のプライドだけは

捨てきれないブランチに、

 

ステラの夫スタンリーはあからさまに憎悪を剥き出しにし、

ことごとくつっかかる.

 

それでもブランチには自分の世界があり、

男に美しく見られたいと

決して明るい場所で男に顔を見せない。

 

老いの顔を厚化粧で覆っているから、

暗いところでないと見せられない。

 

いつも灯りを気にし、視線も意識している。

“わたし、キレイ?”というのが口癖。

 

スタンリーに言わせれば自分がきれいかどうかを

人に聞かなきゃわからないような女は

魅力がないと突き放す。

 

ブランチが持ってきたトランクの中には

高価なドレスやアクセサリー、毛皮でいっぱい。

どう見ても教師が買える代物ではないと、

スタンリーは勝手にトランクを開けて、そう吐き捨てた。

 

ステラは妊娠している。

ステラはスタンリーが居ないと淋しくてしょうがないと

幸せそうに話すが、

ブランチと逢って、ステラは昔の楽しかった頃を思いだし、

ブランチと抱き合う。

 

野蛮で無礼で教養もなく

男そのもののスタンリー。

 

男の気を引くのがうまいブランチだが、

スタンリーだけはなびかない。

水と油のような二人。

 

愛に飢えているのか、性に飢えているのか、

ブランチは、

これからの人生を共にする男が、欲しい。

 

スタンリーのポーカー仲間のミッチという男と

ブランチは出遭った.

 

彼はブランチをレデイーとして扱ってくれ、

今度こそ幸せになると信じていたが、

スタンリーはここに来る前のブランチの暮らしぶりを

調べ上げミッチに告げ口する.

 

それを知ったミッチもまた

彼女を踏みにじり、罵倒した。

 

そう、彼女は娼婦をしていたのです。

 

ブランチをこれほどまでに憎むスタンリーの心の中には

一体何が..。

 

ステラがお産で家を空けた日、

ブランチとスタンリーは二人きりになった.

 

頭であれだけ嫌っているブランチを

男の性が

どうしても押さえられずに

暴力でブランチを犯してしまう。

 

窓ガラスを割ってまで、

その破片でスタンリーを刺そうとまでしたのに、

 

男の力に屈してしまった哀れなブランチ。

 

ある朝ブランチは旅に出るのだと言っておしゃれをしている。

ステラはきれいよと言ってやる。

昔の恋人が迎えに来るんだと、嬉しそうに待っている。

 

スタンリーは隣の部屋の窓から、迎えにきた紳士に、

今、行くからと応えている。

 

泣き顔になりながらステラはブランチに

優しく話しかけながら、入り口までついていく。

 

紳士を見たとたん、“違うわ!こんな人知らない”と

また奥へ引っ込んでしまうブランチ。

 

同行していた女性が後を追って話しかけるが、

パニックになったブランチは床に転がり、

ぐったりする。

 

近づいた紳士はやさしくブランチを抱き起こし、

男性が女性をエスコートするように

やさしく右腕を差し出す.

にっこり笑ったブランチはそこに腕を廻し

、さっそうと出ていくのです。レデイのように...

 

そう、精神病院へ.....連れて行かれるのです。

 

‐このうちに来た時から狂っていた訳ではなかったが

 

老いと、捨てきれない虚栄心と、性への淋しさに

追い打ちをかけるように、

 

スタンリーが完全に狂わせてしまったのですね。

 

赤子を抱えたステラは泣きながら姉を見送り、つぶやく。

 

“もう2度と帰らないわこんなところ! 今度こそ帰らない!!"

 

つまり、姉がこの家に来た時、ステラは姉に“幸せだ”と

これも虚栄心からか、姉を心配させまいとしたのか?...

嘘をついていたのですね。

 

自分に幸せと言い聞かせているだけで、

本当はちっとも幸せではなかったのだ。

 

育った環境のあまりの違いに

ステラとスタンリーもかみ合っていなかった。

 

しかし逆にもともと育ちが良かったステラだから

この結婚に我慢が出来たのだと思う。、

 

だからこそ、心のそこでは虚栄心を

ありのままに出すブランチの気持ちが

分かり過ぎるほどわかっている。。

だから、

見送る涙にはいろんな思いがあっただろう。

 

改めてみてラストで、なんだか二人がとっても哀れで、

淋しくて   

ホロリときましたね。

ステラのやさしさももう、ブランチには分らない.....

 

こういう映画は、泣くような種類の映画ではないのですが、

とっても切なくなりました。

 

今回の鑑賞では、男と女の本質のぶつかり合いも

すごいですが、

ステラの優しさ、そして二人にしかわからない、

姉妹だからわかると言う心の動きの方に

目が行ってしまいましたね。

 

男臭いマーロン.ブランドは映画の前に、

舞台でこの役をやり大当たりを取っていますから、

乗りに乗ってるんですねえ。

 

自身たっぷりの演技で迫力ありますし、

 

ヴィヴィアン.リーも

女の虚栄心と、老いの哀しさ、性への執着という女性心理を

見事に演じた。この時まだ38歳です。

《風と共に去りぬ》のスカーレットのような

たくましくエネルギッシユな役から12年後にまるで180度違う役に挑戦したんですね。

 

 

《風と共に去りぬ》に続いて

二度目のオスカー像を手にしています。

 

《風と共に去りぬ》の後《美女ありき》という作品に

 

当時夫だったローレンス・オリビエと共演していますが、

 

世界一の美女と言われたrエリザベス・テーラーに勝るとも劣らない

美しさです。

 

話を戻して、

それにしても、このふたりのぶつかり合いと、迫力が 

素晴らしかった。

 

マーロン.ブランドは普段もあんな感じのようで、

地で行っている感じがしないでもない。

 

個人的に、マーロン.ブランドのような屈折した感のある

男性はどうしても好きになれないのです。

 

しょうがないですね。好みの問題だから。

だけど、デビュー当時の《波止場》のブランドは嫌いではありません。

 

そう言う意味では、P.ニューマンには全然似ていません!!!!

 

湿度の高そうなべたべたとした、

夏のニューオルリンズの街の雰囲気が作品の盛り上げに

一役買っていました。

 

舞台でマーロン.ブランドがスタンリーを演じた時も

舞台演出はエリア.カザンだったと聞いています。

 

ステラ役のキム.ハンターも懐かしかったですね。

 

人間の心理をエグル細かさ、的確なセリフ、

その言葉には衣を着せない。

 

それこそ、はったりも何もないストレ-トな思いが

伝わってきました。

 

余談

40年程前に文学座の公演で杉村春子のブランチ、

北村和夫のスタンリーの舞台を観たのを思い出しました。

 

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