《波止場》・男らしさとは、勇気とは? ・1954年度作品 | 吐夢の映画日記と日々の雑感

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好きなのは戦前のフランス映画です。
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≪波止場≫



   ≪波止場≫

毎日、旧い作品ばかりの登場ですが、取り上げた作品は結構

ベストテンに入っているものが多いですね。



そんな作品を敢えて選んだのではありませんが

書いていて気づきました。



記憶に残る作品とは

やはり、それなりの理由が

あるんですねえ。





古典(どこからかが難しいが)作品を

単に旧いとするかどうかは

人それぞれですね。



だけど、古典作品は

時間がある時に見られた方がいいとは思います。



今夜は エリア.カザン監督、マーロン.ブランド主演の

  ≪波止場≫.



マーロン.ブランドはあまり好きな俳優さんではないけれど

作品は上の上という

誰もが心酔した作品でありますので

敢えて紹介することにしました。



テリー...。マーロン.ブランド

チャーリー..... ロッド.スタイガー
エデイ...。エヴア.マリー.セイント

牧師バリー.。カール.マルデン

顔役ショニ^.リー.J.コップ



ニューヨークのホボーゲン港を舞台に

沖仲士を取りしきるボスの悪事に

立ち向かう青年の苦悩と勇気を縦軸に

初恋の女性エデイとの再会後の恋を横軸に

ブランドが全力でぶつかった演技の印象深い作品です。



1950年代の日活アクション映画のベースともなった

作品であることは顕かだと思うのですが

その出来は語るもがなである.



アカデミー作品賞、脚本、撮影、美術、主演男優賞、助演女優賞

などなど受賞しています。



ストーリー



ホボーケン港の沖仲士の実権を

握るジョニー一家がいます.

半やくざですね.



そこにチャーリーという兄と

テリーという弟が

組のものとして、

チンピラ風を吹かせている。



兄は親分の片腕として

数々の悪事を取りしきり、

テリーも時々手伝ってはいた。



兄は根っからのチンピラだが、

テリーはアパートの屋上で

鳩を飼うという優しい面も持ち合わせていた。



ある夜、ジョニー親分の命令でチャーリーたちは殺人をやった.

ここはいわば無法地帯で、顔役ジョニーーのいう事が 法 で

あった.



兄の死体に泣きすがる妹エデイの姿を見て、

テリーは胸を衝かれた.



こんな無法を見かねた教会の牧師バリーが

港湾労働者たちに

顔役打倒に立ち上がれ と呼びかける。



テリーは、労働者たちが集った教会に

出向き、

牧師に真相を告白するが、

そこにジョニーーの手下達が攻撃してくる。

テリーは

教会に来ていたエデイを助けて

二人は逃げる。



二人は幼馴染であった.

教師になろうと

今は町の学校に通っているエデイと

久しぶりに会い、

少女の頃からの清潔な魅力を

失っていないエデイに

テリーは魅かれていく.



久しぶりなのに

自分を一目で分かってくれた、というエデイの言葉に

テリーは素直に喜んだ。

兄はそんな弟を裏切りものと言って責めた.



またしても沖中士のひとりが殺され、バリー牧師のところに

集った労働者たちが

襲われるという事件が起きて、

テリーの決意は

次第に強いものになっていく。



相次ぐ殺人事件で、法廷が開かれた時に

兄はジョニーの命令で

弟テリーに一切の口止めを強要するが、

テリーは兄に従うべきか、

真実に生きるべきか、悩む。



そして彼はついに真実をすべて証言する。

そしてその夜エデイを訪れ、

彼女にも真実を告白する、

エデイは強い衝撃の内にその言葉を聞いた.



一家がこのままにするはずはない.

テリーは半殺しの目に会う。

そして、兄は殺された。



その死体を見たテリーは激怒し、

単身ジョニー一家の本拠に暴れ込み、

ジョニーを徹底的に

痛めつけた。



テリーも半殺しの目に会いながらも、

1歩、1歩

大地を踏みしめて職場へと向かう。



その彼の後ろには波止場の労働者たちが

次第に数を増し、

テリーを新しいボスに と待望する声が盛りあがるのだった。



力強く、そして青年の若い血が

正か悪かと悩み、

愛に助けられ、

真実を見失うことなく突き進む

勇気の物語です。



カザン監督はやはりエデンの東に

見られるように

何が正義か正しいかが

はっきり描いている。



この作品を制作して 

赤狩り意識とかいわれながら

頑張って挑んだ作品なのです。



ギャング支配による港湾労働者社会の

不正を摘発と言う

カザン自身が思いを、ハリウッドにぶつけた作品だと思うのですね。



いつもアメリカの良心を描くカザン。

ここでもしっかりと伝わってくるし、

盛りあがりも良い。



そして、この作品ではブランドの

彼本来の臭さというものが

感じられず、すーーっと入れました。



カール.マルデンの牧師役も

重厚な演技で印象深い。

そして、テリーとエディふたりの愛の形。



顔役に勇敢に立ち向かっていくブランドが、

恋人をいだく時は、

その目がとてもやさしく

初恋のような味を出していたし、

全体に好きな作品ですね。



ブランドはこの一1篇で

大スターの仲間入りをしましたね。



その頃、ちょっと年配の

男性たちが、この作品が

いいと言って熱く語っていたのを

思い出しました。



また、エヴアはこういった役柄は独壇場で、

潔癖で、賢くて、凛として、

控えめでという役柄は

彼女ならではのものである.

《いそしぎ》や

《愛情の花咲く樹》でも

そうでした。



ヒッチコック辺りではエレガントなブロンド美女で登場するが

本来、こういった役が適役の女優さんだと思う。



1954年度作品です。 

キネマ旬報ベストテンの

第四位