第36回「PFFアワード」の各賞のうち、私が一般審査員として

参加したのが、映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)です。

「映画館で見たい」才能に対して贈られるこの賞は今年5回目。

「ぴあ映画生活」の読者から選ばれた映画ファン4名が入選作品

21作品を鑑賞した後、審査会議で決めるというものです。

私は去年に引き続き2回目の参加となりましたが、審査員3名の

方はいずれも映画・演劇に関して知識も思い入れも半端でない

猛者ぞろいで、候補となった入選作品についての白熱した議論

が4~5時間続きました。

予想どおり1作品に絞り込むのは難航しましたが、

佐藤快磨監督作品『ガンバレとかうるせぇ』に決定しました。

ガンバレとかうるせぇ・予告編


この作品について私が鑑賞後感じたことを掲載します。



高校サッカー部マネージャーから見た女性目線の作品である。

カメラワークがとてもきれいだった。

自主制作映画でスポーツの部活動ものは珍しいが、監督自身

高校時代の経験が投影されており、脚本が自然である。

マネージャー・なっちゃん(堀春菜)は一切笑顔を見せない。

サッカーが好きで部員たちと一緒にマネージャー役を黙々と

こなしているが、よくあるような「明るい、ムードメーカー」

ではなく、地味で裏方に徹している。

キャプテン(細川岳)も口数の少ない愚直で一途なだけに、

他の部員から浮いている存在である。

夏の大会から冬の大会までを追っているが、その間の日常の中

ではあまり出来事はなく、ブランチが退部しようとしたところ

を翻意させるのにマネージャーが一役果たす。

私は学生時代、部活はずっと文化系で運動部の経験はない。

だからこういう世界はあくまでも外側からの目でしか見えない。

しかし、スポーツニュースで高校野球がこれだけ大きく報じら

れる今の日本で自主映画にこういう映画が出てきたことが

ユニークで、きっと映画館で見たいと思う人は多いはずだ。

「なっちゃん」の存在感も印象的で、それが全会一致での

映画ファン賞選出につながったのかもしれない。



PFF審査員映画ファン賞監督・主演女優1
〈PFF一般審査員+映画ファン賞監督・主演女優と〉

(2014.9.30)
第36回「ぴあフィルムフェスティバル」

コンペティション部門「PFFアワード」の各賞が決定し、

9月25日(水)16:30より東京国立近代美術館フィルムセンター

で表彰式が行われました。


東京国立近代美術館フィルムセンター
<第36回PFF会場 東京国立近代美術館フィルムセンター>

入選21作品はいずれも力作ぞろいだったので、最終審査もさぞ

議論百出だったのではないかと想像しました。

映画監督として最も期待したいつくり手に贈られるグランプリは

早川千絵監督『ナイアガラ』に決まりました。

PFFアワード受賞結果ページにリンク

この作品について私が鑑賞後感じたことを掲載します。



「児童養護施設」にいた主人公・やまめが18歳になって施設を

出るところから物語が始まる。

実際の施設では必ずしも両親がいない子どもたちばかりではない

のだが、この映画ではやまめの祖父が両親を殺した、ということ

になっている。

やまめは施設の先生からはじめてその事情を知らされた。

唯一の親族である祖母は認知症で、彼女を介護している青年は

なぜか住み込んでいて夜になっても帰ろうとしない。

施設にいるというだけでなく「死刑囚の孫」「祖母が認知症」と

いう重すぎる現実の前に、普通の18歳だったらは押しつぶされて

しまいそうだ。

そんな状態も「住む家があってラッキー」と明るく語るやまめ。

18歳で施設から出ざるをえない現実社会の厳しさも、彼女だった

ら飛び越えていけるかもしれない、と希望を感じさせる。

青年が使っていた録音機材を担いであちこち歩くうちに、やまめ

に未来がどんどん近寄ってくるようだ。

花火の場面は印象的だ。そこで祖母が失禁し、また現実に引き戻

される。

私たちは、とかく……だから不幸だ。と決めつけたがる。その

ことが彼らを追い込んでいくことがあるのかもしれないのに。

やまめの生き方は、そんな世間一般を目いっぱい裏切るのだ。


(2014.9.29)


第36回「ぴあフィルムフェスティバル」が東京・京橋にある

東京国立近代美術館フィルムセンターで開催されています。

第36回ぴあフィルムフェスティバル会場
<第36回ぴあフィルムフェスティバル会場>

会期は2014年9月13日~9月25日まで、多彩なプログラムが用意

されています。

その中で大きなウエイトを占めるのが応募作528作品の中から

映画の新しい才能を発見する

コンペティション部門「PFFアワード」です。


作品の上映時間・応募年齢など一切不問、世界でも類のない自主

映画のためのコンペティションとして、映画映像を作る若者たちの

登竜門となっている同アワードに、5年前から

映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)が設けられています。

私は去年に引き続き、一般審査員として参加しています。

(2014.09.18)