第36回「ぴあフィルムフェスティバル」

コンペティション部門「PFFアワード」の各賞が決定し、

9月25日(水)16:30より東京国立近代美術館フィルムセンター

で表彰式が行われました。


東京国立近代美術館フィルムセンター
<第36回PFF会場 東京国立近代美術館フィルムセンター>

入選21作品はいずれも力作ぞろいだったので、最終審査もさぞ

議論百出だったのではないかと想像しました。

映画監督として最も期待したいつくり手に贈られるグランプリは

早川千絵監督『ナイアガラ』に決まりました。

PFFアワード受賞結果ページにリンク

この作品について私が鑑賞後感じたことを掲載します。



「児童養護施設」にいた主人公・やまめが18歳になって施設を

出るところから物語が始まる。

実際の施設では必ずしも両親がいない子どもたちばかりではない

のだが、この映画ではやまめの祖父が両親を殺した、ということ

になっている。

やまめは施設の先生からはじめてその事情を知らされた。

唯一の親族である祖母は認知症で、彼女を介護している青年は

なぜか住み込んでいて夜になっても帰ろうとしない。

施設にいるというだけでなく「死刑囚の孫」「祖母が認知症」と

いう重すぎる現実の前に、普通の18歳だったらは押しつぶされて

しまいそうだ。

そんな状態も「住む家があってラッキー」と明るく語るやまめ。

18歳で施設から出ざるをえない現実社会の厳しさも、彼女だった

ら飛び越えていけるかもしれない、と希望を感じさせる。

青年が使っていた録音機材を担いであちこち歩くうちに、やまめ

に未来がどんどん近寄ってくるようだ。

花火の場面は印象的だ。そこで祖母が失禁し、また現実に引き戻

される。

私たちは、とかく……だから不幸だ。と決めつけたがる。その

ことが彼らを追い込んでいくことがあるのかもしれないのに。

やまめの生き方は、そんな世間一般を目いっぱい裏切るのだ。


(2014.9.29)