草苑保育専門学校 2015年7月26日説教(上)

「剣(つるぎ)を鋤(すき)に、槍(やり)を鎌(かま)に」

という題でお話しします。


旧約聖書イザヤ書2章4節には

「剣(つるぎ)を打ち直して鋤(すき)とし、槍(やり)を打ち直して

鎌(かま)とする


と書かれています。この言葉は私たちが「平和とは何か」を考える

ときに大切なことを教えてくれます。


預言者イザヤの時代、紀元前8世紀にイスラエル民族の2つの

王国のうち、北のイスラエル王国がアッシリアに攻め滅ぼされ、

南のユダ王国も戦乱の悲惨に巻き込まれました。そういう時代に

書かれたのがイザヤ書のこの箇所なのです。

「剣(つるぎ)を打ち直して鋤(すき)とし、槍(やり)を打ち直して

鎌(かま)とする」


は戦いの手段を平和の手段に換えなさい、ということです。

ニューヨークの国連本部前にはこの句が書かれたモニュメントが

置かれているそうです。宗教や文化を超えて世界平和の理想を

表す言葉として良く知られています。


私の父が8年前に83歳で亡くなった時に、私は父の出身地

台東区役所へ行って「除籍(じょせき)謄本」という書類をとりまし

た。現在の戸籍が作られる前の古い「戸籍謄本」のことをそう呼ぶ

のです。

私は父方の祖父には会ったことがありません。

1945(昭和20)年の東京大空襲で亡くなったと聞かされていま

したが、戸籍にこう書いてあります。

「推定 昭和20年3月10日午前1時、浅草区菊屋橋警察署管内に

おいて死亡」つまり、空襲で亡くなったことは間違いないが、浅草

区内のどこで亡くなったのかもわからなかったのです。


また、私の父は戸籍では6男ですが、成長できたのは男4人目で

した。上から2番目の伯父は大変優秀だったそうです。その伯父が

「昭和18年1月12日、時刻不明ニューギニア東部方面において戦死」

したことを横須賀海軍人事部長が届けているのです。

そういえば、浅草の本家に行ったときに伯父さんの軍服姿の遺影を

見たことがありました。当時の日本人の家庭で多くのお父さんや

お兄さんが戦争に行き、死んだばかりでなく、多くの民間人も空襲や

原爆投下により体を焼かれ、命を落としました。


そして忘れてはいけないのは、戦時中の日本がアジア諸国の人々に

対し、侵略によって多くの迷惑をかけてきたということです。戦争

被害者であるだけでなく、加害者でもあるということを子孫である

私たちも忘れてはいけません。(続く)

夏の花1
〈夏の花1〉

(2015.8.19)