草苑第60回卒業式によせて


2014年3月14日、この日は100名の草苑保育専門学校卒業生にとっ

て一生忘れられない日になるのでしょう。

と同時に、私にとっても大切な日になることは間違いありません。


2年A組・B組には、7月10日「日本国憲法」で初めて教壇に立ち

ました。以来前期7回の講義は試行錯誤の一語でした。

最初は教師がたびたび変わったことにより、学生の落ち着きがない

ように感じられました。それは緊張していた私も同じだったでし

ょう。

私は自己紹介からはじめて、たびたびアンケートを取り学生に積極

的に講義に参加してもらおうと試みました。

私語も多いなか、私に直接話しかける学生もいました。


日本国憲法や日本の議会政治に対する一教員の見方・考え方は、

決して押しつけるべきものではありませんが、戦後日本人が素晴ら

しい憲法を持っていることの歴史的意義を一人でも多くの学生に

伝えたいと考え、その信念を講義の中に注ぎ込んだつもりです。

文部省が中学校教科書として編集した『あたらしい憲法のはなし』

をコピーしてプリントとして配布したのもそういう意味があります。

言葉に古さを感じる部分もあるものの、敗戦によって民主主義を始

めて手にした当時の日本人が次世代に理想を伝えようとした、みず

みずしい言葉づかいをぜひ読みとってもらいたかったのです。


昨今の国内外情勢からすれば、第9条の見直しが解釈改憲になるか、

あるいは条文の変更を伴うものになるかを問わず、憲法改正は間違

いなく現実のものになります。

『教育基本法』の改正がそうであったように、時代の変化に沿う

ものにしなければならないという言い訳によって、政府または行政

の都合に沿った字句の改変により、一番大切にすべき精神が抜け落

ちたきわめて官庁用語的な条文になるのでしょうか。


卒業生にはなむけの言葉を贈ろうと筆をとったつもりがついつい

ヒートアップしてしまいました。

日本国憲法が最も大切にしている理念、平和主義と基本的人権の

尊重は日本人の世界に誇るべき財産であることを忘れないでくだ

さい。

つたない講義であったにせよ、私が伝えたかったことをA組・

B組の卒業生がいつの日か思いだしてくれることを信じています。

(2014.3.15)