振袖と言えば、成人式ですよね。

かつて、知人よりこんな話を聞いたことがあります。


『私の父は、呉服関係の仕事をしていました。
私が小さい頃は呉服関係の会社に勤めていましたが、私が中学生の頃には独立し自分で商売をしていました。

いつも忙しそうな父でしたが、とても家族思いの優しい父でした。私は父が大好きでした。
私が19歳の頃、父が私を振袖の展示会へ連れて行ってくれました。

父や父の仕事仲間も、この展示会に出展していました。

そして父が、「ここにある全ての振袖の中から、お前が1番好きな振袖を選びなさい。自分が1番好きだと思った振袖を、お父さんに教えておくれ。」と言いました。

私は今までに自分で着物を選んだことなんてなかったので、すごく迷いました。

まずはどんな色にしようか?どんな柄にしようか?

本当にとても迷いましたが、最終的に大好きな振袖を選ぶことができました。

そしてその振袖に合わせて、帯や草履やバック、その他の小物を全て父のアドバイスで選びました。

父はその全てを、私の成人式のお祝いにプレゼントしてくれました。

ものすごく嬉しかったです。また仕事をしている父を見れたのも、すごく嬉しかったです。

そして成人式や兄の結婚式で、その振袖を着ましたが父が「すごく似合っているね。綺麗だよ。」と言ってくれました。

大好きな父はもう天国へ行ってしまいましたが、父の振袖は今も綺麗な状態で私の側にあります。
出来れば私の娘に着てほしいなぁ、と思っています。』


以上のようなお話でした。

とても感動したのを覚えています。