■ 医療情報システムの運用能力

【ハード・ソフトの維持管理】

● ハードの維持管理

  ①24時間ノンストップの運用
    リスク管理が重要
    障害発生の内容、頻度、対応策をリスト表にする
    障害時の対応を機関の責任者が承認し、関連部門に周知徹底する

  ②運用実態の正確な把握
    多種多様な機器の設置場所、運用管理者、障害対応手順などを把握する
    定期的にチェックして確認する。


● ソフトの維持管理

  ①ドキュメントの整理
    システム全体図とサブシステムの構成図
    個々のデータベースの構造と機能 → データベース設計書
    サブシステムごとのプログラムと画面の一覧、それらの変更履歴
    プログラムリストと一覧表

  ②医療情報技師の役割
    ソフトウェアの維持管理の推進
    変更履歴の管理、データベースの管理
    システムの設計に参画 データの継続性などに注意する
    現行システムの完全な把握する

  ③データの維持管理

    1)マスター維持管理と監査
     素データを対象としたもの、病名や医薬品マスター
     標準コートを使用する
     過去の遺産との関係 独自コードは標準コードに変換が必要
     医師の理解と協力が不可欠、変換が容易な環境を提供
     業務を制御するマスター 点数マスターなど
     変更に対してバージョン管理
     マスター変更に伴うシステムの変更
     総合テストの網羅性とテスト結果の判定基準の明確化

    2)データのバックアップと維持管理
     バックアップは日常的な業務
     正常終了でも確認を怠らない データ量や増加量に注意
     バックアップ後の削除は、バックアップの正常終了の確認が重要
     データ量増加に伴うレスポンス対応としてのリストア
     データベースの最適化
     夜間のバックアップで処理時間だけでなく、
     失敗時のリカバリーの影響も考慮する


【利用面での維持管理】

● 紙ベースでの運用体制確保の重要性

  障害発生時の伝票システムによる運用への切り替え
  緊急時対応マニュアルの作成
  障害時のシュミレーションと事前準備
  院内の連絡体制の整備


● システムの運用記録の重要性

  行ったことが正常に終了したことの確認の記録を残す
  記録が確実にできる手順と記録方法を工夫する

   ①定期的な計画的なシステム運用に関する記録
     決められたスケジュールで確実に実施できる環境を整備する
     資源の確認やスケジュールの調整

   ②突発的事項により発生するものの記録
     瞬時に影響範囲を見積もり対策を講じる
     回復に要する時間などを含め院内に連絡する
     トラブル原因の調査のため、発生時のデータ環境を保存する
     対応内容の記録を残す
     責任者に報告書を提出して説明する

   ③利用者管理の方法
     データに対する責任の所在の明確化と
     責任の所在を遡及できる環境の整備
     利用者登録とユーザ権限の管理
      ユーザの変動が激しい
      緊急時のアクセス権の付与の問題
      アクセス権の設定は医療の妨げにならないように、
      プライバシー保護の観点のバランスで決定
     利用者のパスワードでのログイン管理
     情報のセキュリティーポリシーを作成し徹底する

   ④利用者アクセス権の抹消
     退職、転職者はシステムから消去するのではなく、
     アクセス無効の処置とする
     人事情報との連携は難しいので、
     業務手順の中で規定する必要がある

   ⑤業運用上の問題点抽出と改善
     医療情報技師 効率よく情報システムを動かすこと
     コミュニケーションが重要


【 医療情報システムのトラブル時対応】

● トラブル定義

   ①トラブル
     システム障害 コンピュータシステムの機器やソフトの障害によるもの
     運用障害 処理手順の誤りや実行の遅延によるもの、
     不十分な情報伝達の結果発生した認識上の欠陥に起因するもの

   ②トラブルの対処法
     緊急性と回復時間
     緊急性 診療への影響度、患者との関係
     回復時間 運用対策として代替案を実施するかの判断


● システムの障害対策

   (1)ソフトウェアの設計ミスによる障害
     発見が難しい、
     発見時には取り返しがつかない状態の危険がある
     リリース前のテストの実施が重要、
     あらゆるケースを想定した網羅性
     テスト環境でのテストの実施、
     テストデータの整備・充実とチェック体制の確立

   (2)ハードウェアの障害
     一定確率で必ず発生するものと考える
     障害発見のスピード、障害の程度と診療への影響の把握、
     最も適切な対処方法を最小の時間で決定し、手配する

   (3)医療情報技師の仕事

     ①日常の監視体制
      ・オンライン監視 コンソールの情報、警告
      ・ネットワーク監視 障害確認
      ・日常ジョブ監視 終了確認とデータ量の確認
      ・オンライン環境監視 ディスク容量確認

     ②システム障害の発見
      ・発見者からクレームの電話
      ・アラームランプ点灯
      ・ジョブの異常終了
      ・コンソールのエラーメッセージ・ログ情報
      ・データ処理量が異常に少ないまたは多い
      ・オンライン業務の異常終了

     ③システム障害発見時の処理
      ・情報収集
       目的は、発生源の特定、影響範囲の特定、トラブルの種類の特定、
       原因追及・原因分析のためのデータ保全
      ・関係部署への連絡/院内放送など
      ・対策の決定
       対策の選択を左右する因子は、診療への影響、代替案の有無、
       復旧見通し、復旧後の作業量

     ④対策決定後の処理
      ・関係部署への連絡/院内放送など
      ・システム復旧後にデータを復旧させるために必要なバックアップ作業
      ・システムの復旧
      ・管理者への報告

     ⑤システム復旧後の処理
      ・関係部署への連絡/院内放送など
      ・管理者への完了報告


● 運用障害対策 不注意や行き違いによるデータの破損
  データ量の増大によるレスポンスの低下 → システムの最適化
  システム障害対策マニュアルの整備とマニュアルの周知徹底と教育
  障害解決後の反省会も関係部署を巻き込む


● 障害対策並びに運用マニュアルの作成

   <必要なマニュアル>
    機器の利用説明書
    システムの利用手順書
    障害対策マニュアル
    運用マニュアル

    ①システム全体にかかわる事項
     全体がわかる図
     ・機器構成 機器の仕様書、障害時の連絡先
     ・システム構成
      機能仕様書、プログラム仕様書、データベース一覧と構造、
      ネットワーク関連図、各サブシステムの連絡先と問い合わせ先
     ・ライセンス関係
      ライセンスの種類と台数、ライセンス搭載端末の設置場所と台数

    ②保守体制に関する事項
     ・保守契約書関係
      保守契約の範囲/保守の時間帯
      保守体制に関する契約書または誓約書
      ライセンス関係書類
     ・保守報告書関係
      定期点検報告書
      保守関連チェックリスト
      機器の保守履歴/定期点検スケジュール

    ③バックアップに関する事項
     ・バックアップに関する事項
      バックアップ・リスト操作手順
      正常終了など確認項目、作業日誌記載項目
      データ整理(削除)判断基準
     ・データバックアップ確認チェックリスト
      作業日誌様式など
     ・バックアップデータの保管
      保管場所の条件
      具体的な保管場所/保管方法

    ④監視体制に関する事項
     ・運用体制
      日勤運用体制、夜間運用体制、緊急連絡網
     ・遠隔監視体制
      遠隔監視操作手順所
      遠隔監視環境のセットアップ方法
      遠隔監視の範囲に関する規定

    ⑤周辺機器の故障に関するユーザー向け説明書
     ユーザーも積極的に参加してよりよいシステムに育て上げる
     病院全体の費用/効果を上げるにはユーザが
     自分でできることはユーザに委ねる
     ・ユーザー向けの取扱い説明書
      簡単な点検と修理方法
     ・機器の故障の見分け方
      チェック項目、故障時の対応/院内の連絡策/連絡項目

    ⑥トラブル時のチェック項目
     ・システム障害からの回復手順
      端末を再起動する前の処理に関する注意事項
      チェック項目やハードコピーの取り方
     ・連絡先
      障害の状況説明の方法など

    ⑦システム障害時の対応
     ・障害のチェック手順
     ・命令系統/連絡体制に関する取り決め
     ・回復手順
       範囲が限定されていて、切り離して対処できる場合
       システム全体を停止しなければならない場合
     ・伝票運用の切り替え判断基準
     ・伝票の様式
     ・説明の方法
      院内放送の基本パターン

    ⑧教育に関する事項
     ・操作訓練に関する取り決め
       訓練の開催情報の連絡体制
       操作マニュアルの説明会


● データ処理と分析支援
  医療機関には診療に関わる大量のデータが蓄積されている
  病院経営分析は、入院診療費の包括評価制度により、
  経営戦略なくして病院経営できないために重要になっている


● 必要な視野・関連情報
   ①財務会計
   ②財務諸表
    貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書
   ③管理会計
   ④収入と支出
   ⑤流動資産と固定資産
   ⑥損益分岐点
   ⑦経常利益
   ⑧減価償却
   ⑨特別損益
   ⑩棚卸
   ⑪POS
   ⑫発生主義、現金主義
   ⑬病院経営指標
     在院日数 = 退院日-入院日 + 1
     病床稼働率 = 1日平均在院患者数/当該機関の病床数
     院外処方率=院外処方数/総処方数
     経費率=経費/医業収入
     査定率 診療報酬の審査で妥当性がないと減点査定になる



● 病院経営のためのデータ処理・提供   経営分析の概念図

   医事会計、人事給与、物品管理、手術室管理、給食管理、財務
     ↓
   経営分析システム
     ↓
   財務会計 損益計算書、貸借対照表、キャシュフロー計算書
   管理会計 在院日数・稼働率、科別診療報酬請求額・コスト
   診療圏分析
    ・患者ごとの収支分析
    ・入院1日当たりの収入分析
    ・診療圏分析 どの地域から何人ぐらいの患者がきているか


● データ分析要求に対する適切な手法選択
  財務会計は、市販の経営分析ソフトウェアで出力できる
  管理会計はエクセルやAccess、解析ソフトでデータベースから
  データを抽出して処理する。


● 医療情報システムの利用規約
  患者の権利に配慮し、患者の信頼を損なわないようにする


● システム利用規約に必要な事項
   対象の医療施設の情報システムの運用ポリシーを明確にする

   明確にする必要のある事項
    ①いつ、だけが、どこで、何の目的で、どのように、
     どの医療情報を作成できるか
    ②管理責任者の役割/権限/義務は何か
    ③利用者が規約に違反した場合の処置

   患者が適切な医療を受ける権利の面からの項目
    ①医療情報の一次利用と二次利用とを区別して規約作成
    ②正しい情報を作成する義務と利用目的に合致する範囲で利用する義務
    ③医療行為実施の際に、必要なときに必要なデータが使われて、
     適切な医療がされる保証
    ④目的外にデータが利用されていないこと、
     監査者、監査方法に関する記述


● システム利用時の倫理面

  患者情報を扱うという医療の特殊性に関して留意すべき事項
    ①患者プライバシーの問題
    ②情報主体者(患者)の情報システムとの関わり方
     プイバシーとは、自己に関する情報をコントロールする権利
     自己に関する情報が自己の意思に反して、
     あるいは誤った内容で流通していくことを制限する権利
     他者が保管する自己に関する情報を知る権利
     情報主体の患者との情報共有(インフォームドコンセント)
     医療専門職に任せるだけでは医療効果に限界がある
     患者も自らが自分の病状や治療の目標を理解し、
     努力することが治療効果の向上に効果がある

  利用規約に追加すべき事項
    ①情報主体の患者も利用資格者に加える
    ②自己情報のコントロール権の保証
    ③情報主体の遵守事項
     利用できるのは自己の情報のみ、システムに損害を与えない
    ④罰則規定
     情報主体にも適用


● システム利用規約の作成

   (1)利用客規約作成手順
     ①利用規約原案を作成
     ②条文の調整(成文化)
     ③オーソライズ
      医療機関の最高決定機関に諮り承認

   (2)運用手順
     ①運用細則作成
      利用者管理細則、端末やプリンターの利用細則、
      ネットワーク利用細則、
      データ利用細則、各サブシステムの利用細則
     ②実運用のための準備作業
     ③監査の実施
     ④違反行為が発覚した場合の処置

   (3)利用規約の条項
     ・趣旨
     ・利用目的
     ・定義
     ・責任体制
     ・情報のコントロール権
     ・個人情報のアクセス権
     ・集合情報のアクセス権
     ・情報の作成責任
     ・情報の利用責任
     ・利用者の資格
     ・利用の申請/内容の変更と中止
     ・利用の承認
     ・利用の制限
     ・他の情報システムの接続条件
     ・遵守事項
     ・守秘義務
     ・利用の監査
     ・利用の承認の取り消しなど
     ・損害賠償
     ・守秘義務の違反に対する損害賠償
     ・雑則


● 医療情報システムの業務運用評価

  医療情報システムの導入効果
    ①医療の質の向上 正確さ、誤り・漏れの防止、診療・研究支援
    ②業務の効率化 迅速化・省力化
    ③患者サービスの向上 待ち時間の短縮、情報提供
    ④病院経営改善への寄与 経費削減、維持請求漏れ防止

     システム導入時に機能要件だけでなく、
     評価項目と評価基準の設定もしておく
     評価はシステム導入後も定期的に実施、システムの問題の把握をする


● システム導入効果分析のための測定項目 評価の方法として

    ①目的をほぼ満足する簡便な方法
    ②ユーザ部門の正しい理解が得られる方法
    ③システムに関する責任の自覚が促進される方法
    ④調査が継続して行える方法

   (運用上の評価のための主な測定項目)
    ・業務の効率化
      業務のターンアウンドタイム、残業時間、休暇取得状況、
      患者待ち時間、外来患者診察時間、患者数
    ・医療の質向上
      処方・注射の疑義照会件数、指示受付部の確認・問い合わせ件数、
      インシデント・アクシデント発生件数
    ・患者サービス向上
      待ち時間、在院時間、クレーム件数

   (システムの利用度評価のための主な測定項目)
    ・アクセスログ
      クライアントの利用頻度、利用時間、システム機能別の利用頻度
    ・データベース
      データの入力率


● システム導入前後の業務の分析と導入効果測定

    ①業務効率化の測定
      業務フローや業務量の調査
    ②病棟看護業務
      業務内容と所要時間を分単位で記録、1週間自己記録
      業務内容と業務量の変化を分析
    ③患者の動態調査
      院内の患者フロー、特に外来患者フロー
      カメラを利用する場合は患者へのインフォームドコンセントが必要


● 導入後に起こりうる問題 (円滑なシステム導入の条件)

    ・システムの設計
    ・開発段階で現状の業務分析、システム導入後の業務フローの設計、
     導入直前のシステムテスト運用リハーサルに時間をかける
    ・システム開発の各段階で機能仕様、性能、完成度の確認を確実に行う

   (稼動直後から生じる問題点)
    ・システム性能に関する問題
      要求水準を満たさないレスポンスと信頼性、操作性、接続性
    ・アプリケーションソフトウェアに関する問題
      バグの発生、マスタセットアップの不備、操作性、思いの違い、
      仕様確認の漏れ、機能不足

    ・運用上の問題
      業務フローと業務分担変更に対する職員の抵抗、
      境界業務の分担をめぐる部門間の摩擦、
      作業環境、システム導入後の運用に関する理解不足、
      操作の習熟度不足、
      トラブル対応の不備と不徹底、
      職員の動線と機器配置の不整合

   (情報システムの品質評価指標)
    ・機能性
      ユーザのクレーム、運用に支障、セキュリティの充足度
    ・安全性
      ハードの故障、ソフトのバグ、発生件数と収束度
    ・使用性
      単純性、効率性、統一性、正確性

   (稼動後時間をおいて現れる問題点)
    ・システムの性能に関する問題
      データ量・トランザクション量の増加
    ・アプリケーションに関する問題
      開発・改修のバックログの増加、陳腐化、硬直化
    ・運用上の問題
      業務フロー、人員配置、阻止の変更、新規事業の発生、
      制度改正、システムに対する新たなニーズ発生、ニーズの変化、
      システムに対するユーザの幻滅とあきらめ


● 導入後の問題点列挙と改善策の立案

   対策の必要度、緊急度、優先度を評価
   対策案の効果の予測と経費と工数の予測
   中立で全体的な視点で、建設的かつ現実的な改善策を立てる

  (情報システムの問題点に対する改善策)
   ・ハードウェア対策
     機器の交換・追加、再配置、アップグレード
   ・ソフトウェアの対策
     バグ解決、システムチューニング、データベースの再配置、
     アプリケーションの改修、OSやミドルウェアのアップクレード
   ・運用上の対策
     ユーザ教育の徹底、業務フローと業務分担の変更、
     人員配置の変更、システム
     活用に対するインセンティブ


【 医療情報システムのコストパフォーマンス】

● コストとパフォーマンス

  投資と成果のバランス
  単位投資当たりの成果が最大のところまでがシステム化の範囲
  初期コストとランニングコスト
  コストパフォーマンス 処理量で1時間当たりの処理件数、1ヶ月当たりの売り上げ
  コストベネフィット 患者や職員の満足度


● コストパフォーマンス評価に必要な視点
  (病院情報システムの評価項目)
   ・プロフィール
    開設主体、診療科目、病数、看護基準、情報システムの対象範囲
   ・コストに関する項目
    コンピュータ関係経費・職員・派遣受入要員数、医業費用、
    委託費用、端末数
   ・パフォーマンス・ベネフィットに関する項目
    入院・外来患者数、入院・外来収入、医業収入、レセプト枚数、
    検査件数、処方箋枚数、予約件数、手術件数、患者待ち時間、満足度

  (研究方法一覧)
   ・観察的研究
    横断的観察 ケースシリーズ研究、横断調査研究
    長期的観察 ケースコントロール研究、コホート調査
     → 医療情報システム評価では不可能
   ・実験的研究
    自己コントロール試験研究、無作為化試験研究、クロスオーバー試験研究


● 個々の情報システムの評価

  ケースシリーズ研究
    観測結果の詳細をまとめた報告、
    まったく新しい試みや数少ない事例の報告
  システム監査基準
    システムの安全性、信頼性、効率性、可用性、機密性、保全性、
    有用性、戦略性などをトップマネージメントの視点で独立した立場で調査


● 導入前後によるコストパフォーマンス評価事例

  導入前のデータと導入後のデータ
  医事部門業務の評価 人員数、処理伝票枚数、レセプト枚数、延べ患者数、医業収入
   → 1.3~3.8倍
  生化学検査部門の評価 検査技師数、検体数、検査項目数 → 2.1~3.1倍
  オーダリングシステムの評価 外来および入院収入増、
  無駄なき給食の削減/超過勤務削減/人員削減、省スペース効果
   → 5年間の投資と経費 6.3億円 に対して 5年累積効果は 15億円
  外来患者の院内滞在時間 3h20min → 1h8min
  総事業費に占める情報投資比率 2%
  経営改善効果比率 5%


● 全国横断調査の事例

  代表的な指標 平均±標準偏差
   入院レセプト枚数/職員数  110±47
   外来レセプト枚数/職員数  1087±1444
   外来患者数/外来医事端末数  162±86
   入院患者数/入院医事端末数  132±94
   コンピュータ経費/医事経費
     医事集中システム 1.3%
     オーダリングシステム 2.3%

   オーダーリングシステムでの効果ありと判定した医療機関の割合
    ・患者待ち時間の短縮  90%
    ・診療効率化、物品管理充実  80%
    ・事務/看護/コメディカル労働軽減  70%
    ・病床管理充実、医師労働軽減  50%


● 電子カルテとネットワーク時代の評価

   電子カルテの導入 平成14年 2% → 18年に60%

   導入効果 医事などの部門の効果、各種オーダリング効果に加え
     ・カルテ、X線フィルムの医事資料の保管スペースと管理要員の削減
     ・患者説明の充実
     ・治療計画の標準化
     ・医療の安全性向上

   地域医療ネットワーク
     ・医療の効率化と機能分化
     ・癌などの長期治療の必要な疾患の増加
     ・保健福祉との連携
   地域医療の目指すもの
     ・社会保障費の削減
     ・入院日数の削減などの個人のQOL向上


● 医療情報システムの性能評価の要点
   機能チェックはすれるが、性能チェックが十分でない


● 医療情報システムの性能チェックに必要な視点

  (1)一般的な情報システムの性能
    ①サーバの計算能力  CPUやメモリ
    ②サーバのハードディスクの性能 容量とRAID
    ③データベースとトランザクション処理性能 
    ④通信速度  LANの種類
    ⑤オンラインレスポンス PC性能
    ⑥耐障害性能  UPS

  (2)医療情報システムの性能
    ①24時間365日稼動
    ②真正性、見読性、保存性  電子保管
    ③1秒以内のオンラインレスポンス
    ④十分なデータチェック機能
    ⑤多様な出力


● 性能評価の具体例

  (1)データベースの選択時の評価
    RDBと木構造DB
     固定長 ディスク容量は差なし、アクセス時間で3~40倍 
     非固定長 ディスク容量で4~20倍、アクセス時間で20~80倍

  (2)データベースの最適化設計
     データ量増加に伴うレスポンス悪化
     ディスク領域の最小化とディスクアクセス回数の最小化

  (3)インターネット/イントラネットを使った業務アプリケーションのベンチマーク
     アクセス速度が不安定
     オブシェクト方式と直接アクセスでは3倍のアクセス時間差

  (4)暗号化データベースのベンチマーク
     暗号化は必須
     暗号化によるシステム負荷増とレスポンス劣化