6月の間にたくさんのユリが咲いていましたが、写真が積もり積もってあまり投稿できていませんでした。

今回はコオニユリに関連するユリを紹介します。

キヒラトユリ

学名:Lilium leichtlinii


名前の由来は長崎県平戸市に自生していたためです。

本来はコオニユリの変種(L.leichtlinii var. …)であるはずでしたが、ヨーロッパにキヒラトユリがコオニユリよりも早く伝わってしまったため学名上これが基本種になります。



キヒラトユリとして流通するがキヒラトユリではないと思われるユリ

海外でL.leichtliniiとしてこちらのユリが広く流通しているため、日本にもヨーロッパ産の球根が入ってきています。反り返りの弱さや草丈、草姿、泥軸などの観点からオニユリか何かの交配種であることが推測できます。

また、海外では’シトロネラ’として販売しているナーセリーもありました。






コオニユリ

学名:Lilium leichtlinii var. maximowiczii


日本全土の草原や海岸、湿地、山岳など意外といろいろな場所に自生しますが、自生集団が小さいのか見る機会はそれほど多くはないです。食用になっているコオニユリはこのような原種から肥大が盛んで味が優れたものの選別交配品種('白銀'⤵︎)です。




'白銀'


普通の原種と比べると細葉で花の色が薄くやや小さめです。タニマユリの選別なのかもしれないです。

スーパーなどで見かけるユリ根の99%程度はこの品種です。育てればこうなるのです。また、ヤマユリ、オニユリもかつては食用にされていましたが、現在オニユリは食用の商業生産はありませんし、ヤマユリも食用として販売される際は記載があります。






ホソバコオニユリ
学名:Lilium leichtlinii var. maximowiczii f. tenuifolium
subf. …)

戸隠姫谷間ユリとして入手しました。
コオニユリ(Lilium leichtlinii var. maximowiczii )が既にL.leichitlinii(キヒラトユリ)の変種となっているため、コオニユリの細葉変わり物であるホソバコオニユリ(タニマユリ)は学名として記載する際にはキヒラトユリの変種ではなく、変種の下位分類の品種(f. tenuifolium)として記載されます。f.以下はあくまでも観察者が名付けた通称ですのでICNでは正式に認められたものではありません。



謎の赤いコオニユリ系のユリ

しばらく前から栽培していますが正体不明。

草姿や花の形はコオニユリと相違ないですが、カロテノイドに変わってアントシアニンの発現がやけに濃いです。後ろのLAユリ'レッドヒル'と比較すると同等の赤味であることが分かります。





白花コオニユリとしてたまに流通する

'スイートサレンダー'

グループ:アジアティックハイブリッド


白花コオニユリとして入手して騙された方も少なくはないのでは?

コオニユリの変種ではなくオニユリが用いられた園芸品種です。ちなみに2倍体であり、3倍体オニユリに受粉しても結実します。

白花についてですが、現在コオニユリで白花変種は確認されていません。そもそもカロテノイド(橙から黄の色素)を主要とする植物は欠損変異が起こりにくいので白花化する可能性はとても低いです。オニユリ、スカシユリ、エゾスカシユリ、クルマユリ、タケシマユリなどの橙色の原種に白花がないのもそういうことです。一方、アントシアニン(赤、紫、ピンク系の色素)を主要に含むユリ、例えばカノコユリ、オトメユリ、ヤマユリ、マルタゴンなどではアントシアニンの可変性の高さにより白花変種が存在しています。赤い花の植物が暑さで色褪せやすいのにもそういった理由が関係しています。カロテノイドは元々光合成色素として葉緑体内に存在しており、これが欠損することで光合成能力が低下するため、自然選択的に欠損が起こりにくくなっているようです。