そして、ハトリックの運命を揺るがすあの日が訪れる。
「アメリア様・・・大変です。王と王妃が・・・」
宮室に飛び込んできた兵士が、震える声で告げてきた。
隣国のアラドラスへ視察に訪れた二人が、流行り病の病魔に侵され、亡くなったというのだ。
報告を受けたアメリア様は俺の隣でしばらく呆然と立ち尽くし、不意に気を失った。
国の長が、アメリア様の両親が、死んだ・・・。
両親を失う悲しみは、同じ経験をした俺には痛いほど分かる。
アメリア様のことを思うと、俺は辛くて、涙が止まらなかった。
目を覚ました姫は俺の服を掴んで必死に訴えた。
「エルーシオ・・・お願い。夢だと言って。これは、悪い夢だと・・・」
「アメリア様・・・!」
俺はアメリア様を思い切り抱きしめた。

現実は、あまりに残酷だ。
こんなあどけない娘からをも、両親を奪ってしまうというのか!
王と王妃がいなくなってしまった今、一体誰が姫様を加護するのか。
「アメリア様・・・。必ず俺が、王と王妃の代わりにあなたをお守りします。この身にかえても、必ず・・・!」
その日を境に、俺は外部の人間に対しても魔族に対してもより一層、警戒心を強く持つようになった。
もちろん、内部の者も例外ではなかった。
ウィリアムが姫様に忘却剤を飲ませようとした時も、俺は殺気をみなぎらせ、切りかかる勢いで止めに入ったのだ。
周りで見ていた者たちが、若干俺に恐怖を覚えるくらいに。
堅物で近づきがたいヤツだと思われただろうが、構いはしなかった。
姫様を守るためなら、どう思われようとも。
だから、外からやって来たあいつのこともなかなか受け入れられなかった。
姫様が城内の挨拶に回られたときにコソコソかぎまわっていたあの娘。
パルバンに誤飲されて、この城まで運よくたどり着いた怪しい娘。
“愛野メグミ”
あいつを警戒しないわけが無い。
姫様に近づこうとするヤツは誰であろうと容赦はしない。
「姫様に近づくな!俺はお前を普通の娘とは思っていない!!」
俺は再三警告し続けた。
しかし、あいつは俺の忠告を聞かず、姫様と真夜中に北の塔で密会し、刺客に襲われた。
そして、ブランケットに染み渡ったあいつの赤い血が、俺に魔族への恐怖心を蘇らせたのだ。
だからあいつに剣を向け、恐怖のままに怒鳴り散らした。
まさかメグミ殿が本当に異世界から来た普通の女性とは思わず、悪いことをしたと思っている。
“血の色が何だって言うんだ?メグミは普通の女の子だよ”
フランシス様のような冷静な判断は俺には到底できない。
あの言葉がなければ、そしてアメリア様が釈明してくださらなければ、俺はメグミ殿を疑ったままだっただろう。
メグミ殿のお陰で、アメリア様は以前より生き生きして、明るくなられた。
フランシス様にも成しえなかったことだろう。
だから俺はメグミ殿にも、とても感謝している。
今ではアメリア様の良き友として、彼女を受け入れるようになった。
一刻も早く刺客の素性を暴き、アメリア様を亡き者にしようとするヤツを見つけなければ。
たとえアメリア様が俺以外のヤツを好きになろうと、この恋が実ることなく終わってしまおうとも関係ない。
俺はもう決めたのだ。
この身が滅びるまで、一生アメリア様をお守りするのだと。
「アメリア様・・・大変です。王と王妃が・・・」
宮室に飛び込んできた兵士が、震える声で告げてきた。
隣国のアラドラスへ視察に訪れた二人が、流行り病の病魔に侵され、亡くなったというのだ。
報告を受けたアメリア様は俺の隣でしばらく呆然と立ち尽くし、不意に気を失った。
国の長が、アメリア様の両親が、死んだ・・・。
両親を失う悲しみは、同じ経験をした俺には痛いほど分かる。
アメリア様のことを思うと、俺は辛くて、涙が止まらなかった。
目を覚ました姫は俺の服を掴んで必死に訴えた。
「エルーシオ・・・お願い。夢だと言って。これは、悪い夢だと・・・」
「アメリア様・・・!」
俺はアメリア様を思い切り抱きしめた。

現実は、あまりに残酷だ。
こんなあどけない娘からをも、両親を奪ってしまうというのか!
王と王妃がいなくなってしまった今、一体誰が姫様を加護するのか。
「アメリア様・・・。必ず俺が、王と王妃の代わりにあなたをお守りします。この身にかえても、必ず・・・!」
その日を境に、俺は外部の人間に対しても魔族に対してもより一層、警戒心を強く持つようになった。
もちろん、内部の者も例外ではなかった。
ウィリアムが姫様に忘却剤を飲ませようとした時も、俺は殺気をみなぎらせ、切りかかる勢いで止めに入ったのだ。
周りで見ていた者たちが、若干俺に恐怖を覚えるくらいに。
堅物で近づきがたいヤツだと思われただろうが、構いはしなかった。
姫様を守るためなら、どう思われようとも。
だから、外からやって来たあいつのこともなかなか受け入れられなかった。
姫様が城内の挨拶に回られたときにコソコソかぎまわっていたあの娘。
パルバンに誤飲されて、この城まで運よくたどり着いた怪しい娘。
“愛野メグミ”
あいつを警戒しないわけが無い。
姫様に近づこうとするヤツは誰であろうと容赦はしない。
「姫様に近づくな!俺はお前を普通の娘とは思っていない!!」
俺は再三警告し続けた。
しかし、あいつは俺の忠告を聞かず、姫様と真夜中に北の塔で密会し、刺客に襲われた。
そして、ブランケットに染み渡ったあいつの赤い血が、俺に魔族への恐怖心を蘇らせたのだ。
だからあいつに剣を向け、恐怖のままに怒鳴り散らした。
まさかメグミ殿が本当に異世界から来た普通の女性とは思わず、悪いことをしたと思っている。
“血の色が何だって言うんだ?メグミは普通の女の子だよ”
フランシス様のような冷静な判断は俺には到底できない。
あの言葉がなければ、そしてアメリア様が釈明してくださらなければ、俺はメグミ殿を疑ったままだっただろう。
メグミ殿のお陰で、アメリア様は以前より生き生きして、明るくなられた。
フランシス様にも成しえなかったことだろう。
だから俺はメグミ殿にも、とても感謝している。
今ではアメリア様の良き友として、彼女を受け入れるようになった。
一刻も早く刺客の素性を暴き、アメリア様を亡き者にしようとするヤツを見つけなければ。
たとえアメリア様が俺以外のヤツを好きになろうと、この恋が実ることなく終わってしまおうとも関係ない。
俺はもう決めたのだ。
この身が滅びるまで、一生アメリア様をお守りするのだと。