例えば、瞼を少し押し広げてできた空間に流れ込んできた朝。
例えば、唇を少しもたげてできた空間に注がれた酸素、窒素、二酸化炭素。

わたしが好んで選んだものなど、生活のほんの一握りにしか反映されないのだと知る。

時間、空気、果てはヒトゲノムに至るまで、この体を構築するにあたって、わたしが選んだものなどひとつもないのだ。

わたしは、気付いてしまった。
わたしは、生かされている。
それは、宗教的な倫理や道徳的な謙虚さからではなく、
ただただ、受動的な絶望だった。

世界から、あるいは歴史上の万物から嘲笑われているような、
壮大な羞恥心と膨大な背徳感がわたしを喰った。

わたしはもう、抗えないのだと悟る。