生物は生殖作用がある。 「生殖とは、産み増やすこと」
……おいおい、このひとは一体何を言い出すのかとお驚きのお方もおられようが、恋のことについて前置きが無いと誤解されるおそれがある。それは本意でないのでここでは分かり易く解説していく。
みなさんもご両親やご先祖様の生殖行為のお陰で今日の個体が存在するという事実は動かしがたい。歴史は夜つくられる……とも。
この時期、猫だけでなくスギだって風に花粉を飛ばして、雄花と雌花があらん限り無言の生殖行為を展開している。それだけならいいが、アレルギーを持つ無実の人間、5~10人に一人は花粉症の症状が出るという。
なぜスギの生殖メカニズムで人間が迷惑を蒙らなければならないのか。それは疑問だが、人間だって恋している時は周囲におかまいなしにジコチューになっていないだろうか。世界は二人だけの為に回っているとか主観的、いや独断の極みに達しているのはスギだけではないだろう。
しかし、人間にはスギや動植物と違って同じ生殖行為でも、色や艶や文化だってあるじゃないかと反論したくなるのが普通で、そもそも、人間の恋には季節やタイミングなど好条件がそろうことが必須。
それは、好き・嫌いなど非言語コミュニケーションや五感で無意識に嗅ぎ取っていることもある。(それだと目や鼻口などから侵入してくる花粉と同じではないかとも思えるが……。)
たとえば、男性は一般的にかぐわしい芳香にヘタレになり易い、どうも弱い傾向がある。これは母乳の原初体験もあるが、それは安心と幸せの香りというか、果物か花のようないい匂いだか香りに接すると理性が麻痺して、その香りのもとである女性を理想像へと創造しがちだ。(……なかには恋の香りも分からない鈍感もいるが)
そして恋するとアバタも笑窪に、いい方に見てしまうようだ。
多くの結婚パターンはそうではないだろうか。魔法がかかっているのである。
その魔法を科学的に分析すると……
恋心……このとき脳内神経伝達物質セロトニンが機能しているのである。神経伝達物質だから、別のある人にも空間を隔てて伝達する。五感で受け取りその個体の中で理想化する。そして伝播もする。
TVの放送原理に似ているが、ON AIR電波であり電気信号に変えて遠隔地に飛ばしているのである。リモコンやBluetooth等も電波や音波の違いはあれ、主にコードレスで信号を伝える。
人間の場合でも「ああ、この人いいな」、とか「きれいだな」とかの気持ちがあり、無意識にでもその人の脳に向けてなんらかの好感電気信号を送っているのではないだろうか。やがて、いつかは通じて何らかの反応を示してくれるはず。
鈍感でなければ……。
但し反応でもいろいろある。
ついでに付け加えると、母乳で母子の愛情ホルモンの増幅を促すのがオキシトシンで、これは哺乳類の脳下垂後葉(視神経の下、延髄の前部の1g以下)の分泌ホルモンだが、別名ストレスホルモンといわれる所以は、ストレスから友愛グルーミング、保身へと駆り立てる効果があるからである。
次に「恋について」
科学的データやプラグマティズム(実践)をふまえながら探求してみたい。
恋するには原料とシチュエーション(段取り)が必要だ。
いわゆる「恋心」 「恋人気分」 といった演出を醸し出すのには体内のセロトニン、ドーパミンがなくては燃焼、意欲が湧き起こらない。という実例。
2000年のノーベル医学生理学賞は、ドーパミンの研究をしたアービド・カールソン博士に授与された。ドーパミンは神経伝達物質で、人間の性欲、感覚、興奮のメッセージを伝える機能を持っている。人間が人を愛するのも、文学や芸術に心酔するのも、すべてこのドーパミンが関与している。ドーパミンは、好きになってやめられない心地いい都合のいいものを記憶する物質である。
ドーパミンは男女間の深い愛情関係を作り上げる化学物質なので、ドーパミンが充分にあれば一人の異性に対して愛情を持ち続けることができる。しかし足りなければ簡単に浮気するようになってしまう可能性さえある。
アメリカ、フロリダ州立大学のブランドン・アラゴナ博士は、草原ハタネズミを使って興味深い実験を行っている。このネズミでは、一度カップルになると婚姻関係がずっと続くのだが、あるカップルのオスの脳液からドーパミンを分離し、まったく関係ない若いオスのハタネズミに注射すると、この若いハタネズミは、同世代のメスには一切興味を示さず、ひたすらドーパミンを抽出したネズミのカップルのメスに求愛し続けたという。
この実験から、ドーパミンは「幸せを記憶する物質」であることが分かった。幸せは「心地よい記憶の持続」と言い換えることができる。ドーパミンは他人のよいところを覚えている物質ともいえるだろう。逆にドーパミンが足りないと悪いことばかり思い出すようになってしまう。(栄養バランスが悪い)
良く知られているハリウッド映画に「レナードの朝」という名画があったのを思い出してもらいたい。
あれは難病であるパーキンソン病患者が、医師の処方のもと本人同意でドーパミンを少しずつ混ぜて服飲用したところ、それまでチック症だった患者が、いっとき健常者のようになって”恋に陥る”という実話をもとにした脚本。名優ロバート・デ・ニーロの名演もさることながら演出の妙に、観客も思わず感動したおぼえがある第63回アカデミー賞受賞作品。
そのドーパミンの効果は一時的ではあったが、難病に光をあてる試みでもあった。それだけ難病であっても恋をする権利はあるのだ。
幸福感を作り出すもう一つの神経伝達物質はセロトニンである。セロトニンが足りないと疲れやすくなり集中力が持続しにくくなる。
セロトニンやオキシトシン、ドーパミンを脳内に増やすには、たんぱく質と腸内細菌が必要だ。そしてストレスを受けないようにすることも大切である。なぜかというと、精神的なストレスを受けると、脳内のセロトニンなどが一挙に少なくなってしまうからである。(腸内から分泌、伝達されない)
私たちの行動を決めているのは、脳による思考というよりも腸内細菌がつくりだすドーパミンやセロトニンによるものなのである。(以上、「こころの免疫学」藤田紘一郎・著~)
しかし、ここまで読み進めてこられた賢明な読者諸君は、違いを明瞭に理解されているように、セロトニンやドーパミンを直接摂取するのでなく医食同源という言葉があるように、「食育」ではなかろうかと考えが及んでいることと思われる。
そう、管理栄養士のレシピなら先ず間違いはないだろうが、偏食しないことが大事である。
その昔、大航海時代、多くの船乗りが倦怠から食欲不振病死へと至った原因を探ったら、ビタミンC不足だった。これ(ビタミンC)は人間の体内では生成されない。
人間の体内には60兆もの細胞があるが、生きていればそれらから活性酸素を出し、それらの多くは老化現象を及ぼす。ビタミンCはそれら邪魔な活性酸素をうまく体外へ排出する作用に一役買っている。
(参考までに5大栄養素とは、たんぱく質、脂質、炭水化物、カルシウムなど無機質、ビタミン)
ただ、こういう知識だけあっても、女性は靡いてくれない。ときには弱さをもさらけ出さないと。
情緒、情感を鍛えるには藤沢周平文学作品とかいい音楽を聴いて人生の奥行をはかるとか。
一般的にIQ知的インテリジェンスは脳で、EQ情感エモーショナルは心で、ということになっているが
ヨーロッパでは古くからのことわざがある。「愛情は胃袋から」。と、まことにゲンキンな表現だが、以下の記述を読んでいただければ納得もされよう。
「
それでは、進化した我々の腸にやさしいエサを与えるには何がいいのか。
まず自律神経の副交感神経を優位にして(つまりリラックス)、腸内細菌の好む善玉菌のオリゴ糖を含むビフィズス菌や乳酸菌などのトリプトファン(栄養素)や果物や穀物の炭水化物、それに豆や魚貝類のビタミンB類などバランス栄養が好ましい。
さらに栄養摂取したら積極的運動。ウォーキングからはじめてみる。本来なら汗をかくくらいインターバルトレーニングをすると効果的だが、入浴からでもいいでしょう。
おいしいおやつを食べるとか、入浴する時というのは、仕事などで緊張する交感神経優位と違って、免疫力が高まる副交感神経優位な状態であるので、やすらぎ、しぜん考え方も肯定的になる。(ストレスを感じない状態)
もっと詳しく述べると、リラックスしている状態は、血液中の白血球でリンパ球が増えているときで、リンパ球が活性化している状態。
リンパ球が元気だと、ウィルスなど侵入してきた異物に対しても、リンパ球が元気に闘って熱発はするが、抗原抗体反応をし、免疫力を獲得する。だから汗をかいて異物を排出するのが好ましい。
それでは、どうすれば健康体になれるのか。
それは、簡単。
快食、快眠、快便。 栄養と運動。 禁酒禁煙も望ましい。ウォーキングなど運動すれば寝つきもいいし、眼や姿勢に注意してブログ執筆も可なり。ビタミンCも摂ってね。
おっと、そう書いている自分自身が食事も忘れて書き綴ってしまっていた。
それでは、今日はここまで。 (吟)
(*この論文は改正著作権法に基づき健全な教育の為に捧げるもので商業ベースはこの限りではない)