いきなりFashionという身近なテーマから入ってみたが、これもファッションといえるのだろうか。
近年Fashionなのか、女性のつけまつげメイクが向上して、ひところのバーのホステスなどの翌朝ふためとみられないメイクアップならぬメイクダウンとは段違いでほんとにこれが上手い女性には不覚にも心煌めいてしまう。
なんでも聞いてみると、毎晩帰宅しても一々剥がさないらしい。
一か月ぐらいそのままとか。
ふぅ~ん。
そうなるともうカラダの一部のようなものだな。 するとつけまつ毛も伸びてくるんじゃね。
そうくれば世の男性陣もその美の競演に応え参加せざるを得ないだろうな。
例えば、エクステとか付け髭(ひげ)などはいかがかな?
小生も劇団でシェイクスピアの「真夏の夜の夢」にオーベロン役を通して演ったことがあるが、付け髭、あごひげもくっつけて舞台にたっていたな。
観てた劇団の子はすっかり本物のヒゲだと信じ感情移入してメルヘンの世界に酔っていたのだろう、顔が火照っていた。
舞台だからできたのかもしれんが、営業マンが5時のプライベートタイムと同時にサッと付け髭をノリでくっつけてデートに。
なんて技術が向上すれば気分転換にメイクアップ力も交渉力も向上する可能性もでてくる。
これは人間どこかにある種の変身願望が潜んでいるからでしょうな。
こういう事例がある。
あるとき、子供がお祭りで指輪を引き当てた。
それを好きな彼女にあげるでもなく、一緒に入ったスーパーの中で何を思ったか突然 「シュワッチ」と目が輝きTVのヒーローになったかのように恥ずかしげもなく片腕を高く上げ今にも空に飛び立とうとするのであった。
見ると指には先ほどの指輪をはめている。
ん?そんな指輪をはめて変身するTVでも見たのか?
てくまくまいこん?
おいおい、冗談じゃないぞこんな家の近くのスーパーで・・・・・・。
待て、おちつけ。はやまるな。
こんなところで変身してウルトラマンにでもなられたら、お父さん明日っから買い出しに行けないじゃないか。周囲の目ってものがあるだろう。
後日指差されて「あの人ウルトラの父よ」なんてレジのおねいさんに嘲笑されたら、お前の好きなアイスや亀の餌はどうするんだよ。買いにくいだろ。
主題歌にもなってるウルトラの父がアイスなんか買えるか?話のネタにされるだけだろうが。
親の立場ってものにもちったぁ気を使って考えてくれよ。
と、心からの叫びもむなしく、親として地上に引き留めるのに必死で、タラーと背中から脂汗が滴り落ち、周囲の怪訝(けげん)な視線を浴びてひきつった顔で言い繕うべくあたふたした記憶がある。
親にとっては受難だが子どもは大抵そうやってTVのヒーロー、ヒロインに夢中になる時がある。
それは一種の変身願望を誰しも根に備えているからで昔の少年も大佛次郎(おさらぎじろう)の鞍馬天狗に感化されては親父の褌(ふんどし)を頭巾のつもりで顔にぐるぐる巻き、また月光仮面では風呂敷をマント替わりに首に巻き、隠密剣士ではハタキや長尺でチャンバラや忍者ごっこに打ち興じた御仁も多いのではないだろうか。
ま、ファッションと云えば云えなくもない。多少とも外形の変化だから。
そういう意味では現代の美容室ブームもカットと会話で心から美しくなりたいという変身願望のあらわれではないだろうか。
褌がストール、ショールに・・・・・・。いや、これは失礼。
もっと品よくいかなければ。
子供たちの理想像をこころの宝箱に仕舞い込んでいたヒロイズム志向を、たわいもない会話から惹き出しそれぞれのなりたい願望に近づかせるお手伝いをする。
------ドラマの現場ではメイクさん、ヘアメイクさんが台本片手に演出方針に従って俳優をヨイショしながら手順通りに役にはまるように拵えていく。
それぞれの思いを込めて。(私の理想まで演じて昇華して)というような夢の工房ならではの熱い眼差しを一身に浴びて、スタッフの皆さんの分まで役を演じぬく。
ヒゲを糊でつけてくれる。
ドーラン?で上から自然に見えるようにカムフラージュする。
笑わしてみて、ヒゲが落ちないかさりげなく点検してる。
ドラマの世界だったらこれでいい。
ただドラマ用のメイクさんでないところに、つけヒゲをつけてほしいと・・・・・・。
たとえば、「怪傑ゾロのような感じになりたい!」という客が来たらどうするのか?
明治天皇やカイゼルのようなヒゲをつけてくれ、という客が来たら夢を叶えるお手伝いのメイクアップアーチストとしてどう対応するのか。
---------そうだなぁ、私がもし、担当者だったら、
「はい、怪傑ゾロですね。かしこまりました。ゾロさんは確かこんなヒゲでしたね」
「ではちょっとお客さんの頭髪をちょんちょんと切らしていただいて、バンドエイドに接着剤でくっつけますね」
「はい、できました。くっ付けてみますね」
「ああ~良くお似合いですね」
客「ん?ヒゲだけ異様に長くないか?」
「はい、ゾロさんでしょう。ゾロゾロと。 ごきぶりゾロゾロ一丁で~きあがりぃ~」
と、まぁ、上記のダイアローグは冗談だが、表現の自由でつけまつ毛が許されるなら、つけヒゲも公然わいせつでもなければ詐欺罪でもなく一ファッションとして自主規制するなら産業育成にもなり男と女の区別がつき少子化に歯止めがかかる育成要素ともなりはしないだろうか。
そこで提案したい。 美容院や床屋でエクステつけるように「つけひげ」メニューがあってもいいはずだ。
時間かけてヒゲのばしたはいいが無精者と誤解され失職するような周囲への不快を招いては元も子もない。
そして顔に似合わない歪(いびつ)なヒゲも失笑もの。
技術向上の余地があるところに産業が発展する雇用の余地あり。
ひげと言えば、名探偵ポアロとか、あとは海賊や武将、ヒットラーなど特殊キャラを想像しがちだが今後、つけまつ毛に対抗して品のある紳士のヒゲなるものが流行ってもいい時代ではあるまいか。
そうなるとイメージ作りからで、紳士の選考から始めなければいかんな。
ファッションも季節を先取りしてこそFashion、元の器量がなければ似合わない。
スターシステムもニューファイスからで男女共同参画も今風かと。つまりこれまでのように優しい野菜男でいいのか?と。
献身的理性ある勇気と自制心を兼ね備えた男前ここそダンディなヒゲが似つかわしいのではなかろうか。
古典的例に「風と共に去りぬ」クラーク・ゲーブル演じたレッドバトラーがある。
ただ、普通の方が真似して、気取ったデート・食事の途中で半分はがれかかってハフハフしているヒゲは想像するだにいとおかし。
それこそ「風と共に去りぬ」。(笑止)
THE END