友人に妊娠したことを話した後、少しは救われた気持ちになったけど、世の中から否定される日々は変わらなかった。


職場の上司や同僚は『どうするの?自分1人じゃ無理なんじゃ…』と心配を装う言葉ばかり。


子どもの父親となる人はLINEで連絡しても既読にはなるが、すぐには連絡は帰ってこない。忙しいふりをされた。


自分の両親はというと、電話してなんとか話をしようとすると『何?』と言われ、話そうと試みようとする間に電話を切られる始末。



そんな日々を過ごしながらも妊婦健診には行っていた。私は仕事してたから土曜日ばかりに健診を入れていた。それが間違いだった。

大体の妊婦は父親となる男性と一緒に来ていた。私だけが毎回、1人だった。それでも毅然と座って、何事もない風に見せて健診を受けていた。

産科の先生は、まだ私が堕ろすかどうするか迷っているのがわかっていた。もうすぐ、どちらか判断しないといけない時期に来る前に先生は言った。


『辛いよね。あなたもこの子も。でも、僕はそれでも頑張って生きている君たちをすごいと思う。悩んで当たり前だし、納得するまで悩んでね。でも、1つだけ産科医の立場として言うと、この子を仮に産んだとして大変なことはもちろんある。でもそれ以上に幸せがあることもあるからね。』



私たちの辛さ、多分、想像ではあるんだろうけど、少しでもわかろうとしてくれたのがありがたかった。

たしかに、人生は山あり谷ありだな。

私の今まで生きてきた人生でこれといった正解なんてなかったと思う。

今回も堕さないことを選択したとしても正解でもどっちでもないのかも。

産んでみて、どうしたらいいかわからなくなったら、誰かに助けを求めてみていいのかも。


一緒に生きてみようか!

堕さない決心をした。

シングルマザーでもいいや!

この子と一緒に生きていく!

決めた!

私の視界が明るくなった。