火葬前、棺の扉を開けみんなで順番に父の顔を見た。

僕が一番最初に見た。

その後、全員が見たところで、担当の方が

「それでは、扉を締めさせていただきます」と言った。

 

扉が閉まった。

これでもうあの優しい父の顔を見ることができないのか、と思うとたまらない気持ちになった。

 

僕は担当の方に「最後にもう一度いいですか」と尋ねた。

「はい、大丈夫です」と小さな声で言ってくれた。

再び扉をあけてもらい、最後にもう一度父の顔を見た。

 

父の口の中に入れたワタがなんか違和感があってやっぱりちょっと変だった。

その後、一気に涙が溢れ出した。

僕はみんなの前で大号泣してしまった。

 

これで最後になると思うとゆっくり父の顔を見ていたかったが、みんなを待たせて申し訳ない気持ちもあった。

 

僕は涙を拭いながら「もう…大丈夫です」と伝えた。

再度扉が閉まった。

 

その後、火葬の赤いスイッチは僕が押した。

右手の人差し指で押した。

 

 

数時間後、骨になった父をみんなで拾い、僕らは火葬場を後にした。

 

この後はもう一度葬儀会場へ戻り、この日に初七日法要も行うことになっている。

結構ハードなスケジュールだ。

 

火葬場から葬儀会場までは妻の運転する車に乗せてもらった。

娘たちも乗っていた。

家族といると安心するせいか、ずいぶん身体が重くくたびれた感じがした。

今までずっと張り詰めていた糸が切れた感じだった。

 

 

葬儀会場へ戻り、初七日法要を終え、この日は終了した。

 

 

 

金曜日に父が亡くなって、土・日・月の4日間。

長いようであっという間のようで…

 

 

ただ、昨日までは大丈夫だったけど、この日は本当にくたびれた一日だった。

すごく身体が重かった。


4日間の疲れがこの日の夕方に一気にきた感じがした。