通夜の翌日は葬儀だった。

 

葬儀の日、喪主の挨拶では少しだけ父の思い出話を入れた。

 

案の定、思い出話の途中で耐えきれず泣いてしまった。

前日の通夜では我慢できたんだけどな。

喋れば喋るほど涙が出てくるような状態になってしまった。

それでもなんとか最後まで挨拶をすることができた。

 

僕が泣くのに合わせて、みんなも泣いてくれた。

挨拶後、娘たちとは目を合わせられなかった。

泣く僕を見てなんて思っただろうな。

 

 

葬儀の最後、棺に花や手紙、父の仕事着やジャージなど思い出の品々をたくさん入れた。

みんな泣いていた。

僕の妻も泣いていたのが印象的だったな。

 

僕は棺に眠る父の顔を触った。

父の顔は冷たかった。

 

晩年好きだったメイバランスも入れてあげればよかったかな、と後で思った。

たくさん買ったメイバランスは飲み切れず冷蔵庫に残ったままになってる。

このブログのコメントでメイバランスを教えていただき、最後まで父は大変気に入ってた。

 

そして父を火葬場に運ぶ時間になった。

 

僕は位牌を持って霊柩車に乗った。

霊柩車の助手席って初めて乗ったけど、想像していたよりだいぶ狭いんだな。

なんか少々息苦しくも感じた。

大きなクラクションを鳴らし、霊柩車は出発した。

 

 

出発後、僕は霊柩車の窓をあけた。

前日とはうってかわりずいぶん天気が良い日だった。

 

 

その道中、飛行機雲が見えた。

ユーミンの曲であったなぁ、「飛行機雲」って曲。

たしかユーミンの同級生が亡くなった時のことを歌にしたんだっけな。

なんとなく不思議な偶然のような気がした。

ずいぶんゆっくり進む霊柩車の中で、「♪空に〜あこがれて〜」って部分が頭の中でずっと流れていた。

 

 

火葬場に着くまでのこの時間。

とてもゆっくり進む霊柩車。

 

天気が良く、泣いた後のスッキリ感もあって、霊柩車の助手席がとても心地よかった。ひとり父を偲ぶのにはちょうどいいおだやかな時間だった。

 

そう言う意味では火葬場ってちょっと遠いくらいがいいのかもしれない。