3日目は、納棺の儀と出棺、そして通夜だった。
この日は一日中雨だった。
納棺は僕と数人の身内の方で見守った。
父の孫、僕の娘たちもしっかりと見届けた。
父はシャンプーで髪を綺麗にしてもらい、身体を洗ってもらい、お気に入りのスーツを着せてもらった。
顔にはメイクをしてもらい、コケた頬には綿をつめてもらった。
棺の中に入った父はとてもきれいな顔になっていた。
その後、身内の方に手伝ってもらい出棺をした。
夕方になり僕も母と共に通夜・葬儀会場へ入った。
収容人数20人程度の会場は少々狭く感じた。
祭壇にはすでに父の棺が配置されていた。
派手好きで賑やかなことが好きだった父には寂しい会場だったかな。
父は生前、僕たちに負担をかけないように「葬儀は最小限でやってくれ」と、言っていたが、本音はどうだったのかな。
本当は大きな会場でたくさんの人に見送られたかったのかもしれないな。
母と二人で、棺の中で眠る父を見た。
母はどう思っているんだろうな。
ほどなくして会場の外には身内関係の方も続々と来られた。
父の仕事仲間の方々も来られた。僕の仕事仲間まで来てくれた。
みんな父を慕ってくれていたんだな。
あれだけ面倒見の良い人だったからな。
お父さん、どっかから見えているのかな?みんな来てくれたよ。
来てくださった方々に挨拶をしていると、あっという間に通夜開始の時間になった。
通夜は滞りなく行われた。
普段は長く感じるお経もこの日はとても短く感じた。
喪主の挨拶はテンプレートをそのまま読んだ。
変にオリジナルの文章にすると、なんだか感情が爆発して抑えられなくなりそうだったから。
通夜の最中、泣いている方がたくさんいた。
おかげで僕は泣かずに済んだ。
小さい頃、泣き虫だった僕は父によく怒られたな。 「男が泣くな!!」と。
あんまり人前で泣いてるとあの頃のようにまたお父さんに怒られちゃうからね。
ちょうどよかったかな、なんて思った。