「なぜ気にかけないといけないのか?」
先週の多文化カウンセリングの授業中に私は生徒からこんな質問を受けました。ほとんど毎学期授業の中で議論に上がる質問なのですが、その時に私は有名なマルティン・ニーメラー牧師の詩を引用するようにしています。
英語版
First they came for the Communists
And I did not speak out
Because I was not a Communist
Then they came for the Socialists
And I did not speak out
Because I was not a Socialist
Then they came for the trade unionists
And I did not speak out
Because I was not a trade unionist
Then they came for the Jews
And I did not speak out
Because I was not a Jew
Then they came for me
And there was no one left
To speak out for me
私の日本語版(意訳入り)
最初に彼らは共産主義者を連れて行った、でも私はなにもしなかった、なぜなら私は共産主義者ではなかったから
次に彼らは社会主義者を連れて行った、でも私はなにもしなかった、なぜなら私は社会主義者ではなかったから
その次に彼らは労働組合員を連れて行った、でも私はなにもしなかった、なぜなら私は労働組合員ではなかったから
そしたらこんどは彼らはユダヤ人を連れて行った、でも私はなにもしなかった、なぜなら私はユダヤ人ではなかったから
そして、彼らは私を連れて行った、そして私のために何かしてくれる人はもう誰も残っていなかった
マルティン・ニーメラー牧師は平和のために尽力された有名な方ですが、今回の私のブログはなぜ行動を起こすことがが大切なのかについてです。毎週の多文化カウンセリング授業の中で私は必ずしていることがあります。それはInternational Newsの紹介です。日本でもアメリカでもですが、ニュースを見る人は年々減っているようです。しかしアメリカ人は引き続き色々なところでニュースを追っているそうです。79%のアメリカ人(18-40歳)は毎日のようにニュースを読んでいる・観ているそうです(AP通信ソース)。私の学生も大多数がニュースは追っているそうですが、国内ニュースにとどまっているので、私は毎週時間がある限り国外ニュースを紹介するようにしています。ニュースの内容は色々で、この前紹介したのはイギリス政府が国内有力紙の中東系のグループの買収を妨害したというニュースです。こういうニュースを紹介して、学生にどう思うかディスカッションしてもらいます。
その前にはGen Z世代がインドの伝統的なお祭りをどのように環境問題に考慮してかえようとしているか、などです。
この国外のニュースを紹介する時にたまに出るのが本日のブログのタイトルー"Why do we need to care?" 「なぜ気にかけないといけないのか」という問題提起です。他の国のことに目も向ける必要なんてないじゃないか、って思う人がいるのですが、だからこそ目も向けろと私は強調します。カウンセラーとして担当するクライアントはアメリカで生まれた白人だけではありません、2世のインド人だっているし、ムスリムの難民の方だっています。その時にクライアントの国ことを何にも知らなかったらそれで(カウンセラーとしては)ゲームオーバーだよと伝えます。相手の国や文化、痛みを知らないでカウンセリングなどできませんので、結構これは何度もはっきり話します。そしてもし自分のクライアンとが自分と同じ文化的背景の人だったとしても、世界がどのように繋がっているのかを理解する大切さを説きます。世界で起こっている多くのことを私たちは自分に関係ないと思いがちです。自分に関係あると理解したら、あまりの重圧と情報過多で頭が混乱してしまうので、自衛措置でもあるのかもですね。そして詩にあるように、声を上げるのが大切なのです。カウンセラーの役割のうちにSocial Advocacy(権利擁護のために戦う人)というものがありますが、おかしいと思ったら声を上げ、行動する。社会的弱者のために戦う。そうしないと気がついた時には自分がたった一人残されてしまっているかもしれません。学生には少しでもいいからニュースを読みなさい。あなたの世界に何が起こっているかを知りなさいと伝えています。