前回はセントルイス美術館でのマティス展についてお話ししましたが、今日は”特別な”特別展Art in Bloomについて。

 

Art in Bloomは春に数日だけ開催される美術館のとても人気のイベントです。アートとフラワーアレンジを一緒に楽しむという、二倍にお得なイベントです。

 

Art in Bloomなのでお着物もお花(椿)の柄のものにしました。椿は冬だけかと思っていたら、五月まで着られるそうで、嬉しくなってしまいました。やっぱり好きなものはできるだけ長く着たいですしね。

 

さて美術館に戻りましょう。セントルイス美術館セントルイスの中心にあって、かのフランス王ルイ9世の名前を取って、聖(セント)ルイス王なんですね。この像がセントルイス美術館の目の前にドーンと建っています。

 

Art in Bloomよりもマティス展を目当てで行ったのですが、フラワーアレンジメントも楽しめましたよ。

 

こちらはちょっと皮肉をこめた作品。左上にBye, Feliciaと書かれているのがお分かりになりますでしょうか?これは英語のスラングで軽蔑を込めて「(お前なんてもう)知らねーよ」みたいな意味になります。それがなぜこのお花の作品にはついているかというと、おそらくなんですが、この絵画の作者がユダヤ人なんですよね。ちなみにこの作品のタイトルは「ダニエルがカルデアの王ベルシャザルのために壁に現れた手跡を解読する(Daniel Interpreting to Belshazzar the Handwriting on the Wall)」とまぁ長いタイトルなのですが、これは旧約聖書の中の話で、権力者だったベルシャザルは力とチャンスを与えられたにも関わらず、自ら権力に溺れ神に背いため、この後彼もそして国も滅ぼされることを予言した壁の文字だったわけです。それを読み解いた預言者ダニエルのお告げ通りに、この宴会のすぐ直後にベルシャザルは死に、そしてその領土は他の王に占領されてしまいました。このフラワーアレンジメントのした作者がどちらの立場でBye, Feliciaと言ったのかはわかりませんが、かなり政治的な作品だとは思います。

 

真ん中に立っているのが預言者ダニエルです。聖書の中のダニエルは捕虜として捕まったり、王様に重用されたり、ライオンの檻に放り込まれたりと・・・大変な人生を歩んだ人ですね。

 

少し観にくいのですが、左の作品へのオマージュです。作品の題名は”Carnival Mask, Green, Violet, and Pink (Columbine).” ベックマンの作品です。色使いがとても素敵ですよね。力強いながらに繊細です。

 

最後にこちら何とも言えなく熱帯雨林の雰囲気ですが、こちらの作品の題名は「The Land of Evangeline」。別れ別れになった恋人の悲恋の詩(A Tale of Acadie)を基にしての絵画だそうです。

 

そう言われてみると物悲しい感じのする作品かもしれません。

 

最後にこちらの作品。こちらは今は無きパルミラ帝国の女王だったゼノビアが鎖をかけられローマ市民の前で見せしめにされるところの彫刻です。作者はハリエット・ホズマー(アメリカ生まれの女性彫刻家)。それをモチーフに白く気高い印象のフラワーアレンジメントにしたようです。

 

こちらが「ゼノビア」。鎖で繋がれた女性という題材に多くの人が感銘を受けました。ハリエットは「私は彼女(ゼノビア)に感情や熱情を越えた誇りを表現させました。彼女は捕虜ですが、それでも落ち着いていて、抑圧されることなく、うちなる強さを持っているのです。」”I have tried to make her too proud to exhibit passion or emotion of any kind; not subdued, though a prisoner; but calm, grand, and strong within herself.”(意訳)。

 

 

と、こんなところでしょうか。いかがでしたか?こういう取り組みをしてくれる美術館って素敵だなと思うのですが。機会があったらぜひ寄ってみてください。

 

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