激しい雨音で目覚め、布団の中でしばらくその音を聞いていました。

すると、シカののぞみちゃんが庭から室内へ入ってくる足音が聞え、その音が大きくなったなと思うと、のぞみちゃんはわたしの側にきて、顔をペロペロっとやさしく舐めてくれました

そして、毛にたっぷり含んだ水分をブルブルと一気に吹き飛ばしました。

あまりに多い水分だったので、わたしは思わず布団に顔をうずめました(冷たいので)。

毎日違う一日の始まりをかみしめています。

 

昨日の記事で、すぐるちゃんにわたしは余計な手出しをしない方がいい、と書いたことで思い出したことがありました。

 

シカののぞみちゃんは脚を断脚し、移動に不自由を余儀なくされています。

義足を作るにあたり、失った脚の長さ全てを補うか、そうでない短いものかを考えましたが、のぞみちゃんがかかる負担や不安要素などトータルで考えると、自分で立ったり、座ったりできる長さの義足がベストだという判断になりました。

 

体に不自由があると、日々を問題なくすごしたり、問題が発生したりしないように練習(訓練と言う人もいます)やトレーニングが必要と言われていることがありますが、不要な練習や人間が人間以外の動物にトレーニングは必要ないことです。

 

のぞみちゃんの場合、失った脚が移動(歩く)にどのような影響を与え、どのような感覚なのかは本人が一番よくわかっており、本人でない(経験したことない)者はその感覚を正確に知ることはできないので、どのような感覚でどのようなことが起こりうるか想像したり、本人に聞いて安全な環境を整えています。

 

わたしが、いちいちのぞみちゃんに「脚をこのように動かしてこう歩いて」と言わなくても、のぞみちゃんが自身で一番動きやすい動き(負担が少ない、楽に歩ける)をし、少しでもうまく移動できるように歩きます。

 

もし、その歩き方が脚先を傷つけてしまうのであれば、脚先を守る対処をし、傷を負わないようにできます。

 

視力を失ったお友だちのネコさんがいました。

ネコさんは、目が見えているのではないかと思うほど、軽快に動いていました。

椅子の背もたれや手置きが直径5センチあったかなかったか正確に覚えていませんが、そこを上手に歩き、椅子から机に移動したり、その逆もあったり。

そして、机から脚を踏み外し、体のバランスが崩れ、机から床に落ちることがあっても、床に全ての脚でしっかりと着地し、そのまま、水をのみにいったり、自分から床に飛び降りトイレにいったり、そして、戻ってきて椅子に飛び乗り休んでいました。

 

ネコさんの同居人さんトレーニングは行っておらず、ネコさんを見守り快適に過ごせるよう環境を整えサポートをされていました。

 

脚を失った動物たちに限らず、聴覚や視力など失った動物たちにも、トレーニングは不必要で、動物たちが自分で失った機能をどのようにうめてゆくかだと思います。

目が見えないことで、聴覚や嗅覚、体に伝わる感覚などの他の機能がより活発になり、環境に集中しながら、注意深く行動をし、安全に移動ができたり、水飲み場の位置を正確に認識したりします。

 

たとえば、視力を失った動物が暮らしの中でケガをしないよう、危険な目に遭遇しないように、「止まって!」というトレーニングを行い、ケガなどを回避できるのではないかと思うかもしれませんが、わたしたちが行うのはトレーニングではなく、動物が安心できる安全な環境作りです。

 

動物たちが自分で行動できるにもかかわらず、人間が手出しをすることは、動物の集中の妨げになり注意が散漫し、かえって危険です。

 

そして、目の見えない動物に対し、トレーニングを行う方法は人間がその動物に何かしらの刺激を与えることになり、ストレスを与えることになります。

たとえば、「止まって」を視力の失った動物に教えたい時、人間は自分の手を動物の顔の前に持って行き、言語を使うと思います。

人間が動物に行ったことに対し、動物が人間の思い描いた動きの誘導や、動きをした時に食べ物をあげ、その行動を強化していくと思います。

 

目が見えない動物の顔の前にいきなり人間の手を持って行くと、動物は体を「ビックッ!」とさせたり、すくめたりしておどろき(びっくりした)の反応をすると思います。

 

トレーニングや指示を行い、暮らしに不自由がある動物をおどろかせたり不安にさせたりする人間の手出より、その動物の能力を最大限に発揮できる環境を整え、その環境で出来る限り快適に暮らせるようにサポートするが最も必要なことです。

 

動物が安心でき安全な環境で、動物の暮らしを見守り、困っていたら手助けをする。

 

これにつきます。

 

動物たちがケガを負わないように、というのはどの動物たちにとってもそうであり、その動物たちにどのような環境が快適かを聞きながら整えてゆくのが一番いいです。

 

目の見えない暮らしを想像し、室内を物の少ないスッキリした空間にしたり、物や家具などの配置を度々変えないことや、段差を少なくしたり、電気線をまとめるなどして、目が見えないことから想定できることを自分でわかる範囲から整え、「この空間はどうかな?」と、動物たちに聞き、その反応から改善すべき箇所などわかってくると思います。

 

目の見えない動物に限らず、家具などは配置変更や物の変更が頻繁にあると、動物は落ち着かなくなり、そわそわし、ストレスが蓄積されていくので、動物たちがよく知ってる物の配置である空間ですごせるようにしてあげたいです。

 

動物たちをよく観察すると、わたしたち人間が動物たちに対して指示することの必要性について考えることになり、指示することの不必要性に気付くと思います。

動物たちの持ち具えている能力を最初から過小評価し、そのように接していると、本来の動物たちの姿を知ることができなくなってしまいます。

個々の動物たちの本来の姿に目を向けることが大事です。

 

 

 

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