私は事情をお母様に説明し、恐らくお爺さんはこの刀の経緯を知って処分しようとしていたのではないか?ならばきちんと修めて刀を手放した方が良いと話しました。詳しく聞くとK君のお父様は婿養子で妻の父親の会社を継いだ形になっているそうで義理のお父様も実の息子の様に可愛がっていたそうです。お母様は刀が出てきたこと自体、不思議だったようでしたが話しを理解されお付き合いがあったお寺に持ち込み刀の供養をなさったそうです。後日、K君が晴れ晴れした顔でお父様が憑き物が取れたように喉の腫れも治まり熱も下がったと話してくれました。私はお見舞いも兼ねてお家に伺うと元気そうなK君のご両親が迎えてくれました。するとK君のお父様がこんな事を話していました。喉が腫れ高熱に魘されていた時、何故か毎晩、夢に甲冑を着た侍が出てきたと。それで私の説明を聞くととても腑に落ちたようでした。きっと生前、やり残したことを知らせる為に教えてくれたのでしょう。新川君、今回は本当にありがとう。そう言われお金を頂いたのが初めての仕事になりました。私は仕事でも何でもありませんから何度もお断りをしましたが何か好きな物でもと言われ断りきれず大切に使わせて頂いた記憶があります。私は暫く、何故こんな不思議なことが起こるのだろうと考えていました。でも、それで人が助けられたりすることもあるのかと感慨深いものがありました。

人は目に見える世界のみに生かされている訳ではありません。しかし不思議な世界の操り人形では無いこともまた事実なのです。起きることは全てがメッセージです。感情で出来事を片付ず意味を捉えて俯瞰で付き合えることが出来れば人生の深い色合いを知ることが出来るのかも知れませんね。