ナオミは外国語大学卒業後、商社に勤めた
ナオミの専攻はフランス語
フランス領が多かったアフリカの担当になった
主な商品はコーヒー豆
輸入してお得意先に出荷するのだ
クニヒコはナオミの教育係だった
仕事がわからないナオミはクニヒコに頼るしかなかった
共に出張することもあった
海外などではわからないことが多い
しかし、ナオミは自立を目指し、クニヒコに頼らなくてよい自分になろうと努力した
ナオミは学生の頃からヨーロッパにはよく出かけた
特にフランスは好きで友人も多かった
だが、アフリカの事情については疎かった
また、国内でも営業に出張は欠かせなかった
輸入したコーヒー豆をできるだけ有利に販売しなければならなかった
二人の仲が深まるのにそれほど時間は必要なかった
ナオミはこの人といずれ暮らすんだとそう思い込んでいた
クニヒコはナオミをミーと呼んだ
化粧品や香水をよくくれた
衣類の柔軟剤も高級なものをくれた
でも、二人で出かけることは少なかった
ホテルで会うことが多かった
ルームサービスで高級な酒や料理をごちそうしてくれた
だが、ナオミはクニヒコを大切には思いながらも他の男性との時間も楽しんだ
もちろん、クニヒコに知られても恥ずかしくないよう最後の一線は越えなかった
というよりも友達であることをクニヒコ以外の男性には認識させる言動に務めた
あくまで自分の視野を広げるために多くの男性と接していた
学びの一環だと思っていた
ナオミの大学はセレブの娘が多かった
ナオミの勤務先の社長令嬢と付き合いのある娘もいた
派手な遊びをするお嬢さまらしい
最近、母親の勧めで結婚の話が進んでいるという
父親の会社の有望株の男らしい
その令嬢はナナミという名で自分をミーと呼ぶという
ある日、クニヒコに呼び出された
「好きな人ができた、別れたい」
突然の宣言に何も考えられなくなっていた
「え、私ら付き合ってたっけ?」
自分の言葉にも衝撃を隠しきれなかったが、隠し通した
「え、そうなんだ。ごめん一人で舞い上がって」
クニヒコは職場の社長令嬢と盛大な披露宴を挙げた
ナオミは呼ばれることはなかった
