俳句ポスト365兼題「櫨紅葉」の人選・並選発表がありました。
今回も有難いことに二句選に入りました。
皆様のご指導・ご鞭撻のお陰でございます。


もう一句は
櫨紅葉シーン105の陣羽織
という句でございます。


今回も過去にご交流の記憶がある方や、そのご家族の方などの句を鑑賞させて戴きます。
記憶で探しておりますので、見落としがありましたらご指摘下さい。
また、ご自身の鑑賞が載せられるのが不快な方がいらっしゃいましたら、ご連絡いただければ削除致します。
 
軋ませて渡る猿橋櫨紅葉 耳目さま
検索しましたら山梨にあるとか。ツーリングなどなさる作者の吟行の作ではないかと。
 
櫨紅葉夕日の尻が見へてゐる 耳目さま
「夕日の尻」という言葉が詩だと思います。
 
煎餅が壜にぎつしり櫨紅葉 剣持すな恵さま
煎餅専門店の大きな壜でしょうか。旅行の句のように感じました。
 
罰金を払ふ窓口櫨紅葉 剣持すな恵さま
ドライブのうっかりした交通違反ではないかと。
季語がドライブに行った先を暗示しています。
 
櫨紅葉「嘘よ」と嘘をつきました 小川めぐるさま
嘘だと言った言葉が嘘だったということですね。
真っ赤なウソと櫨紅葉の取り合わせです。
 
櫨紅葉良き軽石を見つけたり 小川めぐるさま
拾った軽石がとても良さそうに感じたのでしょう。
 
酒蔵に龍の鏝絵や櫨紅葉 松尾千波矢さま
萩の町ではよく見かける光景なのかもしれません。
 
櫨紅葉黒猫に道譲らるる 松尾千波矢さま
色の対比があります。
 
櫨紅葉ぬけて我が家は帰れない 城内幸江さま
通りたい道は通じていないもどかしさを感じました。
 
櫨もみぢ空のいうことなど聞かず 城内幸江さま
ちょっとわがままを通したい時があります。
 
櫨紅葉イタイイタイと骨の鳴る 桃猫雪子さま
体が辛い時ってありますね。
散歩の一コマでしょうか。
 
櫨紅葉臍帯箱の柾目かな 桃猫雪子さま
思い出の品をしげしげと眺めたように感じます。
 
櫨紅葉このカテーテル引き抜くか 理酔さま
入院中の窓の外とか、病院の庭を思わせます。
 
子供らは皆兵となり櫨紅葉 理酔さま
反戦の一句でしょうか。
 
六芸のひとつに射あり櫨紅葉 石川焦点さま
武芸とこの季語は似合います。
 
ころころと猿の土鈴や櫨紅葉 さるぼぼさま
おみやげ品でしょうか。
旅の思い出です。
 
空港はいつも晴れてる櫨紅葉 24516さま
ちょっと空港を訪れたのか、または旅行の前後なのか。
 
櫨紅葉あすは解剖学試問 dolceさま
大学もまたこの季語には似合います。
 
藩校は水戸学盛ん櫨紅葉 GONZAさま
藩の庭園を感じさせます。
 
この峰は活火山なり櫨紅葉 S.A.Y.さま
山を詠みました。
最近は噴火の報道が増えています。
 
安珍を匿まひし寺櫨紅葉 いもがらぼくとさま
道成寺の思いのすさまじさと季語の色が響き合います。
 
影のそとにこぼれ出でたる櫨紅葉 ウロさま
影から色がこぼれています。
 
櫨紅葉三面鏡に明日の顔 さとう菓子さま
旅先でのお化粧のようにも感じました。
日常であっても女性にとっては勝負なのでしょう。
 
櫨紅葉トマの耳からオキの耳 しらぬいのがねさま
山行を詠んだのですね。
 
櫨紅葉燃えて影絵のカラスかな トポルさま
これも色の対比が素晴らしいと思います。
 
胴丸の乳房豊けき櫨紅葉 ゆきたまさま
女性用の甲冑でしょうか。
季語の女性性と通じ合うのではないでしょうか。
 
櫨紅葉羽前国の蕎麦街道 ラーラさま
具体的な地名に思いが馳せます。
 
櫨紅葉焼いては割りし試作椀 山香ばしさま

陶芸でしょうか。

窯出しの際の陶芸家の姿が目に浮かびます。

 

苔寺の夜をあづかる櫨紅葉 山野穴太さま
暗くなると苔より鮮やかな色が勝ります。
 
晴天や一目散に櫨紅葉 水間澱凡さま
喜びに駆け出したくなります。
 
大鳥居の高さを知らず櫨紅葉 中山月波さま
きっと鳥居も赤いのではないでしょうか。
神社と相性が良い季語だと思います。
 
櫨紅葉本家分家の仲違ひ 楠えり子さま
田舎の街並みが目に浮かびます。
 
湖のいろ陽にしづかなり櫨紅葉 猫愛すクリームさま
山野にある湖と似合う季語です。
色の対比が際立ちます。
 
少年をつひに孕まず櫨紅葉 比々きさま
男子ではなく少年という語から、何か青春の句のように感じます。
 
野晒しの国宝仁王や櫨紅葉 風花さま
仁王さまとの色の響き合いを感じます。
 
櫨紅葉平家の里を覆ひたる 葉音さま
落ち武者の里でしょうか。
覆うが効いています。
 
なおざりの山に簪櫨紅葉 ぽろたまさま
「なおざりの山」が詩ですね。
季語をかんざしに喩えました。
 
さかむけは親不孝せし櫨紅葉 佐川寿々さま
赤さに共通点があります。
 
高速の飛び込む残像櫨紅葉 まゆ熊さま
高速道路の途中にあったのでしょうか。
高速道路と読まず、高速で残像が飛び込むと読むと詩的に鑑賞できそうです。
 
白肌の転校生やはぜもみじ 枝温李さま
色の対比と心模様が表現されています。
 
櫨紅葉凪いでおりたる壇ノ浦 小市さま
特定の地名によって浮かび上がる光景があります。
 
恋破れ明日へ進まん櫨紅葉 松尾富美子さま
決意を季語で表現なさいました。
 
釣り人の逃げ口上や櫨紅葉 酔いどれ防人さま
渓流の光景ですね。
 
櫨紅葉恥ずかしがり屋の女の子 葉音さま
赤面してしまう少女に喩えました。