俳句ポスト365の兼題「雲」の詠み込み俳句、人選・並選が発表になりました。

入選した皆さま、おめでとうございます。

最近、掲示板やらなにやらで、どの方が交流したことがある方なのか、徐々にあやふやになっております。

礼を失しているかと思いますので、あらかじめご容赦戴きたく・・・

 

取り急ぎ、自分の好きな句を十句選んで見ました。

 

奉納は雲竜型や桜鯛 松尾千波矢 さま

何と言っても、季語の選び方が素敵です。

新横綱の喜びの席が見えます。

ニュース映像かと思いました。


明日葉や雲より小さき島に生く 楠えり子 さま

この句も季語がいいですねぇ。

取って付けたような雲を含む季語の句がある中、光っていました。

けなげに生き抜いて今があるだなぁと思いました。


再検査要する知らせ余寒雲 けいやん さま

この季語いいですねぇ。

新造語としてご相談を受けていたのですが、ピッタリです。

能村研三さんという俳人さんの句に
夭折の耕二浩一余寒雲

という句があるのですが、有名な俳人さんと共通する感性をお持ちのようです。

不安などがよく現れていて、使い続けると傍題や新たな季語に成り得る気がします。

 

鳥雲に介助ベッドの跡白し ミセウ愛 さま

亡くなってしまったのでしょうか?

寂しさが伝わります。

精一杯尽くしたのですから、幸せだったのではないでしょうか。


大連の雲間に霞む高射砲 永世 さま

航空隊が上空から確認した様子かと。

時代背景が募集の条件と一致する句です。


神棚の雲字やはらか春陽射す 高尾彩 さま

このテーマはいくつか散見しました。

この句の選んだ季語がいいと思いました。

有難い神様のように思えます。


彩雲や帰港を告ぐる鰆船 正丸 さま

上五は季語ではないのですが、季語に匹敵する重みを感じます。

「や」で切って、それに一切加える情報を詠まない点が潔いと思いました。

季語とその使い方もまた、素晴らしいなぁと思います。


春の雲なかなか一句浮かばざる 池田 功 さま

正直な言葉に爽やかさを感じました。

この季語は多かったのですが、一番しっくりきたかもしれません。


雲梯にスカートひらり風光る 都乃あざみ さま

季語と景のバランスがいいですね。

若々しいお色気を感じました。

青春っていいですねぇ。


紫雲英田に咲く幸せと不幸せ 葉音 さま

同じ状況を幸せと感じる時と、不幸と感じる時ってありますよね。

咲いているだけで幸せという気持ちもあるでしょうが、同じ田に咲くなら稲でいたかったという思いも。

経済評論家の森永卓郎さんだったかな?

白いご飯が食べられて、暖かいお布団で眠ることができてそれ以上の幸せってないだろうって。

世界では、様々な人が迫害や貧困で苦しんでいる中、感謝を忘れてはならないよと教えてくれる一句だと感銘しました。