申し訳ございません。
今回は全ボツを覚悟などと殊勝なことを書きながら、人選など戴きまして。
今回は本当に駄句ばかり思っていまして、詩があるなどと思いませんでした。
蜂に刺された痛みを太陽にたとえただけの類想句が沢山ありそうな句ではなかろうかとも思いますが、選を戴けたからには何がしか詩があったのでございましょう。
日頃より大胆な比喩に憧れている私にとっては、何よりも嬉しい人選でございます。
皆様の応援・ご指導・ご鞭撻の賜物と感謝申し上げます。
 
交流のある方々の句を勝手に鑑賞させて下さい。
原句の佳さを損ねないか心配ですが、何ごとも勉強なのでご容赦下さい。
まずは糖尿猫さまの三部作から
 
紅き尻の暗渠に入れり雀蜂
「紅き尻の暗渠」とは、何かの比喩なのでしょうか?
不気味さを感じます。
 
ガイガー管の警告の野の雀蜂
これはやはり原発事故周辺の避難地域でしょう。
怖さが一つではなく何倍にも感じます。
 
蜜蜂の活気漲る棄老の野
かつての姥棄て山も、今は養蜂の地。
スズメバチとミツバチの扱いの違いが際立っています。
 
明日生む卵二千個蜂の腹 比々きさま
そのほとんどが働き蜂になるという事実。
そしてそれだけのために女王蜂は活かされているいう事実に驚嘆です。
 
蜂駆除の準備万端すぐやる課 さとう菓子さま
なんかリズムがいい句です。
句のリズムからも対応の速さを感じます。
 
念力は波状に蜂の遠ざかる さるぼぼさま
不思議な感覚を覚えるのは「念力」という言葉だけでなく、不思議なリズムの影響もあると思います。
蜂と出会った際の武器は、まずは念力頼りです。
 
壁穴にふらりと消ゆるスズメバチ まゆ熊さま
恐いですねぇ。
壁の向こう側を想像すると。
 
静けさや念仏山は蜂ばかり 耳目さま
芭蕉の山寺の句を思い起こしました。
念仏も蜂も決して静かではないところに、詩を感じました。
 
石の下うしろ歩みの蜂ひとつ ウロさま
見付けた時の怖さと、冷静な対応ですね。
 
ポケモンの集ふ寺院やすずめ蜂 松尾千波矢さま
そういうご時世です。
すずめ蜂もある意味ポケモンみたいなもんです。
 
一蜂の飛ぶ度揺れる人の波 葉音さま
行列が大きく動く辺りをよく見ると蜂が飛んでいる様子がよく伝わります。
 
散歩する夫が見つけたり蜂の巣よ 松尾富美子さま
まちゅさんのお母様の句です。
ご夫婦の仲の良さを感じます。
 
それ以外の人選・並選から好きな句を十句
 
五限目の窓辺に蜂の羽音かな スズキチさま
学校の授業中であることを表す言葉が特に優れています。
 
ぎらぎらとまだ生きてゐる蜂の針 どかていさま
生々しさを感じました。
 
朝市の軽トラ蜂を連れて去る れっどべりーさま
何となく爽やかさを感じました。
 
8枠は蜂に刺された本命馬 石川焦点さま
面白い句です。
荒れたんでしょうか?
 
蜜蜂のどれがハッチでマーヤだか こまさま
これは永遠の謎ですね。
 
肩に蜂休ませてゐるマリア様 井伊辰也さま
そういう発見はいいですね。
 
飛ぶ蜂の使うてをらぬ長き足 一生のふさくさま
これもなかなかの発見です。
 
天候の話などして蜂の駆除 小野更紗さま
業者か役場の方なのか、手慣れた感を感じます。
 
カチカチと顎慣らし来る雀蜂 テツコさま
怖さがあります。
 
屋根裏に蜂の巣ありて知らん顔 一心さま
泰然自若の境地ですね。