先日、地方紙で秀逸を戴いた拙句

 

マンションの次々と建つ干大根

 

ですが、本当は干し大根の家が減ってきたこと、そういった家の主が高齢者が多く、雪片付けが大変でマンションに移る人が多いとか、そんな何かを入れたかったのですが、入らなかったので、季語「干大根」だけにしたのが、結果的によかったのだろうと思います。

 

蘆刈を終えて富士まで続く空

 

「蘆刈を終えて」の「を終えて」がいらない気もします。

「蘆刈や富士まで続く空」とすると三音残りがあり、色や時間などの何かの情報を入れられます。

 

例えば

蘆刈や白き富士まで続く空

蘆刈や赤き富士まで続く空

蘆刈や夕の富士まで続く空

蘆刈や富士まで続く夕の空

 

「密会」の三句です。

 

ひかりあう泉は蝶を飼い殺す

金星やあじさいは青みなぎらせ

密会やさるとりいばら棘をはれ

 

季語に限らず、不要な説明が一切なく、必要な言葉だけで成り立っていることがわかります。