お父さんのお姉さん「京子おばさん」は、今日もお見舞いに来てくれた。



最近のお父さんは、昼間は、寝てばかり


たまに起きてもすぐ寝てしまう。



起きた時に話しかけても寝ぼけているから


何を話しているかも理解できない事が多い。


食事の時は起きるけど、


おいしくないと言って少ししか食べない。


食べたら、すぐ寝る。


・・・食べながら、寝ている。



そんな状態なのだ。



そんな父が突然言った。



「酢だこが食いたい。」


・・・酢だこ?


・・・酢だこってあの酢だこ?


・・・うちでは、お正月に出る位で食卓に並んだことはない


その酢だこが食べたいと言う。




今、父の望むことは、全力で適えてあげたい。


そんな心境だ!



京子おばさんは、今の時期にあるか分からないけど探してみると言って出て行った。


・・・しばらくすると


「あったよ!」


と言って、嬉しそうに戻ってきた。



ありがたいね。


かわいい弟を喜ばせようと、色々探し回ってくれたのだとか。


その気持ちが嬉しくて


母と目に涙を浮かべて父に食べさせた。



「おいしい?」と聞くと父はうなずく。


普段、病院の食事に「おいしい?」と聞いても首を横に振る。



いとこが、買って来てくれたプリンを食べさせたら


「まぁまぁだなっ」っだった。



酢だこは、おいしいって。



嬉しかった。


京子おばさんの気持ちにもありがたいよね。


ありがとうって、漢字で書くと「有難う」


有る事が難しいからありがとうなんだって。




・・・今は、本当に何気ない事に感謝する事が多い。


お父さんが、体を張って私に教えてくれている。


有難う。お父さん。





帰り際、話すのも苦しそうに父が何か言った。


「心配するな」


心配する私を心配している。


・・・もう、分かったから。


いちいち、泣かすしいちいち涙が出る。




「また、明日来るからねっ!」


この、何気ない言葉にも念を込めて伝える。


また、明日も生きていて欲しい。明日会いましょう。



毎日、別れ際泣きそうになり、明日がちゃんと来る事を願い


また父と会話出来ることに感謝している・・・