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Song Name :Marry Me ?
Artist name: Dreams Come True





http://www.youtube.com/watch?v=3iAS3-yFkkU





目覚めるとコーヒーの匂いがした。





きっとまた、オーガニックコーヒーを入れているんだろう。

そんな風に思いながら少し目を開ける。





うしろ姿が見える。
白いシャツにジーンズを履いた、私の大好きなうしろ姿。
いつもの鼻歌を歌って、パンケーキを焼くうしろ姿。





私はそして、また安堵に包まれる。
安堵に包まれ、また、うとうとする。





* * *





私はずっと一人で生きてきた。





人並みに恋はしたし、離れたくないと思ったことは何度もある。
でも、結局誰かと一緒に生きていくと言うことを私は選べなかった。





怖かった。ただ、怖かったのだ。




誰かと一緒にいることの幸せ、そんな幸せはそのうち消えてなくなって

私はいつか干からびた魚のようになってしまう。





そして水を欲してしまう。
一人で、自由気ままに泳ぐための水を。




誰かと一緒に生きることを選ぼうとするたびに、その恐怖と私は戦って、
結局いつも、負けていた。




彼に会うまでは。




* * *




「毎朝、一緒にコーヒーを飲まないか。」




昨日、彼はそう言った。



「君のために入れると、本当に美味しいコーヒーができるんだ。
 だから、これからは毎朝、僕と一緒にコーヒーを飲まないか。」




そう言って、彼は彼がとても選びそうな、ブルーのコーヒーカップと
彼がとても選びそうな、小さなダイヤの指輪をテーブルの上に置いた。




* * *




私は彼の入れたコーヒーの匂いがとても好きだ。




できれば毎日、この匂いに包まれて目覚めたい。
本気でそう思う。




これからの人生をとか、一生一緒にとか、そんな風に言われたら、
私がまた、恐怖と戦う事を彼は知っている。




一緒にコーヒーを飲まないか。




だから彼はそんな風に言ったのだ。

だから私はこんな風に包まれているのだ。




私は彼のコーヒーの匂いが好きだ。
毎日、この匂いに包まれたい。
心からそう思った。




だから、私から。




Hey, Sweetie. Marry me ?





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このストーリーをアップした後、「女子は、こんなプロポーズが好みなのか?」と、

何人かの男の子の友達に言われて、ちょっぴり話題になったのでご紹介です(笑)。





こんなまどろっこしいのを好む女子は少ないと思いますけど(笑)、

言いたいのはそこじゃなくて、って感じで。





まあ、こういう事に、正解はないものですから。