今回は基本単語「leave」。基本単語と呼ばれるほどだから、当然小学校で習う。その日本語訳は「…を去る」他動詞として。Leave の持つ基本イメージのひとつで最も捉えやすい「バイバイイメージ」。しかしこの捉え方では今回のタイトル英語「ほっといて」にはどうしても結びつかない。

その後中学英語で

1年生 leave for school 自動詞

 小学校の他動詞ではなく、自動詞として主語が「去る」。そこに行く先を示す前置詞forが加わって「学校に向かって」となり、「出発する」となる。

2年生 before he left 自動詞過去形

 1年生と同じく自動詞の「去る」だから主語の動作。2年生では過去形を履修するのでleaveがleftに変化。「彼が去る前」となる。

3年生 he left these words 他動詞過去形

 小学校で習った他動型。しかしここで「これらの言葉を去る」では文として不自然。残ったモノに焦点が当たるもう一つのleave の捉え方。でもそこを意識しなくても何となく「言葉を残した」と訳せる。

 このような説明は教科書にはない。既出単語なので新しい単語としても扱われない。

 中学校までは、例文も短く、文章も複雑ではないので「去る」というイメージだけで何となく捉えることが出来る。しかしこの基本単語「leave」にはコンパスローズ(写真)の挿絵のように「ある場所から去る者・物①、又はそこに残された者・物②のどちらかに視点を置いた」他動型の使い方が基本なのだ。

 

Leave London ロンドンを去る ①

Leave my wallet in the train 財布を電車に忘れる ②

この二つの使い方は、両方とも「去る」イメージに変わりないが、①は去った場所を②は去った後に残されたものに焦点が当たっている。特にleaveの後の目的語の後に場所が来た場合「忘れる」となりforgetに優先する。

 中学までの英語で殆ど会話は出来るというが、実際にはできない。それは会話で頻繁に使われるleaveの使い方が、タイトルのように目的語説明型(大西先生の分類方。一般にはSVOC、第五文型、主語・動詞・目的語・補語のこと)だからだ。

Leave the door open. ドアを開けておいて。

Leave it as it is.   そのままにしておいて。

Leave it in     入れておいて。

Leave を「去る」というイメージしか持っていなかったとしたら、この日常会話は決して口から出てこない。

 野球界の知将故野村克也氏は落合博満と会って話をするのが何よりも楽しみだったそうだ。その落合氏が中日監督に就任し、そのキャンプ地を訪ね、その練習量のあまりの多さに驚いたという。阪神時代の野村監督は毎日90分のミーティングが日課で「考える野球」を浸透させようとしていた。そんな野村さんとは真逆のことを落合監督はしていた。その理由を野村が落合に尋ねると「とにかく基本を徹底的に体に染み込ませること」と答えたそうだ。

落合曰く「今でも野村流がいいのか、俺流がいいのかわからない」

 きっと、どちらもありなのだろう。しかしプロ野球は野球が上手くならなくては仕事にならない。どのような方法でも、その質は別として課せられた者は真剣に取り組むだろう。しかし学校英語は違う。徹底的に英語を体に染み込ませようとする人は一部の人だけ。特に若い時などそんなことをするわけがない。殆ど英語について意味など考えることもなく、ただ試験に出るところを暗記している人がほとんど。これではあまりにもバランスが悪い。

 使える英語が学校英語の目標であるならば、基本単語の教え方にはもう少し工夫が必要だと思う。もっと深く考えていかなくては。

胸を張ってleave it to me と言えなければならない。

 

四方山話編

 春の山菜「たらんぼの芽」を頂き、てんぷらで食した。ジャストサイズ、苦み、柔らかさも一級品。旭川に住む幸せを感じる瞬間だ。