我社の施工部隊の要である番頭…。



トミオ君…私の弟分。
中国育ちの日本人で、あまり日本語が話せません。



俗に言う、中国残留孤児の子孫で、成人するまで中国で過ごし、祖父母と共に、来日…以来長い間、日本で偏見に晒されながら忍耐強く生きてきた苦労人…。



甘やかされ…贅沢で何不自由無く育ってしまった、ヘタレ日本人よりもはるかに信頼出来るヤツ…。



7年ほど前…私が総監督をしていた現場で、初めてトミオ君に出会った時、彼は日本人が嫌いだった…。どんなに一生懸命働いても、言葉がカタコトだと言うだけで、どこの職場でも酷い仕打ちを受けて来たと言う…。言葉が話せないだけで、安い賃金で奴隷の様な扱いを受けて来たと言う…。



仕事への姿勢、飲み込みの早さ、応用力、施工精度や品質…どれを取っても群を抜いていた…日本人の職人など、目じゃなかった…。



私は当時勤めていた会社のトップに進言し、日本人と同じ…いや、日本人より高額な給与で、彼を私の直属の配下に招聘した。



彼は日本に来て、初めて平等な目線で自分を評価してくれる日本人に出会ったといい、仕事帰りに毎日の様に私と飲み明かした…。



日本人嫌いだった彼は、すっかり明るい青年になり、私を兄貴と呼び、私に心を開いた…。



以来、私の腹心として、私に付いて来てくれている…。彼の存在は、私にとって最大の安心感をもたらしてくれる。



現在、彼の配下には屈強な者達が集い、心強い軍団が組織されて…今では私の会社の主力部隊となった。



踏みつけられ、泥をなめ続けてきた彼の辛い人生経験が、やっと報われようとしている…。



私を身体を張って支えてくれている彼の人生を花開かせてやるためにも、私は踏ん張らなければらない…。
そんな気持ちにさせてくれる、私には過ぎた弟分です。