〉漢字かな混じり文が、日本人の高い教養と民度に大いに貢献している。このことを、日本人は、気づいていないが、世界に誇っていい事実である。あまりにも日常的なことなので、日本人は、しごく当然と思っているのだが、世界の他の国々では、これほど高い教養は、簡単には手に入らない。
中略
なんでも日本のものはよくない式の自虐史観に毒されている人が少なくないから、日本語の表記法が優れているといっても、半信半疑の人が多いだろう。しかし、まぎれもない事実である。
漢字の習得には、時間と努力がひつようである。つまり、イニシャルコストがかかるわけだ。しかし、いったん覚えてしまえば、高度な知識と教養が、簡単に手に入る。つまり、ランニングコストが安く済むことになる。欧米の人は、そうではない。たしかにアルファベットは意味のない記号だから、簡単に覚えられる。しかし、その先が問題になる。イニシャルコストは安いが、ランニングコストが高くつく。新たに、なにか新しい知識、教養を得ようと思うと、まず単語の意味から勉強しなければならなくなる。〈
『韓国が漢字を復活できない理由』豊田有恒著 祥伝社親書P199-201