■溶けない死体 TOP
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「雪ちゃん・・・車はBMWだよ・・・」
「もしかして・・・野上の乗っている車?」
「かもしれないな・・・ナンバーが一致したならいいのだが・・・」
「そうしないと、アリバイにはならないと・・・ですかね?」
「しかし、そうだとすると、何のためのアリバイ作りなんだ。また、殺人か?」
「殺人・・・もう、ないと思いたいのですが・・・新開さん・・・まだ、殺される人が・・・」
「殺されるとしても、誰が誰を殺すのか? 野上は、絶対に姿を現すことはないだろう。しかし、気になることがある。野上が殺さないのなら、どうしてアリバイ工作が必要になるのかということだ。野上と関係のない、例えば・・・殺し屋のような奴に依頼すればいいことだろう、雪ちゃん・・・?」
「そこなんですよ・・・野上のアリバイは必要ない・・・おかしいのですよ・・・今回の連続した事件には、その裏で野上の存在があります。どうして彼は、自分の存在を示すようなことをするのでしょうか?そんなことをすれば、自分に疑いがかけられることになります。何故でしょうか? まるで、警察に挑戦しているように思えてならないのですが・・・?」
「雪ちゃん・・・俺も、それを考えていた。確かに、自分の存在を誇示しながら、そして、アリバイも完璧なものにしている。警察への挑戦と見てもいいと思う。しかし、何故・・・そんな挑戦をする必要があるのか? 理解できないな・・・まぁ、明日が楽しみだが・・・」
「明日が天王山ということですね。これで何かの大きなヒントになればいいと思います。アリバイを崩すことができたなら一気に解決だと思います。ただ、死体を移動させたという理由も早く知りたいものです。どう考えても野上は挑戦していると思えて仕方ないのです」
「おそらく、過去に何かがあると思っているが、俺の勘だと、京都にいた時に警察に無理やり解散させられた暴走族のことが起因しているのではないかと思ってな・・・しかし、それと殺人事件とは何の関係があるのかということだよ・・・まぁ、明日は、スパイということで頑張ってみるよ・・」
新開刑事が、スパイとなって車を運転する。
しかも、左ハンドルの車・・・・大丈夫なのであろうか?
その夜、岩崎弁護士から電話があった。
「三浦真紀さんと連絡がついた・・・たいしたことはなかったよ・・・」
「えっ、何?」
「いや、旅行していたらしい。たまにはゆっくりしたいということで携帯にも出なかったらしい。確かに、呼び出しはしていたし、緊急があったなら、留守電にも入れることができたのだから・・・僕の思い過ごしだと・・・いゃー、心配かけた」
「で、どこにいるんだい?」
「群馬らしい。群馬の伊香保温泉・・・」
「群馬・・・本当かい?」
「本人が言うのだから、信じるしかないけど・・・」
「それで、妹の安永恵理子は?」
「一緒に旅行したいたらしい・・・」
「一緒に? どういうことなんだよ?」
「たまには、姉妹だけの旅行もいいと思ったらしいけど・・・それで・・・」
「本当に旅行なのかい?」
「旅行だろう・・・嘘をつく必要はないし・・・」
「しかし、安永恵理子には、日光南署の刑事が尾行しているはずだ。それなら、新開刑事に連絡があるはずだよ。本当に、恵理子と一緒なのかい?」
「・・・確かに・・・俺も、そう思う・・・だったら何故? 恵理子さんと一緒だと言ったんだい?」
「岩ちゃん・・・恵理子にも尾行がついていると、三浦真紀に話したかい?」
「そんなことは話していないよ。話したなら、真紀さんが悲しむと思って・・・野上のことだけを話した」
「やはり、そうか・・・その三浦真紀と一緒に温泉? に行った女がいるとしたなら、それは、安永恵理子じゃないな・・・別人だよ・・・」
「どういうことなんだよ・・・そんな、嘘をつく必要はないだろう?」
「それが、あるんだよ・・・とにかく、このことは新開刑事に連絡しておく、岩ちゃんは、何も知らないということにしておいてくれよ。頼むよ・・・もしかしたなら、誰かが殺されているかもしれない?」
「意味が分からない・・・どういうことだよ。誰かが殺されているということは? まさか、三浦真紀さんが殺すなんてことはないだろう?」
「・・・そうならいいが・・・とにかく、こっちで動く・・・岩ちゃんは静かにしていてくれよ・・・」
「三浦真紀さんが何か関係しているというのかい? どうなんだよ?・・・」
「可能性があるかもしれないということだ・・・とにかく、三浦真紀から連絡があったなら、余計なことを言ってもらっては困る。約束してくれるよな? 岩ちゃん・・・」
岩崎弁護士は、何がなんだか分からないが、しぶしぶ承諾してくれた。
僕には、一つの推理があった。
例の鵜飼浩二という、アリバイ作りの男・・・その男が誰かに利用されているのではないかと?
勿論、野上幸則との付き合いはある。
しかし、それ以外の誰かとも・・・僕の推理がはずれてくれることを祈っていた・・・
新年になっても今回の連続殺人事件の伸展はない。
唯一、新開刑事がアリバイ工作の男との接点を持ったことだけであった。
手も足首も、一体誰のものなのであろうか?
もしかして、田中雅彦という推理は成り立つのであるが、何の確証もない。
翌日、新開刑事は指定された、国立インターの傍のコンビ二で相手の男を待っていた。
すると、黒のBMWが駐車場に入ってきた。
サングラスをした黒いスーツ姿の男が運転している。
その男は車から降りて、新開刑事のほうに歩いてきた。
「あんたかね? 鵜飼さんの?」
「そうです・・・この車ですか?」
「そうだ。詳しいことは車内にある紙の袋の中を見ろ」
と、だけ言って、その場から歩いていってしまった。
年のころなら、四十才ぐらいだと思われる。
新開刑事は、急いで車の中に入った。
そのコンビニの中には、変装した刑事が二人張り付いていた。
その車は、多摩ナンバーである。
野上幸則が使用しているBMWとは違うナンバーがついていた。
車内は、綺麗に掃除されていて、チリの一つも落ちていない。
ダッシュポケットを開けようかと思ったが、どこで見られているかもしれない。
うかつな行為は、命取りになるかもしれないと思い止めた。
新開刑事は、助手席に置いてある茶色の紙の袋を手に取り中を見た。
全国の地図とA4サイズの紙が一枚だけ入っていた。
その中に書かれていた文章は以下となる。
すぐに中央高速国立インターに入り、新宿方面へ向かえ。
三鷹の首都高速料金所を出て、国道20号線に降りろ。
国道20号を新宿方面に向かい、初台の入り口からもう一度首都高に入る。
次に、首都高の赤坂方面に向かう。
赤坂トンネルの中で、東名高速方面に向かえ。
次に、東銀座で一旦出る。
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なんだ? この内容だと、誰かが追尾しているということを避けるということだ。
更に、記述している内容は・・・
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