■勝汰章の著作刊行本
「笑顔になるための246のことば」
悲しみを乗り越える時に・・・
夫婦/恋愛/会社、仕事/子供/家族/友情、信頼/お金/病気、事故/生と死/挫折/セックス/男と女/今/
2030年までの運勢鑑定付
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「いや、この街で暮らしたいなら、新しい街長の下で頑張ってほしいと説得したが、女同士の話し合いは無理だった。美幸も女将を説得したが、聞く耳を持たなかった。それで、街を出るように言ったが、今までの裕福な生活を捨てることはできなかったようだ。俺は元の愛人として出来るだけのことはしてやるつもりだったが・・・」
「それで?」
「自殺したよ。幸福屋の店内で。惨めな生活をするぐらいなら死を選んだということだ。一度、街長になった女はそういうものだよ。自殺したことで美幸には十億円が入る。娘のことを思ってのこともあるとは思うが・・・今度は絶対にミスはしない。順子の母親・・・勝枝さんは、そんなバカなことはしないと思うが?」
「当たり前です。あの女は金と男と権力に執着したいたのです。私は、一生署長さんの命令の下に着いていきます。あんなバカな女にはなりません。生活できるだけのお金があればいいのです。順子と茂さんも議員ですし、安定した生活が約束されているのです。全ては署長さんのおかげです。これからは、他の町からの転入者を増やしていくことが署長さんへの恩返しです。裏切りは絶対にしません」
「勝枝・・・お前は信用できる女だ。この街が末永く続くことを考えてくれ。もし、俺に何かあったなら、茂君と順子で街を発展させてほしい」
「はい・・・」と、笑った顔は、どこか女将に似ていると思った。
新しい街長・・・それは順子の母親。
僕は、心に決めたことがある。
いずれ、この街の頂点に立つ。
その頂点に一番近いのは僕なのだ。
人が人の人生を左右している。人の死が人を幸せにする。
こんな素晴らしい街は世界中を探してもない。
僕も、叔父と叔母をこの街に住まわせて、短い老後は幸せで裕福に暮らしてほしいと思った。
順子の母親が街長になると僕は議長に就任した。
これからは、僕も街を支配する。
何があったとしても、この街のシステムは守る。
この街は、誰から見ても不思議で怪しいと思うだろう?
しかし、今のこの国を見渡してみるがいい。長生きしても何かいいことがあるのか?生まれてから将来は幸せに何なれるという保証があるのか?
長生きが目標なのか?否、短くても生きている間に裕福で安定した生活を送ることが一番ではないか?人生は六十年として考えたなら、こんなに素晴らしい街はない。
いつかは死ぬがその死に方は選べない。選べないのなら、この街に来なさい。
あなたの好きな死に方も選べる街へ・・・
それから数日が経過した。
「順子、署長は何の病気なんだい?」
「えっ、誰から聞いたの?」
「街の医者が教えてくれたよ。医者も僕の仲間だ」
「お母さんが言っていたわ。癌らしいの・・余命は三ケ月・・・」
「そうか・・・そろそろ、次の街作りの準備をしないといけないな?・・・」
「知っていたのね?」
「何故、黙っていたんだい?」
「・・・確定したなら言おうかと・・・」
「順子、お前には俺は必要がないということか?」
「そんなことはないわ。お母さんに口止めされていたから・・・でも、茂さんには話すことにしていたのよ。信じて・・・」
「一応信じるが?お母さん・・・街長も女だな・・・俺も気をつけないといけない」
「女?」
「女だよ。金と権力が好きな女になった」
「私は違う。茂さんが必要よ。一緒に暮らしたいのよ」
「街長は違う。もう署長の代わりの男がいるんだろう?署長はもう駄目だ」
「それも知っていたの?」
「あぁ・・・署長が僕たちを信用しているとは思えない?順子はどう思う?」
「年寄りは先に死ぬのよ。それがルール。だから・・・」
「俺たちは死なない。年をとっても死なないようにルールを変更する。それで安泰だ。お母さんたちには悪いが・・・」
「仕方ないわ。お母さんも女将と同じ道を歩くのね?」
「それでいいだろう?」
「いいわ・・・二人のために・・・」
「住民のために・・・」
その後、署長は病死。街長は不慮の事故死として処理された。
新しい署長はもちろん僕だ。順子は議長。街長は僕の叔母に決まった。
何事もなかったかのように街は平静だ。
「転入ですか?この街のルールを説明しますね・・・」と、いつもの住民登録係の明るい声が役場に響いていた。
終わり
次回からは「溶けない死体」を掲載します。
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