■勝汰章の著作刊行本
「笑顔になるための246のことば」
悲しみを乗り越える時に・・・
http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31865654
■勝汰章HP http://katsuta.yu-yake.com/
■まぐまぐ ランキング
http://www.mag2.com/m/0000239491.html
■中古車屋探偵 雪田正三の殺人日記 1 前代未聞の車爆破トリック TOPより
http://blog.goo.ne.jp/suiri-katsuta/e/1cab9d7b1b3aa6c227aa0afb2788b6f7
■かあさんの裁縫箱と、とうさんのライター TOPより
http://blog.goo.ne.jp/a-katsuta/e/34a6bc7911df19ebd352e2cdb6fd641b
===================================================================
「それで、どうして爆破しようとしたのですか?」
「ミンドロ島から漁船で出た時には、何としても逃げようという気持ちが強かったことは事実です。しかし、警察のヘリから追われるようになったから、純一郎さんの気持ちに変化があったのです。栄一さんも同じことを考えていたのかもしれません・・・私を殺すために持ってきた、タイマー式の装置を船のエンジンのキャブレターというところに設置しようとしていたのです。最悪の場合は、自爆するということでした。それを止めようとした栄一さんも、純一郎さんの強い気持ちに従うしかなかったのです。ヘリの追跡も激しくなり、このままなら無理だと思ったのかもしれません。ミンドロ島で買ったピストルの弾も底をついてきていました。二人は、何回も言い争いをしていました。私は、ただ、黙って見ているしかなかったのです」
と、また、顔色が蒼白となっていた。その時のやりとりを思い出していたのだろう。
「純一郎は、死ぬ気だったということですか?」
「はい、覚悟はできていたと思います。栄一さんも次第に同じ気持ちになったと・・・私は、何とかして止めようと思いました。二人の会話の中に入ろうとしたのですが、あまりの迫力に何も言えません。そうこうしているうちに、乗り込む予定の船が動き出したのです。予想外のことでした。おそらく、警察に追われているということで危険を察知したのだと思いました。純一郎さんの顔は、恐ろしいぐらい近寄りがたいものになっていました。栄一さんも、完全にあきらめたようでした。親子が何か小声で話し、船のエンジンに何か細工していました。そして、純一郎さんが私を抱えて海に投げ入れたのです。あっという間のことでした。それから先は・・・」
と、泣き崩れた。
おそらく、御手洗を殺害した時と同じようにエンジンに細工して、船を爆破するという行動をしたのだと思う。
何とも哀れな最期であった。
20年ぶりに再会した親子が共に自殺への道を選んだということだ。
僕の推測ではあるが、栄一は純一郎が人を4人も殺したという責任を感じていたのだろう。
そして、純一郎の固い自殺への意志を自分のものとして自殺への道を選ぶしかなかったと思う。
二人は、やっと別の世界で親子として新たなる出発をしていると思うと、何かやるせない気持ちにもなる。
親子の絆・・・こんなにも強いものなのだろうか?
父と子・・・もしかしたなら・・・母と子よりも深い愛が結んでいたのかもしれない。