「そうです・・・息子たちは、母親・・・いえ・・・茂美さんの名前はありませんから・・・私が御手洗を殺すということを知ってしまったということです・・・それからは・・・推測できると思います・・・純一郎は、私に問い詰めてきました。私には誤魔化すことは無理だったのです・・・というよりも、もう、知っていてもいいのかもしれないと思う気持ちがあったのかもしれません? 御手洗との取引を止めさせたいと思う気持ちも・・・」
と、言うと。机にひれ伏して大きな声をあげて泣き崩れてしまった。
その話の中で、御手洗の福岡支店の不動産契約の保証人になった経緯も分かった。
八千代は、仕事の関係で御手洗に近づき親しくなり、御手洗が支店を出すということを聞き、保証人になることを申し出たということだ。御手洗について、詳しく調べようと近づいたということであった。
愛人の徳野茂美からの情報と、自分の情報を殺害に利用したということであった。
大きな嗚咽というより、泣きじゃくる感じといったほうが正しいと思う。
かなり、疲れているので、八千代の取調べは、時間をおいて始めることとなった。
一方、真奈美と徳野茂美は、ホテルを出ようとしたところで、身柄を拘束されて、マニラ署へ向かっていた。
真奈美は、最初、抵抗したということだ。フィリピン政府の高官との付き合いもあり、そのことを刑事に言ったのであるが、八千代・徳野和義が留置され、取調べを受けているとこを告げると、静かに同行を承知したという。
また、ビビアンの取調べも、翌朝から別室で続いていたが、昨日と同じことで、御手洗たちの殺害には直接関係していないことが確認できた。しかし、息子のフランコについては、日本での所在が不明であるし、もしかしたならば、金田純一郎と一緒に行動しているとも考えられる。引き続き、日本で捜査が続いていた。
ビビアンは、自宅に戻すと何らかの証拠隠滅の恐れがあるということで、留置所に保護されることになった。
真奈美と徳野茂美は、留置され、後ほど、取調べが始まることになった。
まず、井上八千代と徳野和夫の聴取をして、それからということになった。゜
二人が、ホテルにいた時に、徳野茂美は、日本への国際電話で、弁護士を依頼したという。
ホテルの外線電話での盗聴から分かっていた。
その当番弁護士が、何と、僕の友人の岩崎雄一であったのだ。
運がいいのか、悪いのかは分からないが、丁度、当番弁護士であり弁護士会から徳野茂美を紹介されたという。
以前、詐欺で逮捕された時の弁護士を依頼したのであるが、海外へ出張中ということで、岩崎弁護士がフィリピンに行くことになったのだ。何という偶然だろうか・・・
真奈美は、フィリピン人の弁護士を依頼していた。
そして、午後からは、徳野和義の取調べが始まった。
それも、新開刑事と大越刑事が担当する。僕は、同席を許された。
丁度、そのころ、岩崎雄一弁護士が成田からマニラへ向かっていた。
「和義くん・・・八千代さんから、大体のことは聞いた。君に尋ねることは、御手洗たちの殺害についてだ。隠すことなく話してほしい。スカイラインGTRの爆発のトリックについても、科捜研で実際に実証して確認されている。君たちが、細工をしたのだろう?・・・」
「・・・・・僕ではありません・・・僕は、ただ・・・」
「ただ・・・何だ?・・・」
「僕は、純ちゃんに言われたことを実行しただけです。スカイラインGTRを探しているという会社があるということを、浅田や倉重に話しただけです・・・」
「スカイラインGTRを、探しているというのは、御手洗のところで働いていたアンジェラスだろう?お前じゃないはずだ・・・」
「はい・・・私は・・・すいません・・・そこまで分かっているのですね・・・」
「あぁ・・・だから、隠しても無駄だ・・・で、お前の役割は何だ?」
「・・・タイマーを作りました。以前、電子部品関係の会社にもいたことがあり、簡単な時限装置を作ったのです。車のエンジンのことは何も知りませんが、電子タイマーなら作れるのです。それを純ちゃんに依頼されたのです」
「ということは・・・4個作ったということか?」
「いえ・・・5個です・・・」
「何? 5個か? 4個じゃないのか?・・・・」
「5個です。間違いありません・・・」
爆発した車は、4台である。何故? 5個作ったのであろうか?
「今まで、4人が殺されている。5個ということは・・・予備で作ったのか?」
「4人・・・いえ・・・5人を殺害しようと思っていました・・・」
僕は、まだ、他に殺害予定の人物がいるのだろうかと思った。
一瞬、新開刑事の顔が曇った。
「御手洗晋、浅田保夫、倉重仁、海野幸秀・・・だけではないのか?・・・・」
「・・・違います・・・もう一人・・・います・・・」
「誰だ?・・・・・」と、新開刑事の声は大きくなっていた。
■勝汰章の著作刊行本
「笑顔になるための246のことば」
悲しみを乗り越える時に・・・
http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31865654
■勝汰章のHP http://katsuta.yu-yake.com/