水泳が一番だ。何故かというと、目の保養にもなるのだ。若い女が沢山泳いでいる。これを見ることも、楽しみの一つであった。体を動かすということと、目の保養。独身の僕にとっては、最高の楽しみでもある。

今夜は、どんな可愛い女の子がジムに来ているかと思うと、心は浮き足だってしまっていた。

が、しかし、今夜は、残念な結果になった。老人会の方が占領していたのだ。初めてである。どこを見ても、僕よりも更に高齢な人だけであった。トレーナーにそれとなく聞いてみると、何でも、9時までは、この状態が続くということであった。若い女の子や男の子は、ほとんどいないのだ。どうやら、トレーニングマシーンのほうへ行っているらしい。僕は、仕方がないので、老人会の方の中で、泳ぐしかなかった。

トレーニングマシーンの別契約はしていなかったのである。至極、残念な夜であった。

その夜は、ジムの帰りに自宅の近くの居酒屋で、酒を呑んで帰ったのである。

翌日は、不思議なことに、中古車が5台も売れた。久しぶりの大きな利益になった。中でも、トヨタのアリスト

が売れてくれたのは良かった。3ケ月も在庫していて、このままならオークションに出品して現金化しようと思っていたのだ。走行距離は、10万キロを越しているが、さかずに、アリストVである。280馬力には何の遜色もない。

保険会社に言わせると、車両盗難では、常にワーストのトップになる車であり、海外でも人気がある証拠なのだ。

日産では、スカイラインGTR、トヨタでは、このアリストVなのであった。

徳野との待ち合わせは、夜の9時になっていたので、まだ、時間がある。そこで、僕は、以前に何度調べても、車業界には、ジョジズ・カンパニーという名前が出てこないことに不思議な感覚を持っていたので、もしかしたなら、フィリピンでは何とかなるのではないかと思い、知り合いのフィリピンの輸入業者に電話をしてみることにした。マニラでも大手の会社であり、過去に数回取引をしていたので、面識はあったのだ。

運のいいことに、副社長は日本人であり、言葉の問題は何もない。

時差が1時間あるので、まだ会社にはいると思った。

「東京のプラスワンオートの雪田といいますが、佐藤副社長を・・・と」ヘタな英語で尋ねた。

どうやら、在籍しているような感じである。

ほどなくして、佐藤さんが電話口に出た。

「久しぶりですね。雪田さんもお元気ですか?あれ以来ですから、1年近くになりますかね。たまには、観光でもしてくださいよ。儲かっているでしょう?」年のころなら僕と同じぐらいの副社長であった。

「久しぶりですね。儲かっていないから海外なんて無理ですよ。たまには日本にも来られていますか?」

「いゃー、檻の中の犬ですよ。2年ぐらいは出ていませんよ。たまに、大阪のたこ焼きを食べたいと思いますが・・・ハハハ・・・それは、そうと何かビジネスの件ですか?雪田社長から、直接電話があるとは何だろうと思いますよ。いつもは、例の会社からの話ではないですか?何かいい話でもありましたか?」と、早速、ビジネスの話にもっていった。彼は、僕からみてもやり手の人である。今のフィリピンの大きな輸入会社に、何でも10年前にスカウトされたと聞いている。以前は、日本の商社の社員であったらしい。

「いぇ、ちょっとお伺いしたいことがありまして・・・佐藤さんなら、ご存知ではないかと・・・」

「私の知っていることなら・・・何でも・・・」

「有難うございます。単刀直入に、お伺いします。そちらで、金田純一郎という、ジョジズ・カンパニーという輸出入の会社の社長の名前を聞いたことがありませんか?もしかしたら、フィリピンでは、会社名が違うかもしれませんが・・・・金田という男です・・・」

「金田?・・・純一郎?・・・・うーん・・・私とは付き合いがないのは確かだけど・・・」と、悩んでいるようであった。

「佐藤さんと同じ業種だと思います。東京に本社があり、福岡にも支店があります・・・」と、続けて言うと。

「確か・・・その会社なら、アン何とか?・・・という男のことは聞いている。うちの社員が何度か会ったことがあったと思うが、金田という名前は知らないな・・・アン何とか・・・」と、言いかけて。僕が

「アンジェラスではないですか?」と、口を挟むと。

「そうそう、それだ。そいつだ・・・私の記憶が、確かなら、ケソン市にある会社だと記憶している。もう、数年も前だと思う・・・それが何か?・・・」

「ちょっと、その会社を探しているのですが・・・ビジネスではなくて、ちょっと日本で事件があったものですから・・調べているのです。詳しくはお話できないので勘弁して欲しいのですが、勝手な申し出で本当に申し訳ありませんが、その会社のことを知っている人がいたなら教えてもらえませんか?決して、佐藤さんには迷惑はかけません。僕を信用して欲しいのです。警察が調べるような事件なのです・・・」

「ほう・・・何か物騒な・・・雪田さんのことは信用しているから、少し時間を下さい。こちらから、連絡しますよ。それで、その会社の何を調べればいいのかな?」

「すいません。会社の所在と、社長の名前です。それと、何を取り扱っているのかも知りたいのです。何とかお願い出来ますか?」と、丁寧に話した。

佐藤さんは、快く引き受けてくれ、後日、連絡してくれると確約してくれた。

こんなところでも、人脈というものは大切だと実感したのだ。