GTR?・・・年式は分かるの・・・それと、その事故車両は、どこにあるの・・・」

「年式は、御手洗とかいった社長の乗った車と、近いぞ。どちらも10年位前だ。車両は、残念ながら、処分されている。それ以外は、怪我で入院している奴に聞かないと分からないな。何か臭わないか・・・雪ちゃん」

2つの県警に行ってみるしかないね。それと、死んだ人と入院している人の職業は何・・・」

「すまん、言うのを忘れていた・・・死んだのは、浅田と言って、雑貨の輸入だ。もう一人は、中古部品の貿易だ、倉重と言う名前だ。倉重も、浅田も貿易に関係している。何かあるぞ・・・何か・・・」

「新開さん、もっと詳しく分からないの・・・何かあるよ。似ている。あまりにも似ている。署としては、どんな動きになるの・・・」僕は酔いが完全にさめた。

「いや、まだ、調査の段階だな。俺と出口刑事で調べている。御手洗の件も、捜査としては、壁に当たっている。EGIや細工したタイマーのような部品は、本庁の科学捜査研究所で化学的に調べているが、まだ、時間はかかるだろう。どっちにしても、二つの所轄に行ってみないと分からない。俺は、明日、群馬に行こうと思っている。倉重という男にも会ってみたい・・・入院している病院も分かっている。前橋南警察署の担当の話だと、重傷だが、話は出来るということだ・・・聞く価値はあるな」

「新開さん、俺も行くよ・・・前橋か・・・明日、一緒でもいいかい・・・」

「あぁ、明日、前橋南警察署で会おう。俺は、朝一で行くから、10時には着いていると思う」

「分かった。僕も10時には着くように行く・・・・」と、言って電話を切った。

今の話を二人に話した。

徳野さんも、同行することになった。残念だが、新藤には店を見てもらわないといけないので、留守番となった。

御手洗との何らかの接点が浮かび上がったかのように思えた。

明日が楽しみである。徳野も、興奮を抑えきれないようであった。

何か、新しい発見があればいいのだが・・・

翌朝、前橋南警察署で新開刑事と会った。病院の医師へ、連絡しているようで、30分ぐらいならOKだと言う。

僕と、徳野と新開刑事、そして、出口刑事と、前橋高木総合病院へ向かった。

署より、15分のところにある、大きな病院であった。

受付で説明して倉重のいる病室へ向かった。個室であり、入口には、倉重仁と書いてある。

ドアを開けると、頭や腕に包帯を巻いた男がベッドに寝ていた。

顔は、両手で火を塞いだのであろうか、目も口も鼻も火傷はしていなかった。

「倉重さんだね。多摩西部署の新開です。ちょっとお話を聞かせてくれませんか・・・」

「ああ、多摩西部署?・・・前橋南署ではないのか・・・」と、こちらを振り向いた。年のころなら、御手洗と同じぐらいの年である。続けて、倉重が言う。

「取調べは、終わったのではないのか。まだ、何かあるのか。東京の刑事が何の用だ・・・」と、怪訝そうに聞いた。

「もう一度、事故の時のことを話してもらいたい。何度もすまないが、ちょっとな・・・」と新開刑事が言った。

「何もない。ただの事故だ。言うことはない。疲れているんだ。早く帰ってくれないか。病人なんだぞ・・・」

「それと、他の奴は刑事か・・・」と、僕と徳野を見て聞いてきた。

「僕違いますが、聞きたいことがあって来ました。倉重さんは、御手洗さんという人とは知り合いですよね・・・」僕が聞いた。

「御手洗・・・誰だ・・・そんな奴は知らない。俺と何の関係があるんだ。早く帰ってくれ・・・」と言う。

「倉重さんよ・・・そんなに聞かれちゃ困ることでもあるのかい。今、話してくれたなら、もう来ることはない。話してくれないなら、何度でも来るしかないな・・・」と新開刑事が、脅すような口調で聞いた。

「何だ、何か俺が犯罪者のような口ぶりだな。何も知らん。何も言うことはない・・・」と、横を向いた。

「何も知らないということはないだろう。倉重さんが、起こした事故なんだ。何か隠しているのか・・・隠しているなら、礼状を持って来るしかないな。それじゃ、困るのはあんただな。それでもいいなら・・・」

「何だ。この重傷の病人を犯罪者扱いか・・・東京の刑事は・・・どうしようもないな・・・それで何だ・・・」

「最初から、素直にいこうや・・・それでな、事故の原因は何だ・・・」と、新開刑事が間髪入れずに聞く。

「車から火が出たんだよ。走っていたら急にボンネットの中から火が出た。それで、あわててハンドルを切って路肩に止まろうとしたが、ブレーキもきかなくなって、それで、路肩の壁に激突した。何が原因だかわからん。火は出るし、ブレーキはきかないし、何が何だか・・・ドアが変形していたから、すぐには外に出られない。そうこうしているうちに車内に火が入ってきた。それで大火傷だ。運よく、近くのトラックの運転手の何人かが、消火器を持ってきてくれて、何かバールのようなものでドアを開けてくれたから、何とか外に出られた・・・」

「そうか、それで、走っていて、火が出る前に何かなかったか・・・」

「そういえば、ボンネットの中で何かが爆発した音を聞いたな・・・それから、今度は大きな火がボンネットを覆った。前は何にも見えなかった・・・これでいいだろう・・・」

「あぁ、よく分かった。もう一ついいかな。その車は、倉重さんの所有か・・・」

「・・・3日前に買ったものだ・・・」と、ふてくされて言う。

今度は僕が聞いた「雪田と言います。二、三、聞きたいことがあります。何としても倉重さんに聞きたい・・・」

「何だ・・・早くしてくれ・・・医者を呼ぶぞ・・・俺は、病人なんだからな・・・」

「もう少しで終わりますから・・・御手洗さんという男を知らないと言っていましたが、本当に知りませんか。この前、中央高速で、倉重さんと同じように、車から火が出て、それが原因で死んだのです。それと、東名高速では、浅田さんという人も、同じような事故で死んでいるのです。倉重さんと何か関係がある人ではないですか・・・」

と聞くと、倉重の顔が一瞬ではあるが、何か怯えて硬直したように見えた。

「その御手洗という奴と浅田という奴が死んだのか・・・それと俺とが何かあるのか・・・俺は知らん・・・」

「そうですか。僕たちは、その件について調査しているのです。何らかの関係があると思います。乗っていた車も、スンイラインGTRなんです。遅れましたが。東京で、車屋をやっています。そして、この女性は、御手洗さんと親しい方で、徳野さんと言います。御手洗さんの事故死の件で、不審な点があるので調査しているのです。単なる事故じゃないと思っています。何らかの細工が車にしてあったのです。本当のことを話してくれませんか。もし、知り合いなら、倉重さんも殺されそうになったに違いないのです。そして、浅田さんは殺されたのです。運よく、倉重さんは、助かりましたが、また、命を狙われるかもしれないのです・・・」

僕は、かなり強い口調で問いかけた。それを聞いていた新開刑事が、口を出してきた。

「あんた、今、手が震えているな、何でだ。何かを恐れているのか・・・このままなら、あんたも狙われるかもしれない。ここで話しておいたほうがいいだろう・・・どうだ」と諭すように話した。

「俺が狙われている・・・・何でだ。俺は何もしていない・・・命を狙われることは何もないはずだ・・・」

確かに、倉重の手は震えていた。顔の相も、別人のように変わっていた。

「こんなに言っても、知らないのかね。あんたが、何も話さないと、捜査も出来ない。捜査が出来ないということは、警察としても、あんたを守ることもできない。もし、隠しているなら、犯人は、また、あんたを殺しにかかると思うが、警察としては、何にもしてやれないな・・・さっ、帰ろうか・・・」と新開刑事が帰ろうとした。

「待ってくれ・・刑事さん・・・話すから待ってくれ・・・全部話す・・・」と、僕たちを引き止めた。

僕は、倉重の顔を見た。完全に何かに怯えている様子だ。

「御手洗も浅田も知っているんだな・・・倉重・・・」と、新開刑事が聞いた。

「はい、私の知っている奴らなら、20年以上も前の仕事仲間です。一緒に小さな会社を経営していました。年も同じぐらいです。20年前に、お互いに別れて別の仕事を始めたのです。その当時は、車の中古部品の貿易をしていました。その二人だとしたなら知り合いですが、もう、何年も付き合いはありません。もしかしたら、別人かもしれません・・・下の名前は分かりますか?・・・」

「御手洗は、晋。浅田は、保夫です。皆、64才です・・・」と、出口刑事が答えた。