青野くんに触りたいから死にたい

ジャンルは恋愛×ホラー。

簡単なあらすじ。ぼっちの主人公刈谷優里ちゃんが些細なきっかけで、青野龍平を好きになり、告白して付き合うが、付き合って2週間で青野くんは死んでしまう。死んだ青野くんは幽霊となり、彼女の元に戻ってくる。幽霊と人間で恋するお話だが、1番の見所は2人の純愛でないと思う。そして、幽霊の青野くんと優里ちゃんを中心に様々な怪奇現象が起こる。

ちなみにあまり怖くは無い。ホラー映画の怖さというか、心にひたひたくる怖さ。

この漫画の最大の見所は、ストーリーの完成度にある。とにかく伏線がすごい。一見、夢を見ているみたいにごちゃごちゃしていて不思議な展開だが、それは実はすごくこの漫画の世界の理にかなっている。実に考察のしがいがある。法則と不可解な展開が成り立っている漫画を初めて読んだと思う。

暗示も同様にすごい。言葉だけでは、絵だけでは、伝えきれないものを練り込んでいる。とにかく漫画としての格が違う。恋愛×ホラーなんて軽々しくカテゴリー分けしていいのだろうかと不安になる。

それぞれの登場人物の表情も良い。照れているのか絶望しているのかよく分からない描き方がいい人間味を出している。

優里ちゃんはどこかおかしい。この漫画の中では優里ちゃんだけがおかしくて、他の登場人物はまともだし理性的だ。しかし、優里ちゃんの言葉にはなぜか読者を感動させる力がある。周りのキャラクターもそんな優里ちゃんに惹かれたのだろうか。この漫画は、どこかおかしくて、美しい。


とりあえず読む。全部に意味があることに気づくには、何度も読み返さなければならないから。