ベニ先生とパブちゃん | フラメンコ舞踊家 森山みえのブログ

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JR総武線『小岩駅』から徒歩3分。
東京都内ですが隣駅は千葉県という東京の東側でフラメンコ教室を運営しています。

舞台に対する想い、そして舞台に繋がる教室での日々のこと、私の日常をブログにつづります。

これまで沢山のライブに出演させていただき、

「こんなにもお世話になってしまって…おねがい

「こんなにも良くしていただいて…おねがい

「こんなにも大事に扱っていただいて…おねがい

 

と感じたライブはいくつかありました。

 

先日のライブはその最たるものの一つでした。

 

 

この業界、ライブに出演すれば、多少なりとも出演料(ギャラ)はいただけます。

ただそのギャラは出演者で一律でないことは多い。

 

それはそうです。

キャリアによってできること、できないことがあり、経験の浅い人はベテランの方々に助けてもらわないと乗り切れないこともあります。

その分の差が出ても仕方ありません。

 

私は最初にプロライブに出演させていただいたのは、旧エスペランサでした。

その時は出演料はありませんでした。

「舞台経験を積ませてもらう」

というインターン的な感じでの出演でした。

 

その後、交通費程度が出るようになり、段々と普通にいただけるようになりました。

出演者同士でギャラがいくらだったかを聞きっこしないのは、この業界の暗黙の了解なので、お互いにいくらいただいているのかは分かりませんが、当時は多分ですがベテランの先生や先輩方は多かったのではないかと思われます。

今はあまりライブに出てないので、よく分かりません。

 

あとは、集客によっては多少の上乗せがあったりもします。

でも、それはお気持ち程度のことがほとんどかな?

どうだろう?

その辺の細かいところは良く分からないけど。

 

 

タブラオって、色々とできないとならないことがあって、それが『できない状態』で出演してしまうと、『できる状態』の人にお世話してもらわざるを得ないことが多い。

「踊りさえ踊れればOK」ではない。

 

これに関しては、先生がお膳立てしてくれる発表会で生徒という立場で踊っているだけだと気付きにくいかもしれません。

ただ、先生⇔生徒って、生徒さんがお月謝を払って定期的に通ってきて、参加費を払って発表会に出るので、先生に世話になったとしても、ある意味それは料金に含まれてます。

(自分でやらされたとしても、「人に頼らず自分でできるようになる指導」だったりもします)

 

でも、プロライブに『できない状態』で出ると、発表会なら先生にやってもらってることを、共演の『できる状態』の方々に面倒みてもらうことになります。

なので私は、出演者間で場合によってはギャラの格差があるのは致し方ないと思っています。

 

それぞれの人たちが、そのスキルを手に入れる為に費やした年月・費用がその裏にはあります。

自己投資と努力なしに手には入らないものです。

有形のものにお金を払うのは、皆、普通にできますが、無形のものは、

「それくらいやってくれてもいいじゃん」

って思ってしまいがちです。

でも、違いますよね。

 

 

 

 

先日のライブ、なんと、バイレは皆、一律同額の出演料でした。

 

みんな、同じ。

 

最初、主催のマヌエルから、

「皆、同じにするから」

と聞いた時に、

 

「あり得ない。うそっ」

 

って思いました。

 

 

別の企画によっては、

スペイン人のバイレの人は自ら集客をせず、

他の日本人バイレのみが集客し、

かつ、ギャラはスペイン人バイレは多くもらう

というのもあります。

てか、それが一般的です。

 

今回のように、「皆、同じ」というのは驚きです。

 

 

前述の通り、私は、差を付けられたとしても文句ありません。

 

例えば、

私のパルマは、ベニ先生やパブロの助けにはなりませんが、彼らのパルマにより、私の踊りはいつも以上に良く見せてもらえます。

 

私は自分で舞台を主催するので良く分かるのですが、バイレ・フラメンコを活かすも殺すもパルマ次第だとすら思っています。

だから、私は発表会で自分でパルマをすることなく、パルメーロを雇い、それなりの料金を支払います。

生徒の踊りを良く見せる演出と思って、そうしています。

男性パルメーロのペソのあるパルマ、鋭く大きな音の出るゴルペ。

それらが、私たちの踊りを助けてくれます。

 

パルマはほんの一例で、その他にもいっぱい目に見えないところで彼らに助けてもらいました。

 

 

 

そして、順番はベニ先生とパブロが、ぱぱっと決めてくれました。

私は、彼らが2部で踊るか、男性のスペイン人同士なので1部と2部に分かれて、それぞれのトリを踊るのかなって思っていました。

でも、スペイン人だからとか関係なく、なんとヌメロの雰囲気で決めてました。

「最初はガロティンのように明るい曲がいいよね!」

ってな感じで、人ありきではなく、曲ありき。

当初、ベニ先生は2番目に踊る予定でした。

さすがに志保さんが、「ベニ、一部の最後に踊って」と変えてました。

 

 

 

あ、あと、これもすごく驚いたのですが、ベニ先生も、パブロも、ものすごく集客してたんです。

 

私、ライブ出演した後は、自分のお客さん以外の席もご挨拶に回るようにしています。

それよりも前にお席を立たれてしまわれた方や、見落としている方もいらっしゃるかもしれませんが、でも一応、一通り客席を回るようにしています。

その際、「どなたのお知り合いですか?」と話のきっかけづくりに伺います。

今回、ベニ先生とパブちゃんの生徒さんやご贔屓さんの多かったこと!

 

「こんなにもお客さんを呼んで、その上、舞台への貢献度も高くて、それで彼らは私と同じギャラでいいだなんて…」

 

申し訳なさもありますが、でも、彼らの優しさに感動しました。

 

これ、お金の問題ではなく、『日本人の共演者を同じ舞台に立つ仲間として同等に扱ってるよ!』と彼らはお金を使って表現してくれたってことです。

どだい、彼らと同じに扱ってもらうには無理のある私に対してもです。

他の案件で彼らがお金のことを問題にして不平を言ったこともあったようですが、問題の本質はお金ではないのだと思います。

お金を通して感じる、『心』に対して言っているのだと私は感じます。

 

「スペイン人だからえらい」とふんぞり返ることなく、

「同じ舞台に立つ者同士、いい舞台を作ろうね!」

という雰囲気を作ってくれました。

 

 

愛ある舞台でした。

 

 

本当に、心の底から、ありがとうございました。

とっても、とっても素敵な二人。

こんな素晴らしい方々が、日本に在住してくださっていることを有難く思います。

 

そして、最後の二人の漫才も最高でした(≧▽≦)